森のかけら | 大五木材


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アメリカのメイン州南部から西はアイオワ州、南はフロリダ州中部とテキサス州東部まで、アメリカの東部諸州に広く分布しているのが、クスノキ科の広葉樹『ササフラス』。日本語表記だと『サッサフラス』と表示されることもありますが、ここではササフラスで統一させていただきます。ササフラスは、秋になると鮮やかに紅葉することから景観樹、街路樹として人気がありますが、い畑の消耗した土壌を回復させるには最適の先駆種としても知られています

もしかしたら先駆者というよりは、クスノキと同様に他の植物の発芽や生長を抑える成分を発して、その隙に勢力を拡大させる戦略なのかもしれません。しかし成長してもせいぜい20m程度らしく、スタートこそ勢いがあったものの森の覇者になれるほどの力はないようです。ちなみに同科のクスノキは、オーストラリアなどにも持ち込まれたものの、樟脳による競争相手への「威圧」が想像以上だったようで、「危険なほど戦略的な外来植物」とされてしまっている地域もあるようです。

 

果たしてササフラスにどれほどの力があるのか分かりませんが、その根皮や果実にはサフロ―ルという成分が含まれていて、蒸留させれば精油や調味料、薬剤にも利用されていますケージャン料理は、この葉をパウダーにした調味料「ガンボフィレ」を使っているのだそうです。ちなみにケージャン料理というのは北米ルイジアナ州に住むケージャン人の郷土料理で、それにはこのガボンフィレが欠かせません。少し前に日本でも手づかみでダイナミックに楽しむケージャンシーフードが流行って、私も御相伴に預かりましたが、今思えばあれがそうだったのかと。

ところで今日はそのササフラスを加工しました。削ってからいつもこの話を思い出すので、『森の砂』は集め損ねましたが、材からもほんのり匂いらしきものが・・・弊社に在庫しているササフラスは人工乾燥処理をしているからなのか、すっかり揮発してしまったのか、私の鼻が鈍感なのか、材からはあまり匂いは感じられません。しかし材面のやや黄緑色を帯びたような独特の色合いから、立木の時にはこの材の葉もケージャン料理の香りづけに使われたのかしらと妄想を駆り立ててくれます。 食欲の秋、ケージャン料理に腹が鳴る。




ハードサイプレスの話の続き。その頃から薬剤無しに使える土台で、しかも住宅金融公庫のお墨付きという事で、ハードサイプレスの土台が注目を集め、愛媛でも沢山使われるようになり、大手の問屋でも扱われるようになると流通量も飛躍的に増えました。しかしそうなると、売れない頃か目をかけてきた俳優がスターダムにのしあがってしまったようで、私に中のハードサイプレスの時代は終わったように感じました(笑)。人と同じものを扱うのが嫌だという天邪鬼な性格によるものです。

そこに輪をかけてイぺやらウリン、ジャラなどにハードサイプレス以上にタフなアイアンウッド(高耐久性木材)の黒船がやって来て、ウッドデッキにおける樹種の大戦争時代が幕を開けるのです。その流れの中でハードサイプレスは徐々に押されていき、優位性が失われていったのです。これはあくまでその時代の愛媛における私の周辺状況への私見です。そういう事もあって、その後は新たにハードサイプレスを仕入れることもなく、今はかつて仕入れた在庫のフローリング・パネリング加工したものがいくばくか残るばかり。

それもいつまでも置いておいても仕方ないので、まとめて処分しようかと在庫を引っ張り出してみれば、ひどく反っているものがあったので、折角ならばと『森の砂』採集用に短くカットすることにしました。切断するたびに周囲に溢れかえる懐かしい刺激臭。その匂いと粉末を身に浴びながらスライド丸鋸で切断していたら、大量のフローリングの端材が出来ました。その匂いもあいまってこれはこれで面白そう!ということで、粉はもちろん『森の砂』として販売しますが、カットして端材も販売してみることに。転んでもタダでは起きません!

