森のかけら | 大五木材


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20100829 牧野植物園 カンザブロウノキ1今年の夏、高知県の牧野植物園に行った時に気になる木がありました。それがこの『カンザブロウノキ』です。施設へと続く緑の廻廊の中に小さくひっそりと生えているだけだったので(他にもあったのかもしれませんが、これしか見つけられませんでした)ほとんど目立たず、余程しっかり観察していないと見落としてしまいます。私も木で見つけたわけではなく、この標識で見つけました。ここはあまりにも種類が多く標識でもないと何の木なのかさっぱり分かりません。それぞれの木に丁寧に取り付けていただいているのでありがたいです。

20100829 牧野植物園 カンザブロウノキ2

この『カンザブロウノキ』は、ハイノキ科の常緑の中高木で、主に西日本から台湾、中国などに分布するようです。山麓や谷沿いなどやや湿気を帯びたところに多く生育するそうです。建築の世界では全く無名ですが、私はたまたま木の名前に関する本を読んでいて、この面白い名前に目が留まり、それで覚えていました。その後、最初に牧野植物園訪れた時に何かの資料でこの名前に再会し、次には現物を観たいと思っていました。珍しい木やこのブログ用にアップする木の画像をせっせと撮っていると偶然、目の前にこの木が現れました。その木はまだ幼樹で、私の背丈ほどもない小さなものでしたが、私にとってじゃ思わぬ僥倖です。ひとり興奮する私のとなりでポカンとする息子。いいんだよ、息子よきっとお前も30数年経てばこの面白さにきっと気づくのだから。互いの体に流れる同じ血がきっと騒ぎ出す日がくるはずだから。

 

20100829 牧野植物園 カンザブロウノキ3

ところで、私が飛びついたのはこのユニークな名前ですが、勘三郎さんという方にちなんで命名されたわけでもなければ、カラスのカンザブロウに因んだわけでもありません。牧野富太郎先生の本では、その由来は不明とありましたが、深津正先生が著書の中で、「神さぶる」という古語が語源ではなかろうかと述べておられました。「神さぶる」は、「神さびる」の転じたもので、「神々(こうごう)しい」という意味だそうです。何が神々しいのかというと、この木が伊勢神宮の宮域全体に1万本余りも植えられているのだそうです。

20100829 牧野植物園 カンザブロウノキ4そして宮内を埋め尽くすその灰白色の樹肌と光沢のある革質の葉が、神々しい景観に花を添え、「神さぶる木」とされたのではなかろうかと結論づけられています。という事でしたので、幹や葉にも注目してアップでも撮ってみたのですが・・・むむむ、確かに灰白っぽい色ではありますが、それほど特徴的には見えません。まだ幼樹なので特徴が出ていないのかも?伊勢神宮の宮域にある木も、そのほとんどが100mm程度らしのですが、中には直径500mmを越え、高さ16mに達するものもあるとか。

 

20100829 牧野植物園 カンザブロウノキ5葉の方も いまひとつ特徴が際立ちません。まあ、この植物園内には約3000種もの植物が植えられているというのですから、いかに特徴的とはいえ余程個性がなければ埋没してしまいます。カンザブロウノキももう少し大きくなるとその特徴がもっと顕著に現れるのかもしれませんが、とりあえず実物を見れただけでも満足です。しかし、これだけの種類を間違いなく見分ける事が出来る能力は凄いです。自然界の森の中で1本、カンザブロウノキを見分けれる識別する力があるとしたら、それはもはや天賦の才だとさえ思うのです。




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