森のかけら | 大五木材


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弊社で在庫している一番大きなサイズにチークがこちら。サイズは、長さ2500×幅1100×厚み40mmのかなり大きなもの。入手してからもう10数年が経過しました。もともと複数枚あったのですが、これ以外はすべて売れてしまいました。多少端にクラックや節もあり、芯も少し絡んでいますが、このままで大きなダイニングテーブルになるサイズです。いくら希少になったチークといえども、全国の名だたる材木屋、銘木屋に行けば、こんなもの比べ物にならない巨大で雅趣に溢れた立派なチークはまだまだいくらでも残っていることでしょう。それに比べればこのチークなんて少し大きなぐらいで、特別際立ったものではないでしょう。銘木屋恐るべしです!それでも私にとってはご縁があって偶然手に入った想い出深い大切なビッグチークです。

それでも私は、チェンソーの跡のついたこのチークの板が大好きです。木に惚れ込みすぎては商売になりませんが、後先考えるときっとこれぐらいのサイズのチークの1枚板は、弊社では二度と仕入できないかもしれません。モノがあったとしても、いつ売れるやも分からない木に高いお金を出して何年も寝かせておく余裕は、これからは正直ありません。出口が見える材、出口を作れる自信のある材ならば、いくら寝かせても不安はありませんが、やはりチークは別格なのです。

チークはいわば大トロです。どんな問屋が扱おうと、どんな料理人が手掛けようと、元ネタがいいので美味しくなるのは当然なのです。つまり偏屈材木屋としては、出番のない、関わり甲斐の薄い材なのです。ですから本来立派なチークは、相応の材木屋の名店にあってしかるべきなのかもしれませんが、ご縁があって弊社に来てくれたチークに余計に愛おしさを感じてしまうのです。出来る事ならこのご縁、ずっと手放したくないなんて・・・それでは商売人失格でございます。

売りたいような売りたくないようなチークですが、現在チークの注文材(工場で規格化されたフローリングなどではなく、注文に応じて製材してもらうもの)は、1平方メートル100万円以下では手に入らないのは常識で、他の材と比べると相当に高価です。ただし萬福寺などのように、チークで大きな柱や桁を取るのでなく、意匠的にワンポイントで使う程度であれば、1本単価に換算すれば仰天するほどに高額になるわけではないので、過度にチークを敬遠なされますように。




チークが普及し始めると、チークに非ざる「OOチーク」といったまがいものの格安品が出回ったりするのか困りものであります。それほどチークという名前が、高級材、高品質の代名詞のようになっている人気ゆえの証拠でもあるのですが、全然品質の劣るものがチークと称して出回り、そのことで誰かが不幸な目に遭っては気の毒です。それでよく誤解されるのが、タイランドチーク、ジャワチーク、ネシアチークなど産地を冠した銘柄読みとは違いますのでお気をつけください

例えばアフリカンチーク(イロコとかユーラシアンチーク(ぺリコプシスなどがその例ですが、全く別の種類の木にチークの名前を冠するのは問題だし、イロコやぺリコプシスにとっても迷惑な話です。もとの名前が一般的に浸透してないがための手段でしょうが、それは市場の混乱を招くだけですし、認知度の低い木だからこそ自分が積極的に押して広めていこうという気概が必要なのではないでしょうか。他人の褌で相撲をとるような考え方は厳に慎むべきだと思うのです。

弊社には現在、20年以上天然乾燥させたミャンマーのチークの耳付き板が10数枚あります。ここで乾かしたのではなく、ずっとお宝として持っていた材木店が閉店するというので買い取らせていただいたものですが、最近流通してるチークに比べると、色あいといい艶っ気といい比べ物にならない上質さ。耳付き材で、白太部分は虫害を受けたものやクラックの入ったものもありますが、今やなかなかと手に入らないレア物。少しずつ大切に販売させていただいております。

カウンターなど必要寸法を木取りして残った端材も、当然【森のかけら】や『モザイクボード』に使い、文字通り骨まで利用させていただいております。チークの気乾比重は0.68という事なので、ホワイトオークと同等ということになりますが、体感としてはチークの方が随分軽く感じます。高価な材ゆえ、それほど大量に端材も出るわけではないのですが、モザイクボードなどでチークを見つけたら幸運です。しかしあれだけ多彩の色調の中では地味に見えてしまうかもしれませんが・・・




現在、日本においてチークとしてもっともポピュラーな商品はフローリングだと思われます。昔から、厚み15mmの乱尺(長さが一定ではない)サイズの1枚もののフローリングは作られていましたが、後になって300〜450mm程度の短い材を繫ぎあわせたユニ・フィンガージョイント加工された商品が作られるようになりました。ちょうど植林チークも出回るようになった事から、それまで高級で手の届かなかったチークが割安になり、広く普及するきっかけとなりました。

チークは金属との相性がよくて、接触面が腐食しにくいという点も重宝される理由の1つですが、他にも充分な強度があること、適度な硬さがあること、そして比較的狂いが少なく寸法安定性が極めて高いことなどからもフローリング材として好まれる理由です。チークの特性であるしっとりした質感を生かすためにも、弊社では表面に塗膜を作るウレタン塗装ではなく、材に浸透していく植物性オイルをお薦めしています。オイルで濡れ色になったチークの表情は更に濃厚になります。

