森のかけら | 大五木材


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この季節に弊社を訪れるのは人間ばかりではありません。春先に賑やかし勝った鶺鴒野鳩の声が聞こえなくなったかなと思ったら、次に現れるのは蜂たち。小さなミツバチならばこちらも慌てず騒がずスルーしますが、困るのは大きなススメバチ。会社の裏の小屋では日々近所の幼い子供たちが遊びに来ているので、もしもの事があれば大変。気まぐれに飛んできただけならいいのですが、どこかに巣でも作っていたら危険なので、その姿を見たら目を皿のようにしてその行き先を追うのですが巣の発見には至らず。

既に巣を作っているのかこれから作るのか分かりませんが、近所の農家の人の話だと時期的に言うともう作っているはずとのこと。スズメバチの姿を倉庫の内外で見るのですが、倉庫は毎日扉を閉めるので出入りしにくくなるので、巣があるとすれば倉庫の外だと思うのですが・・・。倉庫の外には丸太などが積みあがっていて、雨風も凌げるような隙間があちこちにあって、蜂たちにとっては絶好の巣作りの環境なのだと思います。時には事務所の中にまで飛び込んで来るツワモノもいて文字通り蜂の巣をつついたような大騒ぎになることも。

そんなスズメバチ以上によく姿を見かけるのがクマバチ。丸っこいフォルムにモフモフした毛をまとい、スズメバチが戦闘機なら、クマバチはヘリコプターのような趣きがあります。木材をフォークリフトで動かしていると、どこからか現れて木材の周辺をブンブン飛び回ります。人を刺すことは無いらしいので危険はないのですが、クマバチを見つけると別の心配があります。それはクマバチの巣!スズメバチなどと違って、木の内部に巣を作るのですが、やたらとどこにでも穴を開けて不法占拠してしまうので困ったもの。

以前から、竹の節のように仕切られた巣跡の事が気になっていたのですが、もともと最初から内部に卵でも産みつけられていたのだろうぐらいにしか思っていませんでした。そしたら先日たまたま犯行現場を目撃!クマバチがやわらかい木の裏側に穴を開けて、羽を折り畳み穴に侵入していくその場面に遭遇したのです。既に穴は開いていましたが、その下には大量の木くずと黄色い糞(?)のようなものが散乱していました。しばらくすると穴から出てきてホバリングして器用に木くずなどを払いのけます。面白いのでしばらく観察していました。

しかし、周囲をよく見れば足元にはクマバチが払いのけた大量の木くずが散乱。以前から掃除したはずなのに同じところに何度も木くずが散らかっていると思っていたら、こやつが犯人だったか!しかもその巣穴の近くには親指大の巣穴が無数に開けられているではないですか!てっきり立木の頃に虫害に遭ったものだと思っていたらここが犯行現場だったとは。よし、ここは後から言い逃れ出来ないように証拠を押さえておこうと、巣穴に入る様子を動画撮影してYouTubeにアップしてやりました。これであのクマバチも社会的制裁を受け少しは懲りるだろう。




今までの経験の中で、自分史上もっともうまくクヌギの皮を剥がすことができたので、その成果物を並べて写真を撮りまくり悦に入っていました。剥がした鬼皮の内部は、姫路に住む娘たちのところに行った時に見つけてすっかりはまってしまった姫路名物のアーモンドバターのように見えて仕方がないのですが、これはなかなか共感してくれる人がいません。娘に写真を送ると「集合体はNG!送ってこないで!」と怒られ、集合体恐怖症トライポフォビア/Trypophobia)という言葉を知りました。

うちの娘の場合は、こういう集合体に気持ち悪さや嫌悪感を抱くというもので病的なほど深刻なものではないようですが、自分は今までそういうことを感じたこともなかったので意外でした。ちょっと気になって調べてみたら、ホットケーキを焼くときの小さな空気穴とか、蜂の巣の内部とか、珊瑚の模様とか、スイスチーズの穴とか、蓮の種とかが代表的なものだそうです。縞、斑点、穴などの模様が隙間なく、パターンのようになっていて文字通り集合している姿に恐怖感、嫌悪感、不安感を抱くというものでその対象は個人によりさまざまなのだそうです。

