森のかけら | 大五木材


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ただ近年になってようやく『天国の門』にも「復権」が言われるようになってきたのは救いです。数年前にも、初公開から実に30年を経てのことではあるものの、監督自らの監修でデジタル修復完全版が上映され、ワイオミングの美しい風景が蘇ったとのこと(残念ながら私はそれは未見ですが)。昨年末に逝去した天才カメラマン、ビルモス・ジグモンドによる奇跡のような映像はデジタル化されることで本来の美しさを取り戻したのです。今改めて観直したい映画です。

ところで、チミノは本当に天国の門を叩いてしまいましたが、チミノにとっての天国であったろう『ディアハンター』について少しだけ。まだベトナム戦争がどういうものなのか、その背景や経緯についてよく分かっていなかった学生時代の私に、とにかくそれはとんでもなく悲惨で酷いものだと教えてくれたのがこの映画です。その数年後に公開された『地獄の黙示録』と『ディアハンター』の2つの作品が、私の中のベトナム戦争のイメージを良くも悪くも作り上げました。

米軍の蛮行も、不可解極まりない政治的なイデオロギーも、人が虫けらのように死んで、理性が壊れていったりと、観ていて決して楽しい映画ではありません。カタストロフィなんて微塵もないし、エンドクレジットが流れる頃には陰鬱な気分にさえなるはずなのに、不思議と数か月に1度はデ・ニーロはじめクリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール、ジョン・サヴェージ、メリル・ストリープなど、いずれもが生涯ベスト級の熱演を披露した演技合戦に心酔したくなるのです。

私がマイケル・チミノから学んだことはいくつかあります。完璧主義者になってはいけない、芸術家気取りになってはならない、そして栄光は長くは続かないということ。ある意味不遇であった人生だったかもしれませんが、マイケル・チミノという名前の響きは同時に私に多くの事も示唆してくれます。残された数々の傑作(その中には脚本として加わったサイレントランニングやダーティーハリー2も)と共に、どんな困難にぶち当たろうとも信念を貫き通すバカな勇気と男の浪漫を教えてくれるのです。合掌。




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