願わくばこれで元の仕入れを上回りたいという甘いことを考えたりもしていますが、真面目な話これだけ匂いに特徴のある木を、ただ短絡的にウッドデッキ材にしか使おうとしていなかったのは宝の持ち腐れというか、私に見る目が無かった!当時は建築以外には出口も見えていなかったし、発想力もルートもありませんでした。しかし今なら匂いや形状、いや際立った物語さえあればそれだけでも出口に導けるだけのフェチな経験値もSNSもありますので、残った在庫からでも新しい出口を目指してみます。




数日前に、油を採取するために丸太に穴を開けたタイ産のアピトンの事を書きましたが、ブログアップ後にその事に関する貴重な情報がいくつか入ってきましたので本日はその事についてこの話は原木問屋の営業マンから聞いたもので実際にその場面を見たわけでもありませんし、具体的な採取方法もSNSなどでも調べましたが見当たりませんでした。なので勝手にかなり古い時代に行われたものだと(穴の周囲の樹皮の状況からもかなり年月が経過しているように感じられたので)思い込んでいました。

そしたら、タイ在住の『森のかけらアジア特使』であり『世界のふしぎな木の実図鑑』の著者でもある山東智樹さんから、大変貴重な情報をいただきました。それがこちらのアピトンの立木から実際に油を採取している写真。山東さんによると、タイの博物館に使われている写真だそうです。採取されている人の服装を見ると、そんなに大昔のようには見えません、私はてっきりもっと昔の話だと思っていたのですが、近代まで行われていた(いる)のか、あるいはただ単に採取方法を再現した写真なのかもしれませんが。

そして更に貴重なのがこちらのタイの博物館にあった採取のレプリカ。アピトンの立木に穴をくり抜き、樹脂の出をよくするためにその中で火を焚いている場面です。そうか、それで穴の中が焦げたように真っ黒になっていたのか!これで合点がいきました。いやあこれは非常に貴重な資料です。これが博物館でレプリカとなって展示されているという事は、やはり採取されていたのはかなり昔の時代ということなのかもしれません。更にこの丸太を現地で調達した材木屋さんとも繋がり、アピトン丸太の流通事情も分かるなど、1件のブログから大きな広がりとなりました。こうして愛媛にいながらにして遠くタイの丸太の現地情報が入手出来るのは本当にありがたいことです。こうやって集まった情報によって【森のかけら】により深みが出てきます。

山東智樹さんの著書『世界のふしぎな木の実図鑑』にアピトンの実の写真がありました。アピトンはフタバガキ科で、一般にラワンと呼ばれるホワイトラワンなどと同じ科に属しています。フタバガキ科の実は見の一部が羽根のような形状をしていて、回転しながら落下するのが特徴です。そのアピトンの写真がこちら。アピトンの正式名称は『ディプティロカルプス・アラッス(Dipterocarpus alatus)』。この不思議な形は飛行原理に適しているようで、この形状を模した玩具『スカイコプター』は『木のもの屋・森羅』でも取り扱っています。専用のカタパルトで空に向かって打ち上げるとクルクルと回転しながら落下していきます。落下する際に思いがけない方向に流れていってそれをキャッチするのも面白くて、一度やったら病みつきになります。

アピトンの種もそうやってより遠くへ種を飛ばして種を残していこうとしているのだと思います。また回転落下することで地面への衝撃をやわらげる効果もあうのだとか。植物の生命本能恐るべし。そんな沢山の情報が詰め込まれた山東さんの本がありがたいのは、学名がカタカナ表記でも書いてあるという事。英語に弱い私などはこれがどれほどありがたいか!「タイ・チェンマイからランバーンに向かう旧街道沿いの並木が有名」との表記がありましたが、いつか丸太になる前のアピトンの姿をこの目で見てみたい。




いつも告知がギリギリなのですが・・・明日11月5日は恒例の大五の日』です。残念ながら今回は平日開催という事ですが、朝8時から夕方18時ころまで開催していますので、時間に都合のつく方のご来店をお待ちしています。平日という事もあるので特別に趣向を凝らした企画を用意しているというわけではありませんが、材料を選んで簡単な加工もしたいという方向けに倉庫の中にも作業スペースを作ったりしています。まだまだ整備の途中ですが、徐々に倉庫の改造も進めています。

