森のかけら | 大五木材


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キソケトンの続き・・センダン科で気乾比重が0.56という事だたので予想はしていましたが、実際に板に挽いたものを持ってみると思っている以上に軽さを感じます。稀にカウンターサイズの大きく厚みのあるサイズのものが市場に並ぶこともありますが、さすがにそれだとひょいと持てるわけではないのと、乾燥していない事が多いので、「正味の重さ」がわからないことがあります。今回は入荷してから4ヶ月ほど経過した原木を45㎜角とか60㎜角に挽いたので、ほぼ「正味の重さ」ですが、これがかなり軽い。

肌感覚だと同じく南洋材の『カランタス』よりはやや重いかなという感じで、間違いなく軽軟材。しかし(社)全日本検数協会発行の『新輸入原木図鑑』によると、「水中に落下した場合、比重の割には、沈木になりやすく、浮いても沈みが深い」との記述があるので、生木と乾燥後の重さにかなり差があるのか、それともキソケトン属にはおよそ100種が含まれるということなので、個体の性質差か?沈木になりやすいというのもきっと体験に基づく肌感覚の記述だと思うので意味ある貴重な情報です。

情報の少ない木って、こうしてみんなで経験を持ち寄り、その実像をより明確にしていかないといけません。特に1つの名称でもそこに多くの仲間が含まれ代表的樹種名となっている南洋材の場合、重たいとか軽いとか、強いとか弱いとか、その性質に極端に違いが出る場合があります。なのでどれが間違っているということよりも、材木屋としては性質の幅を理解して扱う時のリスク軽減にするべきだと思います。キソケトンにどれほどの幅があるのか分かりませんが、今回の丸太だと普通の材木屋は手を出さないでしょう。

しかし今回はそのやわらかさがこの木のストロングポイントとなってのですから、まさに役に立たない木など無いっ!いくつかの木でサンプルを作って試していただいたところ、チェンソーを使って刻むのにこのやわらかさが最適!とアートクラフトイング河野さんのお眼鏡にかないました。誤解されると困るのですが、キソケトンがチェンソー加工に適しているというよりも、今回のテーマの作品を作るのには硬さ、質感、色合い、雰囲気などが適していたというご判断です。なので必ずしもチェンソーアート向きというわけではありません。ケースバイケースです。それで河野さんが何を刻まれたのかというと、それがこちら!なんですか~!インカ帝国かマヤの古代遺跡の何かですか~?!続く・・・




 

さて、怪しい看板屋さんアートククラフトイング河野正社長のお眼鏡にかない、面白世界に連れて行っていただくことになったパプアニューギニア産の南洋材『キソケトン』ですが、オーダーに合わせて早速製材することになりました。図鑑などではその名や姿を見たことがあっても実物を目にするのも、触れるもの初めて。果たしてその正体は?図鑑とかに記述されているのは、気乾比重がどうたら、色調がどうたら、樹皮がどうたらという無機質なデータばかり。まあ図鑑というものは本来そういうものなんでしょうが。

学術的には重要なことなのでしょうが、私が知りたいのはそんな無味無臭な言葉ではなく、血沸き肉躍るような嘘のような本当の(本当のような嘘でも可!)エピソードや伝承、伝説。その木がその地でいかに活用され、時には信仰の対象として崇められたり、時には権力者の象徴となったりしたような物語です。学名や性状などの学術的データが内堀だとするなら、民間伝承や用途などは外堀。ふたつの掘りが備わることでその木は、森の中から飛び出して来て材となり我々の前に現れるのだと思います。

南洋材の中でもいわゆるM.L.Hの木たちって、『森のかけら』に活かそうと本気で考えるようになるまでは、何度その名前を聞いても覚えられませんでした。やる気の問題というよりも、外堀が無かったのでその木に現実味が乏しく頭に残りませんでした。まあ言いわけですが、なにせ似たような木ばかりで特徴が乏しいので、背景に面白いストーリーでもないと印象に残らいのです(汗)。さて、キソケトンはどうかというと・・・残念ながら今のところはこれといって目立ったエピソードは見当たりません。

かなりディープな図鑑でもステレオタイプのデータ記述しかありません。しかしこれは考え方を変えれば、キソケトンの肌感覚の特徴やエピソードをまとめあげれば、キソケトンキングになれるチャンス!やはりこういう開拓的な状況では、机上のデータでなく掌にその木のそげらが刺さって血がこぼれ落ちるような皮膚感から絞り出された「肉声」にこそ価値がある!と思っているので積極的にキソケトンに触れてみることにしましたが、まあ想像以上にやわらかく、その特徴は・・・。明日に続く




★今日のかけら番外篇・E055【キソケトンChisocheton   センダン科・広葉樹

本日は、一部のコアな木フェチのみから圧倒的な支持を受ける魅惑のパプアニューギニア産材第6弾です。世間はウッドショックでまだまだ騒がしいですが、そんなことは一切関係なくマニアックな道を突き進みます!今回紹介するのは、M.L.Hの中では比較的名前の知られている『キソケトン』です。キソチェトンと言ったりもしますが、弊社では『キソケトン』表示に統一します。実物を見るのは初めてでしたが、センダン科ということもあって比較的やわらかく軽量です。

誰かからこの木が欲しいので仕入れてくれと頼まれたわけではりません。ただただ『森のかけら400』に向けて樹種を増やしたいというその一心です!東南アジアから太平洋地域にかけておよそ100種があるといわれているので、種類によってどれほどの個体差があるのかも分かりませんが、私が入手した丸太は直径600㎜程度の小ぶりなもので、見るからに軽軟そうな雰囲気が漂います。一応データとしては気乾比重は0.59となっていますが、実際に挽いたものを触った感覚でいうと、目合いも粗く生材でこれなら乾いたらかなり軽くなりそうな印象。

