森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら #101【水楢/ミズナラ】 ブナ科コナラ属・広葉樹・愛媛産

3月に耳付きの一枚板への問い合わせが集中したのですが、そのうちの一枚がこちらの旭川産の『ミズナラ(水楢』です。本日はそのミズナラそのものの話ではなく、テーブルになっていく工程をご紹介しようと思って過去のブログを見直してみると、なんとミズナラをまだ『今日のかけら』で取り上げていなかったことに気がつきました!これと同じような事を何度も書いていたのですが、そのたびに先送りしてしまいました。という事で今更ではありますが、『森の王様』の異名を持つミズナラの木についてお話させていただきます。

ミズナラは今までにもこのブログに何度も登場してきましたが、あまりにメジャーし過ぎるので、つい後回しにしてしまいました。それほどまでにミズナラの知名度は高く、家具材としても人気です。しかし今でこそ弊社の倉庫のあちこちにも置いてあるミズナラですが、若い頃の私にとってミズナラは決して身近な木ではありませんでした。ナラそのものの存在は勿論知っていたものの、それは突板として家具になった「加工されたナラ」の姿で、まだ「普通の材木屋」であった大五木材には、無垢の一枚板のミズナラは遠い存在でした。

なぜなら地元の木材市場にミズナラが並ぶこともありませんでしたし、ナラの丸太を見る機会もありませんでした。当時の私にとってミズナラは本や写真として遠くで見る木であって、実際に取り扱う木ではありませんでした。私が入手した頃はホワイトオークなどの北米材の取り扱いもなく、実際に販売用の木材としてのナラ類を手にしたのはそれから数年後の事です。勿論私の実家の野山にはナラの木は沢山生えていましたが、材として手に入ることがありませんでした。用材としてのナラは北海道や東北あたりでしか得られないものだと思い込んでいたのです。

今でもこちらからオーダーしなければ愛媛の木材市場にナラの丸太が並ぶことはほとんどないのではないでしょうか。注文したとして、ナラの丸太が得られるとも限りません。それぐらい縁遠かったナラでしたが、県外の市場に赴くようになってから、珍しさや嬉しさもあって一時期貪るように買い漁りました。しかし、それまでは取り扱い樹種の多くがヒノキスギ、ベイマツ、ベイツガなどの軟らかい針葉樹一辺倒で、硬めの広葉樹を扱ったことが無かったので、その保管方法すら分からず、ねじれたり割れたりと、かなりの授業料を支払ってきました。明日に続く・・・




ところで話をオウシュウアカマツに戻します。先日も弊社にオウシュウアカマツの野縁が入ってきました。まあ、これも厳密に表わすなら、「ロシア産のオウシュウアカマツの野縁が入ってきました」という事になるのですが・・・。そんなにオウシュウアカマツにこだわらず、ロシアアカマツ、あるいはオウシュウアカマツと同類のロシアアカマツと言えばいいのでしょうが、弊社の場合【森のかけら】で樹種の名前をリスト化しているため、「いついつのブログに書いてあったOOの木はリストのどれなのか?」と質問されることもあるのです。

なので、なるべくリストに表わした名前でブログとかに書いた方がいいと考えているのですが、それがむしろ話をややこしくしてしまっているかもしれません。まあそれはともかくうちにやって来たロシア産のアカマツ、入ってきてまず最初にやるべきことは何かというと、小口に深く打ち込まれたガンタッカーのステープルを抜き取ること。これも言い方が分かりにくいかもしれませんが、業務用の強力ホッチキスで打った「コ」の字形の針を抜き取ること。木材が濡れないよう被せられたビニールシートの上から豪快にタッカーで打ち留められています。

実態は知りませんが、シュワルツェネッガーのような、いやロシアだから『ロシアの白熊』ことニコリ・ボルコフや『霊長類最強の男』と呼ばれたエメリヤーエンコ・ヒョードルみたいな大男たちが、針も折れよとばかりに鬼神の表情でガシガシに打ち込んだに違いない、と想像に手を震わせながらその針を1本1本引き抜いていくのです。私の脳内ではヒョードルが大雪の中で上半身裸になって、タッカーも使わずに掌でステープルを木に打ち込んでトレーニングをしている姿が浮かんでいるのです。それで針もこんなに曲がっているのか・・・