ちなみに来月の12月5日は待望の日曜日開催ですし、年明けの1月5日は新春1発目なので、それぞれ何かしらの特別企画を考えようと思っています。弊社の周辺環境も大きく様変わりしまして、今では日々来店されるのは大工さんや工務店さんよりも一般の方が圧倒的に多くなりました。完全にそちらに軸足を移したというわけではないのですが、プロの方は普段の注文だとルーティン化されているので、何を何束とか電話やメールで済んでしまうので来店の必要もありません。一枚板でも必要な時にご来店される程度。

一般の方は幅が広くて、数本の端材や薪を求めてこられて自転車に積んで帰られる人もいれば、家族でやって来られた半日以上のかけて熱心に工作される方もいますし、個人でオーダー家具の注文に来られる方も増えています。個人なので商業店舗などのように数量や金額にボリュームがあるわけではありませんが、口数で言えば個人の方からの注文の方が多いぐらい。カフェのオーナーからの直接のご依頼なども増えているのですが、有償の宣伝広告をほとんどしない弊社にとっては、口コミとフェイスブックやインスタグラムなどのSNSのお陰。

それでDIYに目覚める方も多くて、ちょっと変わった材を求めてやって来られる方も多いので、端材コーナーは定期的に入れ替えようと思っているのですが、なかなかそこまで手が回らず・・・。12月か1月に一旦現在陳列している端材コーナーの大セールをして商品を回転させようかと考えています。他にもこんな企画もあんな企画もしたいと思う事は多いのですが、アイデアあり過ぎて実践が間に合わず💦そんな試行錯誤の最中の明日の『大五の日』ですので、もしかしたら企画挫折でもういいやと破格値で放出するモノもあるかもしれません。大穴狙いのご来店もお待ちしてます(^^♪




数か月前にこのブログで「レジン」について書きましたが、その後もレジンで使う木が欲しいという問い合わせは増えています。弊社ではレジン加工はしていないので、あくまでも素材の供給だけなのですが、今までどういう売り方をすればいいのかよく分からなかった変形の耳付き材に「出口」が生まれたのはともかくもありがたく嬉しいことです。それで本日は、弊社の材を購入していただきレジン加工をされている方の中のおひとりをご紹介。東京の江東区で樹脂加工の専門店、『タルパ  talpa』さん。

木はもちろんのこと金属、ガラス、羽、などなど何でも独自の樹脂注型(ポッティング)技術で樹脂に封入されます。デザイナーのアート作品をはじめ店舗や商空間向けのオリジナリティ溢れるクリアーレジンのテーブルトップやテーブルなどを製作されています。私自身はレジンの加工について知識が無いのでよく分かりませんが、一般的には対象の隙間にレジンを流し込み形成していきますが、タルパさんは独自技術で全体をレジンで固めるので対象物が乾燥してない生材でも可能だということらしいです。

また、熱をかけずに硬化させるため封入物が変化しにくく、思い通りのレイアウトが可能とのこと。弊社のオンラインショップでは、200年生の耳付きのホルトノキクスノキなどをご購入いただいてレジン作品を作られていますが、その完成品がこちら。この写真に使われているのは耳付きのクスノキで、耳分部を向かい合わせて峡谷に見立てて、その中に青い河が流れているようなデザインになっています。この形状のものは、その形から『リバーウッド』とも呼ばれています。

こちらはホルトノキを使った枯山水のイメージ。タルパさんが発案されたレジンの新境地。オーダーも可能という事で、技術力の高さから沢山の注文を受けられているそうです。今後もますます弊社の「変わり者」たちを晴れ舞台に導いていただきたいです。丸太を挽けばこういう耳付の変形はいくらでも自然発生して売り口に困るぐらいですが、都会では定型にカットされたり加工されたモノが主流で、どこにもあるようで案外無い。山で産されたモノが都会で河に生まれ変わっていく新たな流れが生まれています。




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