具体的な用途も決まっていないような木を原木で買ってどうするんだ!と思われるかもしれませんが、市場に流通している木だけで揃えようと思っていたら400種も集めるなんて永遠の夢。事をなそうと思えばリスクがあっても飛び込まねばならないのです!そういう無謀な思考にも賛同、共感していただける人も現れたりするのが世の救い。私はただの旗振り役で、実際には出口(現場)に近しいそういう寛容な人がいるからこそ木材の出口が広がっていくのです。

今回この出口の定まらぬキソケトンを出口に導いていただいてもらったのがアートククラフトイング河野正社長。自らは看板屋だと仰ってますが、今までのお取引させていただいた木材や施工されてきた事例を拝見すると、看板屋というカテゴリーなどには到底収まりきらない!文字通りアートで木を活かす表現をされていて供給サイドとしてもその発想や技術はとても刺激的。そんな河野さんは面白い仕事が舞い込んできて、今回はキソケトンが面白い世界に連れて行ってもらうことに!続く・・・




少し前まで暑い暑いと言っていたのが嘘のように、9月に入ると朝晩が肌寒くなって急に秋めいてきた気がします。『誕生木』を作ってから季節の変わり目を強く意識するようになりました。9月の誕生木は『ホオ(朴』ですが、毎年9月になるとこの話題を取り上げていると思うのですが、たぶん他の月よりも9月、10月が突出していると思います。それは秋にさまざまなイベントが開催されていて、その際に配布するノベルティグッズの商品の問い合わせが多いからだと思います。

そういう相談があった場合、例えば今は9月なので9月の誕生木といえばこういう商品があって・・・といった感じで、見本にお見せする機会が多いので自然と意識するようになって、ブログでも取り上げるからだと思います。それが昨年のは秋はコロナ禍でイベントも控えめだったのでノベルティグッズもさっぱりでした。しかし今年はワクチン接種も進み、さすがにこの秋はコロナの予防対策をしたうえで各種イベントも開催されそう。

そもそも「 誕生木・12の樹の物語」は、弊社と兵庫県明石市に本社を置く株式会社Laboさんで共同製作したもので、1~12月のそれぞれの月に関わりのある木を『誕生木』として設定し、Laboさんが商標登録されています。モノではなくモノガタリを作りたいという思いは昔からありましたが、この誕生木によってその後いろいろな展開が出来るようになりました。そのエッセンスをストラップにふりかけたものが『誕生木ストラップ』。初見の方と木の話をする場合、この誕生木ストラップがマストアイテムです。

老若男女問わず誰もがどれかに該当するわけで、そこから自分の誕生木の話を通じてスムーズに木の世界にいざなえることが出来ます。最近では、「誕生木を知っている」という方も増えてきて、ここが製作元だったですかと驚かれたりすると、多少は世間で認知されてきているのかなと思います。最終的には12ヶ月それぞれの誕生木商品を作るという命題があるのですが、いまだ10、11、12月の3ヶ月分しか出来ておらず。なにもかも中途半端で終わる悪癖にけじめをつけねば・・・!




先日、金沢の(株)ムラモトさんの銘木市に行った時に思ったことですが、そこにはテーブルに使うような立派な一枚板と並んで数多くの造作材があり、綺麗に柾目の通ったスギやヒノキがズラリ。村本さんも分かってらして、「お前はそんなの興味がないやろ?」と先手を突かれます。「はい、興味ないです。」と私。4mの長さにわたり均質な幅の年輪が精緻に並び芸術品のような美しさのある美柾には、ほお~っとした気持ちにはなりますが、欲しいとは思わない。というか仕入れてもうちでは売れません。

柾目が効いた木なんてこの数年、いや10年近く仕入れてないような気がします。現場対応で数本単位なら扱ったかもしれませんが、まとまって仕入れた記憶がありません。ここで言うところの「柾目の木」というのはつまり、節が無くて目が通っていて、和室の内装などに化粧材として「現(あら)わし」で使える装飾性の高い木、鴨居や廻縁、長押という意味です。普通の耳付き板にだって柾目部分はありますが、意図して柾目が強調されるように製材された木の事です。うちの倉庫では絶滅危惧種

昔からそうだったわけではありません。私だって若い頃は柾目の木には強く惹かれましたし、そういう材を使う現場だって関わらせていただきました。むしろそういう材を求めて各地の市場に赴き、梱包で大量に仕入れていました。それがいつ頃からだったかよく覚えていませんが、和室のある住宅の減少に伴い、柾目よりも板目の木を仕入れるになってきました。よく言えば個性的ですが、悪く言えば「癖が強い木」。しかも市場ではあまり相手にされないような木に反応してしまう天邪鬼体質。

王道を行く村本さんのところでは、節のある木を探すのが難しいぐらいで、同じ材木屋でもこれほど仕入れ基準が違うのかと笑いたくなるほどでした。癖があるといっても、銘木的な価値のある木というものでもなくて、ちょっとこれは・・・なんて人がためらうような木の方に惹かれるのはもうどうしようもない性(さが)なのかも。なのでクスノキといったらこんなものばかり仕入れてしまいます。大きな節も割れも愛おしい。材木屋万流、こんな材木屋もないと多様な森を受け止めきれないのだと自分に言い聞かせ(笑)。




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