森のかけら | 大五木材


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童心に戻ってリアル鉄人28号と戯れていましたが、なぜここにこんな巨大ロボがあるのかというと、この地が作者の横山光輝先生が神戸市出身で、震災後10年の節目に震災復興と地域活性化のシンボルとして、構想から7年の歳月をかけて作られたそうです。どうやら神戸に実物大の鉄人28号が出来るという話は、このプロジェクトが公表された頃から話題になっていたので知っていていつか見に行きたいと思っていたのですが、詳しい製作の背景までは知らなくて、今回ブログを書くにあたっていろいろ調べて初めてそのあたりの経緯を知りました。

新長田の駅に降り立った時から、街中にやたらと『鉄人』のポスターやらオブジェが目立つと思っていたら、街全体で鉄人を盛り上げようという気運だったわけです。という事で、新長田の街ではこの鉄人に関していろいろな催しも開催されていて、夏には「鉄人ビアガーデン」なども開かれているそうです。暗闇の中に立ち上げる鉄の巨大ロボを誰も気に留めることなくビールを楽しんでいるという何ともシュールな風景が、いかにも鉄人がここに居て当たり前感が出ていて素晴らしい!

その他にも、鉄人のボディの塗り替えをするリペアイベントがあったり、鉄人オリジナルグッズがあったりと鉄人フル活動!金田少年はおらずとも新長田の街の皆さんが巧みに鉄人を操っていらっしゃる。巨大ロボというと、お台場のガンダムも有名でした。こちらは期間限定のイベントということで、イベント終了後に解体されてしまいましたが、私は世代的にはガンダム世代ど真ん中で、中学生の頃には同級生男子はガンダムで盛り上がっていましたが、なぜか私は全然そそられず作品もほとんど観ていません。今年はタイガースもガンダムとコラボしていて、ガンダムのオリジナルフィギュア付きのチケットも販売していましたが、まったく興味が湧かず。あれがもし鉄人フィギュアだったら間違いなく先行予約で買っていましたが。ちなみにこのリアル鉄人は、フィギュア作家として有名な速水仁司さんの作品だそうです。次は鉄人グッズ買います。

右腕を振り上げたポーズも最高!しかし、高さ18mの巨大構造物をこの格好で自立させるのってかなり難しい工事のように思われますが、鉄人を生み出したぐらいですから日本のものづくり技術があればこれぐらいは朝飯前か。木を扱う者として、こういう鉄の造形物を見るとなんだか無いものねだりで羨ましく感じることがあります。勿論鉄だって日頃のメンテナンスは大切でしょうが、木ほどに経年変化は早くないでしょうから、『変わらない美しさ』に少しだけ嫉妬します。

 




こちらが全面に塗装を施して仕上がってパートリッジウッドあるいは、アンゲリンまたはダリナの完成した状態。アップで見るとあれほど緻密でのこうな杢がややかすんで見えてしまいますが、どっしりした重量感とくどすぎない上品さがあります。今までこの木の端材や小さなモノとしてしか販売したことがなかったので、なかなかご紹介も出来ませんでしたがようやく念願が叶いました。この後、この天板は大阪まで運ばれて現地でアイアンのフレームと鉄脚が取り付けられてテーブルとなりました。

まだ現地に行って完成した雄姿を見れていないので、いつか訪ねさせていただくつもりですが、今回このパートリッジウッドのテーブルに決めていただいたのは、今年の4月に立ち上がった『LLP-SAL 空間芸術研究所』さん。いつもお世話になっている松山市の㈱グローブコンペティションの代表の山田徹さんと、高木智悌さん、城野康信のさんの才人3人が集結して新たに立ち上げた組織です。大阪・京都、東京、松山の3拠点で本格的な活動を展開されるために、まずは大阪の拠点となるオフィス建設にあたり、この材を選んでいただきました。

私はまだ山田さんしか存じ上げませんが、こういう木を選ばれるということからも組織の柔軟性が感じられます。今後いろいろとおとなのあそび心に溢れた仕事をされていくと思うので、非常に楽しみである反面、そういう人たちを納得させられるような『個性的な木、変わった木、癖の強い木、到底常人では使いこなせそうにない木』などを仕入れて来ないといけないぞというプレッシャーもあります。もう普通の仕事には戻っていけそうになくなるつつありますが、そういう人間たちもいないと、マイナーの木の出口がなくなってしまいます。