どうしてここまで深く打ち込む必要があるのかと思うような針もあって、ほじくり出して撤去。このままにしておくと運んだり施工するときするときにケガの原因にもなるし、なにより加工するときに加工機の刃を傷めてしまいます。弊社では建築用の野縁としてだけでなく、看板材などに自社でこれを削ることも多いです。抜き残した針で手をケガしたことがあったので念入りに針抜き。きっとヒョードルにもプーチンから強く打ち込んでトレーニングに励めとの鬼指令も出ているはずだから手も抜けないんだろうと、深く刺さった針にも妄想広がる。




ロシアアカマツ、スコッチパイン、オウシュウアカマツ、ポーランドパイン、レッドウッドなどさまざまな名前があるものの、弊社ではヨーロッパからフローリングやパネリング材として入荷して取り扱いを始めたのが最初のきっかけだったので、『オウシュウアカマツ』の名前で呼んできました。レッドウッドを使わなかったのは、公共物件等で『セコイア』の指定などもあったため混乱を避けるためでしたが、今でも時々設計図面上でレッドウッドの表示がある際には樹種の混乱があって、設計士さんに意図を確認することになります。

その多くがロシアアカマツあるいはオウシュウアカマツのいわゆる『パイン』を意図したケースですが、ときに外部のベンチやデッキなどにレッドウッドと書き込まれていることがあって、そういう場合はセコイアを意図しているのだと思われます。ただしこの辺りではレッドウッドというといわゆるパインの認識なので、工務店さんが勘違いされるケースがあります。そもそもセコイアそのものがほとんど流通していないので、その名前はおろか存在すら知らない人の方が多いため、説明しても「何、それ?」となることもしばしば。

設計士さんもよく理解されてなくて、レッドウッド(セコイア)が雨に強いとか耐朽性が高いと書いてあったから図面に落としてみたというケースもあったりします。商品流通そのものよりも情報の方が圧倒的に過剰なため、そういう木も普通に入ると思われている、あるいはよく耳にするレッドウッド(ロシアアカマツ)が外部にも使える木なんだったら使ってみよう、という誤解に拠るところが大きいと思われます。そういう誤解を避けるために最近では、セコイアを『カルフォルニア・レッドウッド』と原産地の名前を冠して呼ぶこともあります。

木の名前にまつわるトラブルは尽きることがありませんが、個人的にはなぜそう呼ばれるのか誤解の元を探る謎解きのような推理は好きなのと、そういう時こそルーツに精通している(精通しようとしている)材木屋の出番だと思っていたりもします。ローカルネームが多いというのは、それだけ木材が地域の文化や風俗、暮らしに深く関わりあっているということの証明でもあります。売らんかな的な商業名が氾濫するのは困りものではあるものの、色や性質をどのビッグネームに重ねようかという戦略を探ってみるもの一興であったりします。明日に続く・・・




★今日のかけら・♯140【オウシュウアカマツRed wood  マツ科・針葉樹・欧州産


弊社では野縁材として、ホワイトウッド、ロシアアカマツ(オウシュウアカマツ)、スギなどを使い分けていますが、それぞれに一長一短というか癖(特徴)があって、大工さんによって好みが分かれるためなかなか樹種の絞り込みが出来ません。羽柄材の一等材に関してはこだわりが薄いので、本当はアカマツ1本に統一したいところなのですが、こちらに関しては安定供給に一抹の不安もあって踏み切れないという事情もあります。既にこのアカマツの挽き板については、いくらオーダーをかけても入ってこない状況にあります。

このロシア産のアカマツですがいろいろと呼び名があって、ロシアアカマツ、スコッチパイン、オウシュウアカマツ、ポーランドパイン、レッドウッドなどなど。名前からも分かる通り各地の地域の名前が冠せられていて、ユーラシア大陸全域にわたって広く分布しています。市場では主にレッドウッド、あるいは単にアカマツと呼ばれています。ここで注意しないといけないのは、あの世界で一番高くなる木・セコイアにもレッドウッドの別名があること。そもそもセコイアとは学名のSequoia sempervirens(セコイア・センペルビレンズ)からきています。

