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岡山~鳥取方面への家族小旅行の話が尻切れトンボになってしまっていたので、菩提寺の大銀杏・山梨の続きです。それから一路我々家族が向かったのは鳥取県。その日の宿は岡山だったので、とりあえず鳥取砂丘まで行ってこようと車を走らせましたが、そこは明確なプランの無い旅。鳥取砂丘へ行く前に寄り道して、『スギの町・智頭』へ!智頭町は江戸時代に参勤交代の宿場町として栄えた場所で、藩政の時代から熱心な林業政策が行われてきました。
その街道には今でも趣きのある町並みが残されていて、通りを歩くだけでもタイムスリップしたような雰囲気があります。その中でも、木の仕事を生業とする人には羨望の的といえるのが、国の重要文化財にも指定されている『石谷家住宅』。敷地面積3000坪で40余りの部屋数を持つこの屋敷は、かつてこの地で林業がどれだけ栄えたのか、その繁栄ぶりを偲ばせるものです。私は以前に見学させていただいた事があったのですが、当日はタイムオーバー。
石谷当家は、明治後半の日清戦争~日露戦争頃までに、山林王として山林経営によって巨万の富を築かれたそうですが、今の山林の現状からは想像も出来ない話で、当時は本当に文字通り『宝の山』であったのでしょう。10数年前にひとりで智頭に来た時に、全国でも珍しい杉を奉った『杉神社』に行ったのですが、杉の形をデザイン化した白亜の塔とその傍らの碑に刻まれた『智頭の緑化は伊達ではないぞ千万本植えて生き抜こう』の言葉に感銘を受けたものです。
たまたまですが、8月の上旬に、かなり前から在庫していた智頭杉の板材に久々に声がかかり、倉庫の奥から引っ張り出して検品していたところで、改めて智頭杉の上品な美しさを認識していたところです。淡い赤身の杉で化粧材を揃えるって簡単なようで実は難しく、雨の多い地域の杉は、俗に『カラス』と呼ばれる黒味がちになって化粧材には好まれません。その点、350年以上の植林の歴史を持つ智頭の杉はさすがの貫禄。伝統は連綿と継承されています。
今回マニアックなコースは避けましたが、じっくり腰を据えれば智頭の町は材木フェチにはたまらない魅力に満ちた町です。まあ、子供たちも町並みの風情だけで既に過食状態であったので、門の外から雰囲気だけ見学。ここまで、家具屋さん→巨木見学→古い町並みと、既にこの段階で小学生の子供たちにとっては、あまりに地味で盛り上がらないコース。多少の不満は言いながらも何とかつききてくれるだけでもありがたいものです。そんな智頭の町、名残を惜しみながら更に日本海へ・・・
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