弊社では、天然もののミャンマーチークインドネシアなどの植林チークを使い分けて販売させていただいております。天然ものの方が、年輪も緻密で色あいも濃いいのですが、その分色の濃淡幅は広く、かなり激しいコントラストになります。独特の縞柄や筋なども含まれるため、貼りあがった全体のバランスを重視される方は敢えて色ムラが少なく色調が整った植林チークを選ばれる場合もあります。これはどちらがいいというよりも、ひとそれぞれの好みの問題だと思います。

ちなみにこちらが植林チークのフローリング。上の天然チークに比べると、色あいも薄く全体的に淡い印象があります。撮影時の照明の関係もありますが、それでも数年すると経年変化でもっと落ち着いた色合いに変わっていきます。天然チークは生産が不安的な要素もあるため、入荷量そのものがタイトで、時々全国的なレベルで欠品状態に陥ることもあるため、使われる場合はなるべく早めに相談されることをお薦めします。数か月前にそのような状況になり混乱が続いた経験があります。




次に世界で有名なチークを使った建築物をご紹介。バンコクでは100年ほど前に建てられた『ウィマンメーク・パレース』というチーク御殿があります。タイ語で「雲の上」という意味を持つこの建物は、イギリスに留学して建築を学んだラマ4世の子息による設計で、ビクトリア風の4階建ての瀟洒な造りです。驚くべきことは、この建物のほとんどがチークで作られていて、金物類は窓やドアの建具の取り付けなどの一部に使われているにすぎないというのですから圧巻です。

室内のフローリングは、チーク材をダボで固定するなど徹底されています。部屋数は全部で31室もありますが、チークのみを使った建築物としては世界最大だといわれています。もし今同じ仕様で建てようとしたら、当時の数倍のコストがかかるでしょうが、それよりも果たしてそれだけのチークが揃うものかどうか?!世界的に希少性が認知されているチークですが、国王様の命とあらば国内から選りすぐりの良質なチークが簡単に集まってくるのかもしれませんが・・・

古くからチークの優れた性質は人々の知るところとなっていたようで、かのピラミッドや古代バビロビア宮殿からも、チークで作られた家具が発掘されていますマホガニー、ブラック・ウォールナットと並んで『世界三大銘木』と称されるのは伊達ではなく、世界中でチークは珍重されてきました。ベルサイユ宮殿の内部を彩る家具や装飾、オリエント急行の内装、豪華客船クイーンエリザベス2世号帆船カティサーク号のデッキなど歴史的な建物や乗り物などにも使われています。

またイギリスがインドやビルマを植民地としていた当時、大量のチークが伐採され、英国海軍の軍艦に使われました。チークには多量の油分、木製タールが含まれているため、触ると蝋のような独特のねっとりした触感があります。これによって鉄の腐食を防ぎ、釘やボルトを錆びにくくさせる効果があります。また酸化や腐食にも強く、酸や塩、水などにもよく耐え、シロアリやフナクイムシにも侵されにくいことから、大和などの戦艦や客船、クルーザーなどの甲板に用いられたのです。更に続く・・・

文章挿入 右写真挿入




本日は日本におけるチークの歴史について。日本においてチークの建築物として有名なのは、江戸時代初期に四代将軍徳川家光の時代に建立された京都・宇治の萬福寺(まんぷくじ)があります。江戸初期に中国から弟子30人を連れて日本にやって来た隠元(いんげん)禅師が、寛永元年(1661年)に建て始め、7年の歳月をかけて完成させました。この本堂の柱などにチークが使われていて、別名「チーク寺」とも呼ばれています。寺ではチークを「鐵梨木」と表記しています。

隠元禅師については、以前『今日のかけら・キハダ』の項でも登場していただきましたが、インゲンマメを伝えた人物として有名で、様々な中国文化を日本に伝えた名僧として知られています。当時チークが一般的に流通していたという記述も残っていなければ、同時期に他にチークの建築物が見当たらない事からも、萬福寺に使われたチークは当時貿易商がオランダ人から入手して寺に寄進したものと、幕府が特別に下賜(かし)したものの一部であろうと推測されています

時代は変わりますが、わが愛媛県の誇る瀟洒なフランス・ルネッサンス風の洋館・萬翠荘(ばんすいそう)にもチークがふんだんに使われています。萬翠荘は、大正11年(1922年)に、旧松山藩主の子孫久松定謨(ひさまつ さだこと)伯爵が別邸として建てたもので、設計は後に愛媛県庁本館などを手がけた建築家木子七郎氏の手によるもので、90年以上が経過した今でもその優雅な佇まいは古びれるどころか時代を越えて健在です。現在では国の重要文化財に指定されています。

二階で開催される企画展は有料ですが、一階は無料で見学が出来ます。ときどきイベントも開催されていて、身近に感じる事が出来る重要文化財の1つです。私の娘も小学生の頃、ピアノを習っていた時にここで発表会があり、何度も訪れました。娘の出番まで室内を見学させていただきましたが、優美な設計とふんだんに使われた良質なチークにため息が出るばかりです。チークは決して派手で豪奢な木ではありませんが、その品格溢れる雰囲気は時代や国を超越して万国共通です。




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