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集成材の黄金時代はその後数年続きました。しかも当時は4寸仕様で50坪を超えるような家が沢山あって、8帖の和室が続き間であるということも珍しくなかったので、そうなると長押だけで4m☓8本、1軒で集成材だけで100万円になるってことも珍しくなかったのです。今となっては考えられませんが・・・。それに合わせて弊社の中に占める集成材の量も増えていきました。しかし都会から遅れること数余年、地方都市にもバブル景気崩壊の影響が出始めるようになって急変。
集成材をメインで使っていた住宅会社が倒産!倉庫には山のように残った特別仕様の集成材・・・。その後、別の住宅会社がその中の一部を取り入れたもらったりしたものの、別注サイズが仇となって長らく「負の遺産」として、調子に乗って無謀な事をしてはいけないという私自身の戒めにもなりました。そこで主役交代。その後メインスペースの座は安定せず、その時々によく売れる材が、猫の目のように代わる代わる座るようになりました。しかし捨てる神あらば拾う神あり!
その頃、あまり大した展望も無くて、依頼された仕事のひとつとしてこなしていた家具の仕事が次第に舞い込むようになり、本格的に家具専用の木材を仕入れるようになりました。それまでは遠い存在であったブラック・ウォールナットやブラック・チェリーなどの北米材の平板が、増えてくると、材の搬出しやすい場所にということもあって次第にメインスペースの場所には、各国の広葉樹の平板が並ぶことに。黒、赤、茶、黄、白など荒材でもメリハリのある色彩が目に眩しかったものです。
それから更に耳付き板の取り扱い量が増えてくると、お客さんに見せる意味も込めて倉庫の中に立てるようになりました。その頃はまだ売れるどうかもよく分からず、地元でも様々な広葉樹のしかもゲテモノのように思われてきた珍種やら変種を揃えていくことにスタッフからの理解も得られていなかったので避難轟々。しかし私はこの道を行くしか自分の生きる道をないとの確信もあったので、日々少しずつ独りで倉庫内のスペースを侵食していきながらひたすらその道を突き進みました。
弊社の小さな倉庫は、人力で木材を1本ずつ立てて保管するスぺースと、フローリングなどを梱包のままフォークリフトで移動保管させるスペースに大きく分かれています。木材を立てるスペースは鉄骨にT型のアングルを取り付けて、樹種やサイズごとに小分けして置けるようになっています。これは私が入社する前からの倉庫のレイアウトだったのですが、時代の流れの中でメインスペースの座はいろいろな木が占めてきました。入社した当時(平成元年)の主役はヒノキの化粧柱!
当時の日課は、市場から仕入れてきたヒノキの化粧柱の梱包(30~40数本入)をさばいて、等級ごとに仕分けしながら倉庫に立てていくというものでした。入社前に木材市場で数か月の間、その作業ばかりを続けてきたので体力的には何も苦ではありませんでしたし、昨日立てた柱が翌日売れたりすることもあって、折角立てたのだからもう少し立てて(お客さんに見てもられば)いればよかったのに、なんて考えてしまうような、まあバブル感満載の贅沢な時代でもありました。
弊社の倉庫でヒノキの化粧柱(和室など真壁でそのまま柱が見える)がズラリと居並ぶ姿は今となっては今となってはもはや夢幻の類ですが、当時はそれが当たり前だと思っていました。その後しばらくはヒノキの柱や鴨居など高級な造作材が倉庫の主でしたが、10年ぐらい経つと某大手ハウスメーカーの仕事をさせてもらうようになり、1.2㎜の厚貼りの別注集成材のを扱うようになりました。そのすべてが特注品であるため、納期や工期の問題で弊社で大量にストックすることに。
集成材というと、無垢の代用品というイメージがあるかもしれませんが、その時のそれは4寸タイプの住宅用の幅広、肉厚の別注仕様で無垢材と遜色ない値段でした。だったら無垢で作ればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、その仕様では4寸の長押も含まれていて、柾目で大量にかつ安定的に高品質の造作材を短期間で揃えることなど不可能でしたので、集成材を選択したのです。1本ずつ梱包された高級集成材がズラリと並ぶような集成材の時代がわが社にも到来したのです。続く・・・
昨日の中田水産さんの話の続きですが、同じ南予出身でありながら、山側で育ったために海のことは何も知らなくて、いろいろと教わる宇和海の話がとても新鮮でした。中田水産さんでは宇和海の伊方湾の入り江でしらすの養殖もされていて、使用される餌も無添加にこだわり独自のブランドしらすを作り出されています。実際に食べさせていただきましたが、これが美味!木製品だってそうですが、それを作っている人の顔や背景が分かると、同じものでも味わいが増してくるというもの。
中田社長から伺った話の中で印象に残ったのは、山の形は海の形でもあるということ。つまり山の斜面は海底までつながっているので、山の形を見れば海の中の地形も分かるということ。言われれば当たり前の話ではあるものの、言われるまで意識して考えたこともありませんでした。それは特にこの宇和海という複雑に入り組んだリアス式海岸という漁場が特殊な生態系を生み出しているという事でした。その特性を知り尽くしたうえで考えられた中田水産独自の戦略もお見事!