木が他の素材に比べて圧倒的に優位性を誇っているのは、根本的に木が嫌いな人などいない点だと、今までは信じて疑うこともありませんでしたがその考えも改めねばなりません。例えば精緻なバーズアイメープルの鳥眼杢の集合体ですら、世の中には不安に感じたり不快に感じる人もいるということ。自然が作り上げた造形美は万人の心に響くものと今まで盲目的に信じて提案もしてきました。レスポンスが鈍いと相手の感度を疑ったりしていましたので、にわかには受け入れがたい感覚です。

集合体恐怖症の研究は最近になって始まったようで、この症状の原因は有毒動物を避けるという適応の名残りであるとか、有機物に空いた穴は無意識に、自分の健康を損ないかねない、伝染性の病気や湿疹、吹き出物、傷、水疱などの皮膚病を連想させ、穴への恐怖は病気を避けるために役に立った進化上の能力の名残りではないかなどの仮説があるようです。改めてひとの感性の深淵を覗き込んだ気分になりました。もしかしてこれは樹皮を剥がされたクヌギの最終防御システムだったのかも・・・




先日の『都市林業』で、松山市内の民間住宅の庭木として植えられたいたクヌギ(櫟)が伐採されたのでその一部を分けていただきました。クヌギの木とは結構ご縁も多くて、今までにも多くのクヌギの丸太が大五木材にやって来ました。その目的はもちろん『森のかけら』に生まれ変わるため。ですから小さなクヌギの丸太が1本もあれば十分に事足りるのです。足りるどころか1本の丸太から何百という「かけら」が取れれば、それだけで何年分もの「かけら」が確保できてそれ以上にクヌギの丸太は必要ないのです。

うまく取れればの話・・・それがうまく取れないから何本も何本も丸太がやって来るのです。まあとにかくクヌギは上手く乾燥させるのが至難の業。私に理論的な乾燥時術が欠如していて、経験と勘だけを頼りにしているというのが最大の問題なのですが、残念な結果を繰り返してきました。クヌギは乾燥に伴いねじれる性質があるのと、芯から放射状に深い割れが入ってしまうので、たかだか35㎜の「かけら」ですら取りかねるほどなのです。もちろん1個も取れないというわけではありませんが、歩留まりから言うと散々たる結果。

失敗の繰り返しの中で、45㎜ぐらいのオーバーサイズに挽いて乾かせるだの、先日の「カキ」のように小口に新聞紙を貼るだの、ボンドを縫っておくだのいろいろ試してみましたがどれもなかなか上手くいかず、どうにか「かけら」になった数倍、いや数十倍が無惨な結果となり、それは「夢のかけら」にすらなりえない代物でした。現在の『森のかけら』240種の中では、私にとって『もっとも乾燥させるのが難しい木』のひとつです。今回こそはといつも願うように乾燥させているのですが、どうしても上手くいきません。

そろそろ貴重なストックも残り少なくなってきたので、今回のクヌギには是非とも上手く乾いてもらいたい。そう思って準備をしていたら、言葉ではうまく表現できませんが、今回のクヌギは何か違う!というような感覚がありました。伐採した直後ではあるものの既に水分が少し抜けているというか乾燥が進んでいるというか、あくまで私の感覚ですが。それで触っていたら厚い鬼皮がポロリと剥がれました。それでちょっとノミを入れてみたら綺麗に剥がれたのです。これは何かの吉兆か~(笑)。鬼皮の無くなった姿がまるでブッシュ・ド・ノエルみたい!




