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さて本日はイタウバの特徴について。イタウバは濃い茶褐色で、見た目にも重量感がストレートに伝わってくる木です。同じ「アイアンウッド」の中でもウリンに比べると比較的灰汁(アク)が出て、施工後に基礎のコンクリートなどを汚しにくい木だと思います。あくまでも私の経験上ですが・・・。それでも長期間の保管によって、桟積みした部分にわずかに灰汁が染み出しています。白っぽく見えるのは、桟のために経年変化を免れた部分。つまりかなりもともとの木肌です。その上の濃い筋が灰汁の跡です。
施工前には気になるかもしれませんが、施工して数ヶ月もすれば紫外線の影響を受けてすっかり馴染んでしまいます。さらに数年もすれば経年変化で灰褐色になればどの木もロマンスグレーに「成長」しますが、そのわずかな期間も施主さん、設計士さんには気がかり。イタウバはそもそもが濃い茶褐色なので、退色による変化の驚きが少ない方かもしれません。表面を削ってみると、その削り粉はやや黄色味を帯びていて、時間と共に変色します。
梱包の中には、こんなカーリー(波のように皺が寄ったように見える柄)状の杢が出ているものもありました。メープルなどに現われれば相当な価値があるのですが、装飾的な美しさや妙味よりも、耐朽性や強度の方を優先するウッドデッキにおいては、その「価値」はあまり歓迎されるものではありません。むしろデッキ材としては、全体のトーンバランスを逸する「異形のもの」とされてしまいます。イタウバに限ったことではありませんが、用途によって「価値」は変わってきます。
ところでイタウバの端材が出た時に、『モザイクボード』のワンピースにも使った事があったのですが、時間が経つとわずかですがアクが染み出て他の材に影響を与えてしまいました。【森のかけら】は、キューブに加工仕上げして、樹種ごとのカゴにいれて保管してあるのですが、長い時間密着しているとアクが染み出て白いネームシールがきばみます。木の「個性」も使い方、見かた次第でよく見えたり、見えなかったり、気付いたり、気付かなかったり・・・。
先日に続いて、ウッドデッキ材・イタウバの話。それで、現在は必要なサイズ+αに絞り込んで、必要量だけを必要な時期に合わせて少量配送に切り替えました。大型車によるスケールメリットはなくなりましたが、長期在庫の金利負担もなくなりましたので、むしろ今の方法の方が無駄がありません。それも大量にさまざまな樹種を取り扱っていただく商社の皆さんあってこそのこと。その関係でもっとも安定しているのがマニルカラなのです。
ただし、ただ材として考えた場合、イタウバは決して悪い材ではありません。むしろ供給とコストが安定するならば積極的に使いたいぐらいの木なのです。しかし現実には、現在の中南米の林業界は、一時期木の盗伐、乱伐が横行したため厳しい管理の元、伐採計画が行われており、信頼できる仲間がいなければ、仕入れる方としても心配が尽きません。それで今はマニルカラに絞込み、他の材については現在手持ちの在庫がある間だけ販売しております。
つまり在庫がなくなればその時点でイタウバも弊社の倉庫から姿を消してしまうかもしれません。来るべきその時にイタウバの状況が変わっていれば検討するかもしれないのですが・・・。それで長期間在庫してあったイタウバが先日まとまって売れて、その日がかなり現実的になって来ました。ただし、それはあくまでも弊社内部での話で、全国にはイタウバを大量・安定的に流通されていらっしゃる商社や材木店もあると思いますのでくれぐれも誤解のないように。
自分の店でどんな材に絞り込んでどんな材を扱いどういう特色を出すかというのは、それぞれの店の経営判断です。今のところ弊社においては、絞り込むデッキ材の候補から漏れているというだけの事で、イタウバが今後全国的に入荷が厳しくなって扱いづらくなるという話ではありません。私のネットワークの範疇では、ちと難しいぞという判断をしたまでの事。しかもその理由は、材質の問題ではなく流通上の事ですので、イタウバには何の瑕疵もありません。
★今日のかけら・#132 【イタウバ】 Itaube クスノキ科・広葉樹・ブラジル産
先日の誓いを達成するために早速始動!本日俎上に乗せたのは、ブラジル産の『イタウバ』です。弊社が本格的にウッドデッキに取り組み始めたのは、今から10数年前ですが、その当時はまだ今ほど樹種のバリエーションがありませんでした。なかったというのは御幣があります。この辺りでは流通していなかったというのが正確で、それらの木を扱う商社とのパイプも少なかったのです。今はむしろ数あるデッキ材中から取捨選択して材種を絞り込んでいますが。
今、弊社で基準としているのは『マニルカラ』(アマゾンジャラ)ですが、さまざまな種類のデッキ材が世間にも浸透したきたので、ウリンはないか?イペはないか?といろいろなハードウッドの名前が飛び出します。しかし、その中に『イタウバ』の名前を聞く事はほとんどありません。この少し変わった名前の木は、気乾比重0.96でかなりの重量感。データと見た目で感じるよりはややカチンカチンではありません。材木屋の体感としては、マニルカラよりも手に馴染む感覚。
