森のかけら | 大五木材


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トウヒ(唐桧)の話の続きです。某日、朝から掌にベッタリとヤニが付いてテンションが下がりつつも、これも『木の個性、自己主張』なんだと自分に言い聞かせ、他のトウヒはどうかと数枚めくってみると3、4枚に自己主張の証がありました。とりあえずヤニの出ているものと出ていないものとに仕分けをして、しっかり手を洗って気持ちを落ち着けました。朝からこういう事があると、その日のうちにもう一度くらい『脂の洗礼』を受けるものなので注意せねばなりません。

脂壺はどれもそれほど深くはなかったようです。脂壺が深くてその部分を切り落とせない場合は、脂壺部分だけを削り取るという外科手術を施さねばならない事もあって、以前はよく「米松(ダグラスファー)の化粧梁にヤニが出たんだけど何とかして~!」という相談があって、自己流で覚えた切除手術の腕を振るったものですが、最近は材の乾燥化に伴いほとんどそういう機会もなくなりました。このままだと近いうちに建築業界では『ヤニ(脂)』という言葉が死語になってしまうのかも・・・

さて、トウヒですが具体的どういう形で活用しているかというと、こちらの「ままごとキッチン」がトウヒ製です。造られたのは、「おもちゃ病院」の伊藤さん。コンロ部分にはスギの赤身を使われていますがその他の部材はすべてトウヒです。そもそもトウヒはエゾマツの変種で、地域によっては『白栂(シロツガ』とも呼ばれるので、一見するとモミ(樅)スプルースのようにも見えます。弊社で在庫しているトウヒはそれほど目が詰まっているわけではないので、用途によって柾目で年輪の詰まったスプルースと使い分けしています。

昔は白系の軽い木というともっぱらヒノキかスプルースしか選択肢がなかったので、まずはその存在を知っていただくことが先決なのですが、超保守的な地域性のため、大工さんや工務店は使い慣れていない材にはなかなか手が伸びません。むしろ一般の方やセミプロの方はチャレンジャーが多いので、お試し価格で使っていただいています。しかし足が遅い材の宿命で、認知されたころに在庫が切れてしまうという皮肉。そしてそういう時に限って仕入れが出来なかったりと世の中うまくはいかないもの。




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