そういう人たちって木選びも非常にアグレッシブで怖いもの知らず、いや何かあっても受け止める寛容さと乗り切れるだけの知見があるので、こちらの選択肢の幅も広がります。実際このパートリッジウッドをテーブルにしたのは今回初めてですが、こうして誰かが足を踏み出さないと新しい材の出口は生まれません。これで私も自信を持ってこの木を今後お勧めできますし、用途も広げていけそうです。あくまで私の感覚ですが、触感はニヤトーのような蝋のようなヌルッとした冷たい感覚です

こういうあまり知られていないマイナーな木って、知られていないなりの理由があります。物理的には供給量の問題や流通システムの問題の他に、材の性質の問題もあります。例えば乾燥すると極端にねじれるとか、後から後からダラダラとヤニが出るとか、虫が潜んでいて後から虫が出てくるとか。利用頻度が少なすぎてどういう特徴があるのかよく分かりませんが、こういう木こそ寛容で勇気ある大人の方に、従来とは違う物差しで、違う価値観で見定めていただきたい。木の多様性って、作る側にではなく使う側にこそあると思うのです

 




多品種を愛する偏屈材木屋にわざわざ遠方からやって来られるのは何も大工さんや設計士さんばかりではありません。その日弊社の玄関を開けられたのは、オブジェ 彫刻家の竹田 篤生君。竹田君はもともとは愛媛県生まれですが、高知大学に進学されて、芸術文化コースで彫刻に目覚めて、今までにも数々の受賞歴がある新進気鋭の木工彫刻家。その後高知を中心に制作活動をされていましたが、今年の春から生まれ故郷の愛媛に拠点を移されたそうです。なので厳密には高知からではないのですが、12年過ごされたという高知に敬意を表して。

竹田君がお店に来られたのは2度目ですが、生憎1度目は話が出来なかったので、今回初めていろいろ話をさせていただきました。もともとは、3ta2ギャラリーさん、セブングレインアートガレージさんがご紹介して頂いたのがご縁。過去に作られた作品を拝見しましたが、木のブロックの上で宙を駆ける躍動感溢れる動物たちの作品が私好み。長時間見ていると欲しくなってしまうので、あまり眺めていては危険と判断(笑)。彫り跡の質感を残した仕上げも木ならでは。主にクスノキを素材として使われているそうです。

それで、その日は大物に挑まれるという事で大きめの文章クスノキの丸太をご購入いただきました。木工彫刻家に愛されるクスノキですが、今まではあまり周囲にプロの彫刻家さんがいなかったので、こういう大物に彫材としてお声がかかることはありませんでした。アマチュアの方からも時々問い合わせがあるものの、サイズも量も小さいので、今まであまり意識することもありませんでした。最近では学校や神社、公園、街路樹などのクスノキが大量に入荷するようになってきたので、彫材という出口にも目を向けていきたいと思います。

本当は武田君はじめこういう方々に弊社で木材を買っていただき、それで作られた作品を弊社の2階で飾って展示会など開催出来たらなあと考えたりもしているのですが、あまりに集客が少なすぎると申し訳ないので実現できてはいません。多品種を扱うためにはより多くの出口を持っておく必要がありますが、それぞれの出口のなるべく川下に近づきたいと思うのです。勿論クスノキもいいのですが、出来ればそれ以外の木材も試していただいて、「ほとんど誰も使ってないけど、やっぱり木彫にはこの木だな~!」なんて発見があったら面白いのだけど。




松山市内の道後樋又にあった不思議なファンタジックなパン屋『雲珠(うず』さん。風の便りに東野方面に移転していたとは聞いていたものの、なかなか足を運ぶ機会がありませんでしたが、そんなファンタジックなパン屋のファンキーな夫婦の方からまさかこちらにやって来ようとは・・・!先日の昼前にあるひと組のご夫婦がご来店。たまたま勝岡の運転免許センターに免許の更新に行く途中、車窓から見えた耳付き板の山に惹かれて、吸い込まれるような勢いでハンドルを切られたのです。

最初は、木が見たいとにわか知識を振りかざしてやってくる冷やかし野郎かと思っていたら(失礼!)、これがとんでもない木材大好きフェチ夫婦でして、そこから昼飯もすっ飛ばして長くて熱い木トークが始まってのです。少し話せば本気がどうかはすぐ分かります。埃まみれの倉庫に案内すれば、オシャレな服が汚れるのもまったくお構いなしにズンズンと奥に入り、嘗め回すように木を選別。しかもむしろ奥さんの方が積極的なほどに!これこれ、こういう出会いがあるのが道路沿いの店の醍醐味!

