まな板御三家「銀杏・朴・柳」

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まな板御三家「銀杏・朴・柳」

2. 木のはなし・森のはなし | 2011/09/03 PM11:13

最近たまたま『まな板』に関するお問い合わせが続いております。大体一年に５、６件ぐらいは問い合わせがあるのですが、なぜか最近集中しております。こういうモノって不思議に重なると重なるもので、モノがモノを呼ぶっていう事でしょうか。『まな板』に関する問い合わせは大きく分けて２つ。１つは、使用していたまな板を削り直してほしいというご依頼と、もう１つは新築に伴って『まな板』を新調したいというご依頼。プロの料理屋さんが使う物であれば、外注するのですが、家庭用サイズであれば弊社で加工して作ります。

家庭で使うまな板であれば、ホームセンターに行けば、ポリエチレンなど非木質系のまな板が安価で大量に販売されていますが、敢えて木のまな板にこだわっていただけるのはありがたい事です。しかし、木のまな板といっても樹種にまでこだわられる方はごく稀です。そのほとんどが、この辺りで入手しやすい『桧』です。多少節が入っても構わないという程度なら、極めて安価に作ることが出来ます。桧の材価が大きく変動する目安は『尺上（しゃくかみ）』です。幅が３００㎜を越えると値段が極端に高くなります。

たかだが３００㎜と思うかもしれませんが、３００㎜の幅で節が無い板を取ろうと思うと、端材のレベルを越えますので、結構大きな材を使わなければならなくなるのです。家庭用のまな板であれば、３００㎜以下で事足りるのですが、稀にご主人が太公望の方などビックサイズのまな板を所望される場合があります。少々値段は張るものの、桧であれば対応は可能です。端材で作れるものと、そうでない物とでは雲泥の差があるのですが、一般の方にはその境界線がなかなかご理解しにくいかもしれません。

わずか数センチ違いで倍以上も価格差があるのが不思議がられます。以前は一般の方でも山の事情、木の事情に詳しい方がたくさんいらしたので、尺上材は高くなるとかいう話は通じやすかったのですが、最近は詳しく背景を説明するにはイロハのイから話さねばならず、余程関心のある方でないと話が続きません。それでもたまに、まな板に適した材はないかと、嬉しい問い合わせをいただきます！そういう時って喜び勇んで「まな板御三家・銀杏・朴・柳」の話をするのですが、こちらの場合話はとても興味を持ってきいていただくものの、結局価格の問題でそこに着地する事はほとんどありません。丁度適寸サイズの手頃な値段の御三家の在庫が無いというこちらの在庫事情が悪いのが問題なのですが・・・。大体大きめの板材で材を仕入れしますので、小さく割ってもそこそこの値段になってしまうのと、いつ売れるとも知れないまな板でおいておくよりも、別の用途に利用してしまう事が多いのです。

御三家を丸太買いする機会でもあれば、挽き落としで幾らでもまな板サイズは出来るのですが、生憎とオスの銀杏、朴、柳（バッコウヤナギ）との原木とのご縁がありません。むしろこれらの原木を買うという事は、まな板を専用に取るというぐらいの気持ちでもないとさばけません。そういう事もあって、結局最後は「桧の節の少ない尺下サイズ」（約１ｍ前後の長さで幅が２５０～２９０㎜とか）で落ち着くことになるのがほとんどなのです。せめても気休めに、まな板御三家の入った『食にまつわる５かけら』のご紹介でお茶を濁させていただきます。

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