昨日に続いて三津浜商店街でアンテナショップを開店させた『木生活(もくせいかつ』さんの話。こういう店が各種メディアで取り上げられ話題になるということは、その存在が珍しいということで、それぐらい愛媛においては木に携わる川下の出口が少ないのです。それは愛媛の木材業が原木や製品を県東京や大阪などの大都市圏にに出材して成り立ってきたという歴史的な背景もあって、川下産業が育ちにくいという土壌だったという事情もあります。今、弊社に来られる方々の多くは趣味の延長で木工を楽しまれている方ばかり。

売って儲けるために作っているというよりも、作ることが目的でうまく『できたら友人たちにプレゼントするという人が多くいて、原材料代も馬鹿にならないと苦笑しながらまた今日もお買い上げというパターン。それでも300種を超える木を実際に手に取って質感や重さ匂いなどを確認しながら買えるのはありがたい仰っていただきます。市井にはそういうアマチュア作家も沢山いるのですが、素材を変える場所や、作った作品を展示販売される場所が少ないというのが悩みの種だと思うので、『木生活』というスペースは相当ありがたいはず。

そういう潜在的な木のファンを店に呼び込むということが肝心ですが、そのあたりも1社だけで孤軍奮闘するのではなくて、横の繋がりで協力して水平展開できればもっと面白くなると思っています。『木生活』さんでは弊社の『森のかけら』のほかにも『誕生木ストラップ』や『木言葉書』なども取り扱ってもらっているのですが、中央の一番いいスペースに展示していただきありがたい(というか申し訳ないほど)。『誕生木ストラップ』も弊社よりも見やすく展示してもらっていて、モノによってはここで売ってもらうほうが売れたりするかも?!

 

littlebranch小澤奏さんが作られている、掌に収まる可愛らしい愛玩楽器「キノネ」も展示販売されていましたが、こういうモノって「誰から買うか」ということも重要。商品には知らず知らずのうちに作り手の内面まで投影されますから、偏屈親父が作るものは癖のある商品になってしまいます。キッチン用品などを扱うBRIDGEさんで『丸いまな板』を作らせてもってつくづく感じますが、そこでは店主の大塚加奈子さんという媒介が私の癖を薄めてくれています。川下において「広め手、つなぎ手」として女性の方が適している役割は沢山あります。




松山市内で弊社の商品を取り扱ってもらっている貴重な存在の『木生活(もくせいかつさんに先日商品を納品に行かせていただきました。このお店は木材の仕事に携わっている3人の有志(片岡伸介君、宮浦英樹君、平野大輔君)が集まって作った合同会社で、2020年の4月に三津浜商店街の中にオープンしました。彼らが作ったオリジナル商品をはじめ多数の木製の雑貨などを製造・販売を行っています。三津浜地区が取り組んでいる、空き店舗を有効に活用するための「チャレンジショップ」を利用したアンテナショップです。

開店直後からさまざまなメディアでも紹介されて一躍知る人ぞ知る存在になりました。保守的でひとの批判はするが自らは動こうとはしない人が多い木材業界の中では野心的な取り組みで素晴らしいと思います。3人それぞれが仕事をしているので、店の営業は金~月曜日の4日間限定となっていて、その期間は片岡君たちが入れ替わり店番に立たれています。弊社の『森のかけら』などの商品も取り扱ってもらっているので、その補充に出向いたところ、思わぬ再会がありました。

愛媛の森林素材にこだわり、木のアクセサリーや玩具、日用雑貨、県産の原木椎茸商品など作っているlittlebranch小澤奏さんです。以前は別の会社内で同様の活動をされていましたが、独立されて東温市内に店舗を構えられ活動されています。以前の会社の所属されていた時から商品などを見せてもらっていましたが、女性らしい視点で細やかで繊細な商品を作られています。木生活さんにも商品の一部を卸されていて、毎週月曜日だけ店番に立たれているようです。たまたま偶然の再会でした。

弊社でも一般の方向けに端材コーナーを拡張してから感じるようになったのですが、木工に興味を持っている女性が予想以上に多い!学生からおばあちゃんまで幅も広く、ご来店されると各種端材を見られて倉庫の方から歓声が聞こえてくることもあるぐらい。今までネットで買っていたけど実物見ながら買えるのが嬉しいと喜んで、自分で作った写真なども嬉しそうに披露してもらいます。愛媛は森林大国と言いながらも、充実しているのは川上の製材・製造部門ばかりで川下はほぼ未整備。明日に続く・・・




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