森のかけら | 大五木材


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昨日に続いてワンズ㈱さんのO様邸の無垢材のご紹介です。『ブラック・ウォールナット』が敷き詰められたリビングの中央の鎮座ましますのが、『パドックで作らせていただいた少し小さめの可愛いセンターテーブルです。凹凸のある変形サイズではなく、ふたつのテーブルをずらして並べているだけです。長さが1200X幅が400X高さ400㎜で、お子さんがちょこんと座ってお絵かきや勉強も出来るサイズです。このまま隣の和室の床板敷きのコーナーにも丁度収まります。


今回は内装とのバランスを考えて、あまり杢目が激しくないものをとのご要望でしたので、ご提案させていただいたのがこのパドックでした。通常、パドックというと削ると鮮烈な紅色を放つもの㊧ですが、このパドックは非常に色合いが落ち着いています。鮮やかな紅色も経年変化でアサメラのように茶褐色に退色していくのですが、これは退色してこうなったという訳でもありません。ご縁があって天然乾燥で20年近く経過した材が手に入り、その一部を使いましたが、信じられないくらい色合いが落ち着いています。

人工乾燥機で強制的に急激に乾燥させたものではなく、知らず知らずうちに倉庫の奥で時を経たものなので、こういう風に色合いが経年変化したのかもしれませんが、まぎれもなくパドックです。柾目という事もあるのでしょうが、一般的なパドックとは随分印象が変わります。こちらが塗装前の状態ですが、更に色合いが淡白で、到底パドックとは思えません。この材料は、耳の無いストレートカットの挽き板です。パドックといえば辺材の白身と赤身のコントラストも面白さのひとつですが、こちらはこういう素直な柾目の取れる大径木ですから全身赤身で、耳付板のパドックとはひと味もふた味も違った雰囲気があります。今まで〔パドックで柾目〕、という概念がありませんでしたが、まだこの手の挽き材がかなりあるので、しばらくはシャープな柾目のパドッククをご提供できます。しかし、この在庫が切れたら、柾目のパドックなんてあり得ない贅沢でしょう。


今回製作してもらったのも、ウッドワークかずとよさん。いつもながら要望に完璧に応えていただきました。写真では写しきれなかったのですが、込み栓には、アクセントとして貴重な黒檀を!趣味で家具やクラフトをされる方は増えてきましたが、それを仕事・生業として無垢材を扱える本当の職人さんは多くありません。ウッドワークかずとよさんもその仕事ぶりから引く手あまたでかなりの仕事を抱えられているご様子。この世界でも「偏り」が顕著になってきています。

板目と柾目という風に挽き方を変えるだけで、その木の持つ印象や雰囲気は随分変わってきます。家具などをデザインする際には、すっきりした柾目も使い方次第でとても効果的なのですが、柾目の材を取る為には相応の大きさが必要になります。当然同じサイズでも板目と柾目では価格的に随分な開きが生じます。例え価格的な問題をクリアしたとして注文をいただいたとしても、物理的な問題で柾目挽きは出来ない場合があります。いくらでも金は出すから、幻の魚とも言われる貴重な天然のイトウのルイベをすぐに食べさせろ!と言ったって、イトウが釣れなければ食する事は出来ません。どうしてもイトウが欲しければ、釣りキチ三平と谷地坊主を呼ぶしかないのですっ!突然のマニアックな例えかもしれませんが、自然相手の仕事の場合、お金さえ払えば何でも出来ると思ったら大間違い。人間の思惑通りになんかいかないものです。

そこから自然に対する畏敬や畏怖、感謝などが生まれたのですが、それを強引に人間の都合に合わせてお金の力で何でも解決し、欲望を満たしてきた結果が昨今の拝金主義でしょう。思い通りにならないからこそ、それを追い求めたり、それを追求する姿勢は大切だと思いますが、自然の摂理を捻じ曲げてまでそれを満たそうと思うのはどうかと思います。さて、かなり話が飛躍しましたが、そういう意味でも大変貴重なパドックですので、骨の髄までしっかり使いきらせていただこうと思います。右の埃まみれで薄汚れた板をひと削りするとこんない美しい肌が現われます。柾目挽きの方が、乾燥後の狂いも少ないのですが、その表情の妙味を楽しむ広葉樹の場合は、特別な指定がない限り板目挽きにされるのが普通です。そのため稀に柾目の広葉樹を見ると意外な発見や驚きがあったりするものです。今回のパドックはまさにその典型でした。

 




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