聞けばご自分で加工もしたいとの事。それで道具はどれぐらいお持ちなのか、腕に覚えがあるのかなどと話していて、そこでようやく雲珠の店主夫婦であることが発覚!しかもお二人とも東京出身で、以前に松山に旅行した時の印象があまりによかったので、この地でパン屋を開こうと移住してきたという、やっぱり予想通りファンキーなご夫婦だったのです。奥さんの東京の実家の隣に材木屋があって、小さな頃からそこで遊んでいたので木の匂いや手触りが大好きなのだという、材木屋が泣かせの小ネタにも感激!


東京のひとだから木に触れる機会も少ないだろうなんて、私は自分の凝り固まった固定観念をハンマーで打ち砕きたい衝動に駆られたのです。あれもいい、これもいいということで結局その日は決められず、改めて後日再び店に来てもらい、ゼブラウッド楡(ニレの耳付き板をご購入いただきました!それで先日お店にお届けにいかせていただいたのですが、まじまじとお店を拝見・玄関には奈良の『徳田銘木』さんから買ったという変木が!まさかこういう形で徳田さんの商品と邂逅しようとは・・・!

移転前のお店も十分のファンタスティックでしたが、更にパワーアップ!パンの写真も撮らせてもらおうと思っていたのですが、社員のおやつのパンを買って帰るという使命も受けており、次々やって来られるお客さんに負けてなるかと買い漁っていたら肝心のパンを撮るのは忘れていました。店内至る所に木が使われていて、材木屋が始めたパン屋のようですらあったのですが、壁面に描かれた絵も自分たちで描いたということで、これはいずれコラボ商品開発の申し込みをせねばなるまい!年末の素敵な出会いに感謝!!




すっかり材としての説明ではなく、新商品開発の決意表明のようになってしまいましたので、改めて材としてのメープルについて。弊社では北米産広葉樹などの平板(挽き板)に関しては、厚みが30~33㎜で仕上げる方が主流なので、基本的には厚みが6/4inch(約38㎜)のものを購入しています。ただしハードメープルに関しては、家具というよりは造作に使っていただくケースが多くて、それに対応するため少し厚めの8/4inch (役51㎜)のものを仕入れています。ただでさえ北米産広葉樹の中では重たい木なのですが・・・

しかし重たい木を動かしていると、「俺、今働いてる~!という実感があって、自己満足の世界観に浸ることができます。こうして梱包された板材が入荷すると、弊社はみぎひだりで卸すような会社ではないので、すべて梱包をさばいて1枚ずつ倉庫に立て掛けます。その際に、幅で分けたり、検品も兼ねて行って、現在どういう材を在庫しているのかということを頭と体に叩き込みます。ハードメープルは重たいものの(8/4なので猶更)肌触りが滑らかなのと、そげらも少なくて担ぎやすい木のひとつです

4,5年前までは無垢の白っぽいフローリングというとメープル(チャイニーズ・メープル)が主流でしたので、それに伴う玄関の框(かまち)もメープルで作らせていただいていました。今はフローリングも茶系から黒系が主流になっているので、出番としては枠材敷居鴨居、額縁、カウンターなどに加工させていただいています。チャイニーズ・メープルに比べると、俗に『カスリ』と呼ばれる緑~黒の筋が出にくいのと、木そのものが大きいので挽き割っても挽き反りしにくく、弊社においてはロスが少ない木です。

ハードメープルの魅力は、ツルツルした滑るようななめらかさと、美しく多彩な杢の表情です。中でも、1万本に1本現れるとも言われる『鳥眼杢(バーズアイメープル)』はその代表格で、まさに銘木の風格(プレミア36の1つです)。また、緩やかに流れるようなカーリー杢や小さな波状の縮み杢(キルテッドメープル)をはじめ、杢が鱗状になったり玉状になったりと、芸術的な表情を見せてくれます。梱包をさばいていて不意にそんな杢が現れたりすると、途端に肩に乗せた材が軽く感じてしまうのです。この項完了。




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