ハードウッドは表面が蝋のような感触があり、複数枚重ねて持つと互いの滑らかさで滑りあってずれたりして危ないのです。イタウバもそうなのですが、実感としてはハードウッドの中では滑りにくいというのが私の感想。これはあくまでも施工前の材料運びでの感覚です。そのイタウバですが、恐らく松山の材木屋で在庫しているのは珍しいのではないかと思います。以前にお付き合いで、ある程度の量を固めて仕入れしたものがそのまま残っていたものです。
価格の事も当然ながら、材料屋として供給責任もありますので、自社にとってより供給が安定したものを選択せねばなりません。またウッドデッキ材については、商社の倉庫から弊社までの横持ち運賃が大きなネックとなります。以前はウッドデッキだけを10トン社満載にして、チャーター便で運んでいましたが、そうするとボリュームを作るためにたちまち必要のないサイズなども一緒に買うことになり、結果的に長期在庫→保管の粗雑さ→ねじれや傷の発生→不良在庫となっていました。
さあ、大きく脱線しましたメインテーマの『アガチス』に話を戻しましょう。アガチスに『アテ』が多いというところまでお話しておりました。かつて多用しながらも、小割りした際のあばれや青染みに苦労した頃は、私にとってあまりよいイメージの少なかったアガチスですが、その後あまり使わなくなり、しばらくアガチスから遠ざかっていました。決して高い木ではないのですが、その後需要も減った事から意識してアガチスを仕入れる事もありませんでした。
5,6年前に【森のかけら】を作るにあたって、久し振りにアガチスに触ったほどで、ああアガチスってこんな木だったんだと懐かしむほどだったのです。それが不思議なご縁で、最近私がもっとも手にする機会が多いのがこのアガチスなのです。造作材にでも使っているのか?いやいや、それは商取引のおける材料としてという意味ではないのです。では、それはどういうことかと言うと、木製マグネット「森のしるし」を作るスタンプの台木としての事です.
『南洋桂』という別名は、その材質の軽軟さ(気乾比重0.40~0.60)と癖の無さに拠るものです。癖が少ないというと、今までの話に矛盾するように聞こえるかもしれませんが、材質の安定している部分ではとではとても扱いやすい木で、しっかり乾かせて素性の良い部分を使いさえすれば判子の台木として適度な硬さがあり汎用性も高いのです。『森のしるし』をノベルティとして使っていただく場合、何千個とスタンプを押す事になるので、なるべく軽い木がありがたいのです。
アガチスのほどよい硬さは、しっかりインクをつけて押し続けても指先の疲労が少なく感じます。直接材に彫刻する木彫りのスタンプとしては、柔らか過ぎるのかもしれませんが、ゴム印に台木としては適材だという事です。建築分野ではしばらく遠ざかっていたアガチスですが、今私の机の前にはそのアガチスの台木で作られたスタンプがズラリと居並びます。こういう『再会』も嬉しいものです。木の出口、身近なところにまだまだ沢山あります。
昨日に続いて、『アガチスのアテ』から関連して映画『300(スリーハンドレッド)』の話です。強き者しか生きていく資格のないスパルタの国では、幼き頃より戦いを学び、18歳になると狼との1対1の対決を制した者だけが勇者とみなされるという恐ろしい掟があります。人に屈するぐらいなら誇りある死を選べなんていう男たちの国ですから、当然のように衝突歓迎。相手がどんな大国であろうがイケイケで武力衝突するという、決して関わりたくない戦闘集団なのです。
その結果、無謀ともいえる300人VS100万人の戦いに挑む事になるのです。実はこれ史実に基づいた話らしいのですが、実際は300人+数千の加勢VS10~20万前後の戦いだったそうで、300VS100万というのはかなり誇張した数字だそうですが、それにしても無謀な戦いであることに違いはありません。さて、そのペルシア軍との戦いを控えた戦場に、スパルタの国を出る時から軍の後を秘かに追いかけて来た異形の姿をした男がいます。
背中に大きなこぶを持ち異形の人として生まれた彼は、スパルタの掟で殺されるところ、親が逃がして生き延びてきたのです。その後不遇の人生を送ってきた彼は王の出軍を知り、自分も今こそ役に立って名を上げ汚名を晴らしたいと駆けつけてきたのです。泣ける~!そういう浪花節的な話に弱い私は、すわスパルタの王は仲間に加えると思いきや、王は冷静に彼に尋ねます。「その盾を頭上に掲げられるか?」異形の男の戦闘能力を確かめます。
気持ちはあっても満足な戦闘能力に無い男は、防御に一箇所でも穴があればそこを突かれるので、堅い結束とチームバランスを誇る我が軍には加えられないと冷酷な決断を下します。男は絶望して、逆ギレして敵に寝返り、秘密の迂回路を敵に教えてしまうのです。異形なものとして生まれてしまったアテ材を切る時、その異形な男の悲痛な叫びが私の脳裏に浮かび上がるのです。「王よ、かけらの王よ~!私を活かせ~!」嗚呼、すまぬ、すまぬ・・・涙・・・
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