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| 北米産のホワイトアッシュが入荷。弊社ではホワイトオークと並んで回転率の高い広葉樹のひとつです。在庫があと数枚というぐらいになると、ああやっと全部売り切ったという安堵感があるものの、早めに次の手当てをして在庫の谷尾を作らないようにしなければとの焦りもあって複雑な気持ち。なければないで落ち着かず、あればあれでどう売ろうかと悩む、アンビバレントな気持ちは毎度のこと。ところで汎用性の高いこのホワイトアッシュが今、切実な問題に悩まされています。それは・・・ |
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昨年、仕入れている商社のほうから情報は入っていたのですが、まだそこまで問題は切迫していると思っていなかったのですが、今年に入って徐々にその影響が出てきました。それは「虫害」の問題。ホワイトアッシュの生育域は、カナダの南部からアメリカ全域ですが特にアメリカ東部一帯が有力な分布域と言われています。そこで、近年エメラルドアッシュボーラーという甲虫による食害が発生し、その被害も信じられないくらいの規模で、ホワイトアッシュの大木が次々に立ち枯れしているのだとか。 |
| このエメラルドアッシュボーラー(EAB)という虫は、もともとアメリカにいた虫ではなくて、今から30年ほど前にアジアから来た外来生物ということだそうで、外来生物で悩まされているのは日本ばかりではありません。このEABは、ホワイトアッシュなどのトネリコ類の木が大好物ということで、狙いを定めて食べているらしいのですが、その食欲とスピードは恐るべし勢い!そのせいで既に一億本以上ものアッシュが立ち枯れてしまっているそうで、その被害は深刻でアメリカ全域に広がっています。 |
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アメリカ政府も手をこまねいているだけでなく、アジアからEABを寄生する蜂を輸入したり、ミネソタ州ではEABに感染した木の匂いを嗅ぎ分ける犬を導入するなどの対策を講じているようですが、圧倒的な数の前にはなす術もないようで、事態はかなり深刻なようです。リアルタイムの情報というわけではないので、現在の正確な状況は分からないのですが、国内に入ってくるホワイトアッシュの量がその深刻さを物語っています。恐らく今年は全国で、ホワイトアッシュが不足する事態が発生するかと!?続く・・・ |
| ツガ(栂)の木は環境汚染に敏感で成長も遅く、高地を好むことから、ほとんど植林はされておらず、現在産出されるのもそのほとんどが天然林。そのため量も少ないのですが、ツガを挽く製材所そのものもほとんど無くなっているので、いい原木が出れば塩野商店さんに声がかかるそうです。挽いたところでそれを売るルートがなければ意味がないわけで、そこはやはり永年の経験とネットワークが大切。恐らく塩野商店さんにも全国のツガフェチから問い合せや注文が届いているはず。 |
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私は、徳島の井原製材所さんからツガを分けていただいていたのですが、久し振りにお電話させていただいくと、やはり原木の供給が不安定で、今は主力をスギなどにスライドさせているとの事。原木供給だけでなく、使う側も安定的にオーダーしなければ、製材の軸には出来ないのは当然の事で、そういう意味では困った時だけ相談して私自身も猛省しています。こういう貴重な材に関しては、挽く側(製材)だけに委ねるのではなく、売る側(材木屋)も相応の努力をして、固定ファンの構築をしていかねばならないと思います。 |
| そのためにもまずは、地栂(内地栂)の存在を知ってもらうことが肝要だと思います。存在そのものが幻となりつつあるものの、小さな木であれば愛媛からでもいくらかは出てきます。そういう小さなツガの丸太にもそれなりの価値を与える事が大事。弊社はそのひとつとして『木言葉書』で母親に贈る木として物語を組み立てています。栂の実が親指(母指)ぐらいの大きさであること、樹液が白くてお乳のようであること、枯葉に栄養分が多くて腐葉土となり森を育てるマザーツリーであることなどがその由来。 |
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木篇に母の字が充てられるツガは、色目も美白でフローリングとしても最高の素材です。かつては武家屋敷など相応の地位の人でなければ使えなかったというのも分かるほど品格を感じる木でもあります。ツガの木言葉は『堅固』ですが、名は体を表す言葉通り、冬目は驚くほど固く堅牢で、レーザーすらも反発するほど。弊社にはかつて仕入れた『霧島栂』、『土佐栂』の角材、板材、テーブルサイズの耳付きの一枚板などが残っていますので、少しずつそちらも公開させていただければと思っています。母なる木・栂、まだまだ幻にしてしまってはいけない! |
| 先日、大阪から地栂の造作材が届きました。最近、若い現場監督から「ツガってベイツガの事だと思っていたけど、日本のツガってあるんですか?」と質問を受けましたが、そう思ってしまうのも仕方がないぐらいに日本のツガは建築現場においては幻の木となっています。私の場合は、たまたま若い頃に運良く『土佐栂』との出会いがあったお陰で、日本のツガ(日本栂とも地栂とも呼ばれます)に馴染みがありますが、今だと余程こだわりや知識のある人でなければ使われない木となってしまいました。 |
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今回、地栂の造作材を挽いていただいたのは大阪の塩野商店さん。自社の会社紹介から引用させていただくと、『主に柱や造作材に使用されている、内地栂の挽き材を中心に、欅松杉桧などのあらゆる銘木を販売を行う。内地栂は、主に柱や造作材、縁甲板に製材。特殊な注文にも対応できるように厚盤も扱っており、また、自社製材所にて賃挽製材も手掛ける。一般の利用も可能で、古木の再利用なども積極的に受け入れている』という大変貴重で頼りになる製材所。 |
