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『おとなの部活動:シーズン2』は、コラボ商品の充実を図るということで、そのためにそれぞれが手持ちのネタを披露しあい、それを元に誰が何と組み合わせるかを考えます。こうやって改めて木という素材が、建築や家具などとは別の分野でどいう素材とどういう形で活かすことができるのかということを考える時間があるというのは、足元を見つめ直す意味でも大切なことなのですが、何よりこの場がありがたいのは、それぞれの道のプロフェッショナルから直接アドバイスをもらえる事。
特にこの『えひめのあるくらし』に関わるようになって、食の分野とコラボする機会が増えたのですが、話を聞けば聞くほどに食の場面でも木の活用機会は多いことを実感するのですが、私にとってありがたいのは、弊社にとっての最大の武器である多品種が全面的に歓迎されること。材の特性を生かした品種が求められる場合もありますが(硬さや重さ、匂い等)、樹種の制限がない場合は、触感、色目、重さなどの特徴が違う種類が沢山揃うことがアドバンテージとして理解されます。
奇をてらって斬新なモノを作るというのがこのプロジェクトの根幹ではありません。愛媛に根を下ろしてものづくりに真摯に、かつ楽しく取り組むちょっと個性的な『ものづくり集団』が、いかにして水平展開してそれぞれの個性を相殺させずに相乗効果を発揮することができるか、簡単にいえばどうすればもっとオモシロイものが生まれるのか、そして自分たちも楽しめるか、というところが肝。従来からあるモノをいかに『えひめのあるくらし流』にアレンジ出来るか。
ということで、今使われているモノのアレンジということであればなおさら木材にとっては優位性が増します。食の場面で使われる木のモノというと、箸、椀、まな板、匙(さじ)、器、包丁の柄、お櫃(ひつ)、匙(さじ)、トレー、コースター、スプーン、盆、爪楊枝、経木など多数。シーズン2からは、食部門の専門家も多くて、こういうモノが木でオリジナルサイズで出来たら嬉しいとの声もいただき、検討の結果、丸いまな板、ジャムスプーン、カッティングボード、菓子器を作らせていただき、それぞれの商品とコラボさせてもらうことになりました。
昨日に続いて『蜜蝋(みつろう)』の話。弊社の場合は普段からワックスとして蜜蝋を使っているため、蜜蝋というとどうしてもワックスのイメージが強いのですが、他にも化粧品や蝋燭や絵の具などさまざまな用途に利用されています。昨日も書いたように、蜜蝋には未精製の黄色いもの『未晒し蜜蝋/黄蜜蝋』と、精製した『晒し蜜蝋/白蜜蝋』の2種類がありますが、今までは後者の精製した晒し蜜蝋しか実物を使ったことがありませんでした。今回、林さんが持参されたのが黄蜜蝋。
正直その性質については詳しくないのですが、『未晒し蜜蝋/黄蜜蝋』は漂白処理をしていないため、蜜蝋本来の有効な成分や香り、色が多く残っているとのこと。若干蜂蜜のようなほのかに甘い香りがするということでしたが、仕事柄毎日木の匂いを嗅いでいるため、香りに対してかなり鈍感になっていて、私自身は匂いについてはあまり感じませんでした。見た目ではかなりチーズ臭がしそうですが。もともとミツバチが食べる材料によって、できてくる蜜蝋にも違いが出てくるそうです。
林さんの蜜蝋は、化学物質等を一切含まない100%のピュアな蜜蝋でしたが、これでワックスとかの製品を作られているというわけではありません。ワックスという大量に供給する必要があるものでなく、その生産工程を全面に押し出した手作りキャンドルやコスメなどに使ってみては等の意見もありました。最近、アレルギー体質の方の中には徹底して化学物質を含まない商品を使いたい(使う必要がある)という要望もあり、実際弊社にもそういう方がお越しになることもあります。
しかし私はその道の専門家でもありませんし、その手の勉強をしているわけでもないので、自分自身のバランス感覚の中で、出来るだけ人体に負担の少ないものを使いたいと考えています。症状に深刻な方には申し訳ないのですが、そういう場合はきちんと専門家の指導を仰がないと、材木屋の経験則のにわか診断で下手な事を言って、症状が悪化することになっては大変です。自然粗大だから絶対安全といわけではなく、物事には相性がありますのでそこをきちんと押さえておく必要があります。続く・・・
今年も地元の中学2年生による職場体験の季節がやって来ました。受け入れさせていただくようになって今年で3年目。一昨年は2人(男女)、昨年は男子2人(うち1人はわが愚息)、そして今年は男子4人。全体でどういう職種の企業がどれぐらいの数、この職業体験を受け入れているのか知らないので、よく分からないのですが、うちに来る子供たちの中には設計や建築を将来の仕事にしたいと考えている子もいるのに、よく材木屋を選んだものだなと不思議に思ったりするのです。
1つの企業で受け入れる人数の制限もあるので、決して材木屋が希望ではなかったのに、「おとなの事情」で材木屋になってしまったとしたら可哀想だなとも思うのですが、今年は4人もいるので第1希望も子もいたのだろうと納得することに。材木屋という、おそらく今の時代ではかなりレアな職業に分類されるであろう仕事については、生徒だけでなく先生の間でも大いなる誤解があるのかもしれませんが、願わくばいい方に誤解されていればいいのです。さあ、2日間の体験開始!