そう考えると、山のものと海のものって切っても切れない関係性があって、どこからでも絡められそうです。今まではどうしても必要以上に「山」とか「森」を意識した商品にばかり目が向いていましたが、山のすそ野が海岸になっていると考えると、海のものを木で作るのもありだなと。よく寿司屋さんで、魚偏の漢字がびっしり書かれた湯呑を見かけますが、以前からあれが気になっていて、木偏でも同じようにものがあったりしますが、共通する名前ってないのかなあと・・・。
すぐに思い浮かぶものに「サワラ」があります。海のサワラは、魚偏に春で『鰆』。山のサワラは、木偏に甚で『椹』。魚のサワラは、春先になると産卵のために沿岸に近づくので、日本では、春によく見かけることから、「春を告げる魚」という意味で春という漢字があてられました。一方、木のサワラの方はというと、椹は本来「桑の実」のこと、あるいは木などを切断する時に下にあてる台のことらしく、漢字としての椹は誤った使い方なのだそうで、漢字の由来対決は魚のサワラに軍配。
少し前の話になりますが、弊社のホームページをリニューアルするにあたって、その制作・管理をお願いしているパルスデザインさんが手掛けられた伊方町の㈱中田水産さんの会社にお邪魔することに。パルスデザインの大内さんが、中田水産さんに行く用事があるということなので、お供させていただいたのですが、何か中田水産さんと取引があるとか、面識があるとかいうわけではありません。それぞれをよく知る大内さんから聞いた「似たような匂いがする」という話だけが手がかり。
普通の感覚なら、木材と漁業というまったく畑違いの分野で、ほとんど共通の話題も無い中、よくもまあそんな無謀な事を!と思われるかもしれませんが、職種は違えども、大内さんによると中田水産の中田社長も相当のアウトサイダーで、漁業界デモを独自路線を進まれているかなりの変わり者という事。もうそれだけでお会いしてみたいし、絶対オモシロイ人に間違いないと私のアンテナは反応。この歳になると、時間もモッタイナイのである程度見極めてから人ともお会いしたい。
大五木材のホームページを手掛けるデザイナーがオモシロイという人に間違いはない。そして、そんな人とわずかでもご縁があるのなら、会っておかねば絶対損。職種の違いなどは、けもの道を歩く者にとって何の問題でも、何の障壁ですらもないのです。むしろ、何も変革も考えない前時代的な同業者と会うことの方が無意味で時間の無駄。共通の商売のネタが無いなんて、単なる言い訳でしかなくて、現状はそうかもしれませんが意気投合すれば商売のネタなんてどこからでも拾えるもの。
という事で伊方の中田水産さんの本社でお会いした中田社長は予想していた通り、いやそれ以上にとっても魅力的な方でした。初対面にも関わらず、やはり同じ変わり者同士、すぐに意気投合して話は大いに盛り上がりました!そこからはお互いが木の事、魚の事でフェチぶりを披露し合うという予想通りの流れとなり、何か一緒に出来たら面白いねと、コラボ商品の話にまで広がり、うっすらとその輪郭まで見えてきました。山と海とは繋がっている・・・!
先日告知したホームページのリニューアルに際して、オンラインショッピング用にいくつかの商品の撮影をしていてふと思ったのですが、ホームページ開設から8年経って、大五木材の仕事の内容が随分と変わってきたなあと・・・。それより以前は、現場の施工実例としてフローリングや内装、家具などに使っていただいた現場で写真を撮ることはあっても、背景や照明をセットしながら自社の商品の写真を撮ってサイトにアップしてオンラインショップで販売することになろうとは・・・。
こういう作業ってひと昔前ならプロのカメラマンの出番だったはず。弊社も今でもここ一番という時は専門家に任せてはいますが、少々のことなら自分で撮ってしまいます。よく雑誌やネットで、「10年後になくなる仕事」というような企画がありますが、なくなる事はないにせよ、プロのカメラマンの職場の相当量がアマチュアカメラマンに侵食されています。中には、そんな事ぐらいで仕事がなくなるようならそいつはプロとは言えない、本物は必ずいつの時代も残る!という豪気な方もいらっしゃいます。それはごく一部の本当の本物。
それは対岸の火事ではなくて材木業界も同様。木味を見るとか、木の癖を見抜くなんて「技術」は、需要があってこそ成り立つ特殊技術。求められねば切れ味鋭い刃とて活躍の出番無く錆びつくばかり。プレカットが常識とされる時代の中で、古き刃に懐かしき栄光の日々を語りかけて老いさらばえていく「思い出爺」になりたくはありません。ならば新しき戦いの道具を手に入れ、新たな狩場を探すのみ。私の場合は端材の山の中からたまたま【森のかけら】という道具を見つけました。
その時には、それが世界と戦える武器だと到底思えませんでしたが、それからおよそ10年。その道具は会社の屋台骨を支える1本の柱に成長。まあ、薄っぺらくて小さな屋台ではありますが、その下にもひとの暮らしがあります。材木屋という従来の仕事は、一部の大手を除いて今後10年で劇的に変わっていくことでしょう。もしかしたらその呼称すらに使わなくなる(ふさわしくない)業態になっているかもしれません。そんな中でいかに自分の会社の存在意義が問われています。
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