| 大阪の『なぐり王子』こと橘商店の橘明夫君に紹介してもらって知り合ったのが、塩野商店の塩野和貴専務。橘君と同世代で、彼が『栗屋』ならば、塩野君は『栂屋』。かつてはそういう特定の樹種にこだわった専門店的な製材、材木屋もあったのでしょうが、昨今は何でも浅く広く扱うスーパーマーケットのような店ばかりになってしまい、特定樹種にこだわる矜持を聞けなくなって寂しく感じていますが、若い世代が専門性を持った店を継承されているのは心強いことです。 |
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専門性が強いと言ってもツガそのものの産出量が限られていて、さすがに今はそれだけで商売が出来るレベルにありません。全国的に見てもある程度の天然の栂林が残っているのは、高知~徳島一帯(木童の木原巌さんが『土佐栂』と命名したのがこれにあたります)と、九州の『霧島栂』、長野の『信州栂』と、紀伊半島の和歌山~三重一帯などごく一部。塩野さんのところは大阪という立地から、和歌山周辺から産出されるツガを仕入れられることが多いそうです。明日に続く・・・ |
| 今日もホルトノキの話なのですが、ホルトはホルトでも痛い話ではなくて美味しそうな話。200年も経過すると木も、若木とは全く違うものに変質してしまうようで、とてもこれが「木肌が白いことから、それを利用して杓文字に加工するためシラキとも呼ばれる」木だとはとても思えません。弱って倒れたということで、ところどころ腐食があって、ただ単に経年でこうなったわけではないと思うのですが、これ以外に200年の時を経たホルトノキを見たことがないので比較のしようもありません。 |
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心材部分の赤身も濃い茶褐色~黒など複雑な色合いに変質していて、水分もたっぷり含んでいて重さも半端ありません。心材と辺材の境が明瞭で、そのカタチにすらも歴史を感じるのです。辺材部分は淡いクリーム色ですが、ところどころ赤身を帯びていて何やら妖しい気配。倉庫を整理していたら、以前に入手していた小さなホルトノキが見つかったのですが、そちらは全身クリーム色で、杓文字に使おうと思われるのも納得の色合いでした。たぶんそれが本来のホルトの色目。 |
| 心材部分は木目も濃い縞柄になっていて、以前にもブログでオリーブと見まがうと書きましたが、この後乾燥を経てこの色合いがどういう風に変わっていくか次第ではありますが、このままいけば用途も相当に広がりそうです。心配なのは鉄のように重たいこの木がどれぐらい軽くなるのかという事。いろいろ調べてみたのですが、気乾比重の明確なデータが見当たらなかったのですが、一説には0.70という記述もあって、乾燥してもまあまあ重たい木(イタヤカエデやアサダと同程度)に属するようです。 |
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200年生という事で、既存のデータには当てはまらないようにも思われるので、どういう風に変化していくか注意深く見守りたいと思います。辺材の赤身を帯びた部分は、まるで生ハムのようにも見えます。ここだけ部分的に抜き出せば、生ハムといっても通じそうなほど。心材と辺材の差がこういう風に極端な場合、【森のかけら】に木取りした場合に印象が全然違ってきます。正攻法で攻めるか、あえてこういう特別な部位を使って「これがホルトノキ?」なんて質問を浴びるか、偏屈者としては悩みどころです。 |
| さて昨日触れたホルトノキですが、神社で200年も鎮座ましまして人々の暮らしを見守った木ということで、私なりに敬意を払ってはいたものの、ちょっぴり怖いところもありまして、その不安が少しだけ的中。神社の木というのは今までにも何度か扱ってきたことがありますが、何が怖いかといいますと、ご神木や鎮守の木を伐採したというその行為でなはなく(そういう木は朽ちたり枯れたりして危険とか災害で倒れたなど何らかの致し方ない事情があるわけで)、もっと実務的な事です。 |
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それは「釘」。木に釘が撃ち込まれているケースが多くて、製材中にそれに当たってしまうと鋸の刃が一発でダメになってしまいます。金属探知機で下調べしたりもするものの、大木となると釘が中に取り込まれていたり、錆びていて探知出来ない事も多く、しばしば釘を挽いてしまう事があります。案の定、ホルトノキにも釘が打ち込まれていて(しかも何本も!)、鋸の刃がお釈迦になってしまったと連絡が・・・。部分的な腐食もあって赤身が変質していて、見た目では釘の存在も分からないほど。 |
| そもそもなぜ木に釘が打ち込んであるのかという事ですが、考えられるのは「丑の刻参りの呪い釘」!憎い相手の藁人形を作り、憎い相手へ恨みの念を送りながら、五寸釘を打ち込んでいくというもの。これを7日続けると願いが成就するという。その行為はかなり古くからあるものの、人形を使って相手を呪殺しようというシステムは江戸時代辺りに確立されたとか。果たしてその行為が実際どれほど世間で行われてきたのか知る由もありませんが、業界では「呪い釘」とされ忌み嫌われてきました。 |
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余談ながら今でも「丑の刻の呪い釘」は行われているそうで(神社にその痕跡が残っている)、それは日本の刑法では「呪術では人を殺しても殺人罪に問われない」からだとか。殺意を持ってその行為をしたとしても、科学的な因果関係が証明できないため殺人罪としては捕まらない。ただし、相手にその行為を行ってることを告げるなど、相手に精神的な強い恐怖感を与えたりした場合は脅迫罪が成立することもあるそうで、他にも悪質だと不法侵入罪や器物破損罪で捕まる事もあるので、呪い釘はやってはいけません! |