そのセコイアにレッドウッドの別名があるのは恐らくその材の色目からだと思われます。セコイアの心材は鮮やかな赤褐色をしていて、なるほどレッドウッドの名前にふさわしい。一方でロシア産のアカマツがレッドウッドと呼ばれるのも同様に心材が赤褐色~黄赤色であるためです。ふたつを並べて比較すれば、セコイアの方がレッドウッドの名前にふさわしく、ロシアアカマツは赤いというよりもやや赤身を帯びた黄色といったところ。色の名前の呼び名については日本語はこと細かに分類していて語彙、表現力は素晴らしいと感じます。

例えば赤系に分類される色だけみても、(くれない、べに)、退紅(あめぞら、たいこう)、薄紅(うすべに、うすくれない)、韓紅(からくれない)、桜色、撫子色(なでしこいろ)、躑躅色(つつじいろ)、牡丹色(ぼたんいろ)、真朱(しんしゅ)、洗朱(あらいしゅ)、銀朱(ぎんしゅ)、鴇色(ときいろ)、緋色(あけいろ、ひいろ)、茜色(あかねいろ)、猩々緋(しょうじょうひ)、蘇芳色(すおういろ)、葡萄色(えびいろ)、臙脂色(えんじいろ)、小豆色(あずきいろ)、紅絹色(もみいろ)、桃色、一斤染(いっこんぞめ)等々。明日に続く・・・




★今日のかけら番外篇・E31赤榕、赤秀、雀榕/アコウBanyan Tree   クワ科・イチジク属  広葉樹・愛媛産

木材辞典や木材図鑑を読んでいると、いつもア行の最初あたりに登場する木で気になっていたのが『アコウ』。クワ科イチジク科の高木で、その分布域には四国も入っているものの、愛媛でその姿を見たことが無くて、友人が沖縄や九州に旅行に行ったりしてアコウの写真をSNSなどにアップしているのを見ると歯がゆい気持ちなっていました。実際に生でその姿を見たことも触ったこともないのすが、モノの本によれば材質は軽軟で強度が無いため用材としては使われないとあり、木材市場でもご縁が無いだろうと諦めていました。

適した出口があるというわけではないのですが、手に入ることなら『新・森のかけら(仮称)』に加えたいと考えていましたし、出口があろうがなかろうが一度は触ってみたいと思っていたら、思いがけない場所で突然アコウと出会うことになりました。ある日曜日に高校生の息子の部活の遠征で、息子の通う高校に車で送った時の事。息子と友達が部室に道具などを取りに行ったので少しの間、一人で待っていたのですが、学校って結構いろいろな種類の木が植えてあったりするので、ちょっと見てみようかしらと校内を歩いてみると・・・

今まで何度も学校には送迎に来ていたものの(双子の娘も同じ高校なので)、いつも時間が遅くて暗かったり、時間に追われていたので気が付きませんでしたが、正門を入ったすぐのところに『アコウ』の木がさり気なく植えられているではないですか!成長すると高さは20m、直径は10mを超すこともあるという情報や、こぶ状の突起が出来て根が張り出した異様な姿の沖縄のアコウの巨木をテレビで見ていたりしたので、すっかりアコウ=大木のイメージが刷り込まれていて、ちょっと意外でしたが灯台下暗しとはまさにこういうこと。

材が手に入ったわけではないものの、とりあえあず生でその姿を見れただけでも嬉しい!木は小さいものの、大木に現れるといわれるこぶ状の複雑怪奇な姿の面影はあります。なるほどこれでは建築材はおろかクラフト細工に使うにも難しそうですが、そういう木の方が『かけら職人』としては燃えるものです。突然の出会いに感激してバシャバシャと写真を撮っていたら、息子たちが戻って来たので、名残惜しかったもののの、その日はそれでアコウと別れました。しかしこれで子供たちを送迎するのにも、父には密かな楽しみが出来たのです。




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