森のかけら | 大五木材


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原木から製材しますと当然の事ながら、狙った主材の他に『挽き落とし』というものが発生します。その呼び名はそれぞれでしょうが、要するに意図した形ではないものが出来てしまいます。買ってきた原木の端々までが『お金』ですから、そういう挽き落とし部分も、極力使えるものは使えるサイズに挽くのですが、最終的に「これはさすがに・・・」という部分については、チップなどになります。大型工場になると日々製材して発生する『落ち材』も半端ではありません。

そういう光景を見ていると、いつも「嗚呼、モッタイナイナア・・・」と思うのですが、そんな感傷など吹き飛ばすほど昨今の大型量産工場の生産スピードは高速で、工場の中を木が飛んでいくようなハイテク工場においては、いちいち立ち止まって気に思いを馳せている暇などないのです。それに対して、うちのような超零細企業はのんびりとしたもので、賃挽きしてもらった落ち材まで集めて持ち帰り、何に使うか楽しみながら悩みレベルです。もはや似た分類の中の別業界です。

さて、そんな挽き落としの楽しみのひとつがこちら。今回挽いてもらったクスノキは、相当に根元が張っていた原木でしたので、根元の辺りでこういう形の挽き落としが出てきます。普通ならばチップか焼却炉行きとされる落ち材なのでしょうが、私には『お宝』にしか見えません。特にクスノキの節あり材は、風雨に揺れる枝が折れるまい、折れるまいと苦難に耐えた証しが、縮み杢となって現われるのですが、そこが私にすればその木の『森での履歴書』のように思えて愛おしいのです。

削ってオイルを塗ってやれば思った通り、縮み杢が一層鮮明になり、風雨に耐えたクスノキの人(樹)生が浮かび上がってくるようですただしこのままで乾かせると、節から放射状に大きな割れが発生しますので、何回も浸透性の割れ止め剤を塗って、割れないように気を配りながら乾かせていきます。いずれしっかり乾けば、雰囲気のある店舗の看板などにご提案させていただくこととなります。早く売れて欲しいように、いつまでも手元で眺めていたいような逡巡の秋・・・

 




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