今年の4人の中には、親御さんが大工さんで自分も大工志望という本格的な子もいて頼もしいのと、今までの倍の人数になるので、限られた時間の中で何を体験させてあげられるか?!一応その年ごとに、子供たちに材木屋を選んだ理由を聴いて、なるべくその希望に合ったような仕事や人に合わせるようにしていて、一昨年はデザイナーさん、昨年は大工さんと話をしたり、その仕事を体験してもらいました。今年は4人いるので、1つの事を順番にしてもらうにしても待ち時間が問題。
そこで4人で一気に取り掛かれる仕事として、木の玉のヒートンの取り付けや木の玉の数確認などをしてもらったのですが、モノづくりをしたいという希望もあったので、少し時間を取ってめいめいで木のモノ造りも体験。さすがに材木屋を希望しただけあって、鋸を押して挽こうなんて子はいませんでした。その後は、クスノキの一枚板のサンダー削りとオイル塗装をしてもらい、毎回お世話になっている善家君のところでヒノキの鉋がけと、職人さんからの体験談と質問コーナー。
マッチの話の続きですが、以前に岩手にあった「日本最後のマッチ製軸工場」の話をアップしたことがあります。そこではマッチそのものではなくて、マッチの軸木を生産していましたが、今回の兼松日産農林のマッチ製造からの撤退は、マッチという商品そのもののを止めるということで、原材料の高い安いとか納期等の問題ではなくて、マーケット(需要)そのものが縮小し、ビジネスとしては成立しなくなるという話だけに深刻です。ちなみに兼松日産農林のマッチ事業売上は2億足らず。
それでも経常損益は赤字だったということで、需要が減少する中で設備の維持管理費が増加し利益を圧迫している構造だと思われます。国内に自動マッチ製造機を持つのは4社しかなく、同社を含め県内に工場を持つ3社で国内マッチの実に9割を生産しているそうですが、それらが兵庫県に集中しているというのは驚きでしたが、火薬を扱うマッチ製造において温暖な気候が求められたから。現在、業界統計によると、年間のマッチの出荷量は45本入りの小箱換算で約1億個だそうです。
兼松日産農林の淡路工場は70年代には、年間1億7千万個ものマッチを生産していたようで、今でも4割のシェアがある中での撤退ということですが、寡占化しても生き残れないというのは木材業界にもある話。特定樹種の競合相手が減ると、市場を寡占化できると思いきや、供給が絞られすぎて急ぎの需要や大量注文に対応できなくなり、その樹種がマーケットで避けられるようになり、代替樹種に取って代わられるという話は決して珍しいものではありません。
個別事情はいろいろありますが、例えば『ホワイトセラヤ』を含めたラワン系がそうでしたし、愛媛でいえばかつて『モアビ』や『アガチス』などがそのような道を辿ってきました。現在では『ウエスタンヘムロック(米栂)』がそういう状況に置かれていて、もしかして数年後には過去形で語られることになっているかも・・・。これは必ずこの素材でなければならないという絶対条件がない分野で勢力を広げた汎用性の高い樹種にとって、これからは厳しい時代になってくるかもしれません。
今年の秋、ほとんど話題になることもなく小さな扱いで、ある記事が新聞等に掲載されました。またひとつ『森の出口』が細まっていくという内容のもの。 記事の内容は、マッチ業界最大手の兼松日産農林が、2017年3月末をもってマッチの製造販売事業から撤退するという。兼松日産農林は1939年にマッチ事業に参入し、戦後の復興期には国内で10カ所以上の工場を運営していたが、使い捨てライターや自動点火コンロなどの普及により需要は縮小し、現在は1工場のみ。
それが兵庫県淡路島にある淡路工場で、それでも国内の4割のシェアを誇っているものの、設備の老朽化で安定的な供給が難しくなっているためマッチ事業からの撤退を決断されたとのこと。製品の商標権と製造設備の一部は、マッチやライター、紙おしぼりが主力の日東社(兵庫県姫路市)に譲渡されるそうで、「桃」や「燕」などの商標で知られるマッチの製造販売は日東社が引き継ぐことなので、マッチ製造そのものがなくなるわけではないものの、業界的にはかなり厳しい状況のよう。
マッチ、正確に言えばマッチ棒(軸木)も立派な『森の出口』の1つであり、軽軟な白木の貴重な活用手段のひとつでした。今回の件で改めてマッチ業界の現状を知って、用途は違えども同じ木を扱う人間として他人事とは思えない気分になりました。記事を拾うと、工場は神戸を拠点に「マッチ王」と呼ばれた滝川弁三の清燧(せいすい)社が、1905(明治38)年に設立。明治大正期の総合商社・鈴木商店のマッチ会社と合併するなどし、兼松日産農林が39(昭和14)年に継承。
かつては国内に10数カ所の工場が稼働していたが、今は淡路工場に1ラインを残すのみとなっていた。工場の自動マッチ製造機は1960年代に機械化が進んだものの、設置から約50年が経過し、装置を製造した機械メーカーは既に無く、修理部品も手に入らないため従業員が自作して凌いでいたが、昨年末に故障が頻発し製造能力が極端に低下したという。汎用性が低いという意味では大型の製材機械にも相通じる話。それらの理由から前身の企業から数えて112年の歴史は閉じられることに。
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