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古代から神聖な木として崇められてきたアカシアですが、最近では東南アジアやオーストラリア、ブラジルなどの国々で盛んに植林が行われています。繊維分を多く含み成長の早いアカシアは、植林・育成・伐採・加工という循環型経営を支える重要かつ有用樹種として、ユーカリなどと並んで注目を集めています。緑化事業やパルプチップ用としての植林もある一方で、異なるアカシアの種の長所を掛け合わせ、15年周期で活用可能で建築や家具にも使える『アカシア・ハイブリッド』の産業植林も実践されています。
さて、弊社で扱わせていただいているアカシアは、1820X90X15mmサイズのユニ・フィンガー仕様で、大きな節や白太など辺材も含み、カスリやピンホール(虫穴)なども豪快に取り込んだ『ナチュラル・グレード』です。茶褐色~黒色系の木というのは、ブラック・ウォールナットに代表されるように総じて高価になってしまうため、今まで利用頻度が多くはなかったのですが、なるべくリーズナブルな価格で-濃淡の変化を楽しみたい、節のある表情を楽しみたいという方にはお薦めだと思います。
ただし、節を取り込んだグレードのフローリングの宿命として、死に節や抜け節、欠け節などにはパテによる補修も含まれます。また、見た目から想像するよりはやや軟らかく、デリケートな触感です。フローリングとして充分な強度は有していると思われますが、キズに備えてあまりにも表面硬度を気にする方には不向きかもしれません。あくまでも自然素材ですから、その特徴が必ずしも望まれる建築素材に合致するわけではありません。材の特性をしっかりご理解されたうえで判断いただければと思います。
以前からよく使っていただいてきたチャイニーズ・メープルのラスティック・グレード(節やカスリ、入り皮などを含んだ)のフローリングの今後の入荷見通しが立たなくなってきたため、代替材として提案をさせていただいています。ベトナム産のアカシアを、ベトナム工場で加工して日本に輸入しているものです。昔に比べて商品ローテーションが随分早くなり、馴染んできたころにチェンジ、というのは残念ではありますが、それも自然の恩恵を享受する仕事ゆえの宿命。貴重な森のめぐみに感謝しつつ利用させていただきます。
正直、『森のかけら』を作っていなければ顧みる事の無かったアカシアですが、調べてみればみるほどに歴史といくつつきの木であることが分かってきました。これからご紹介するエピソードなどから、昭和歌謡の素材になったのかどうかは分かりませんが、古代の歴史において重要な位置を占める木であった事に驚きを覚えました。それを思えば、今まであまり利用されていなかった(ただ私が無知で知らなかっただけなのかも)のが不思議なくらいなのです。まあ、物語性ある木が必ずしも「使える木」とは限りませんが。
アカシアは、アフリカやオーストラリアなどの熱帯から亜熱帯にかけて広く分布しています。その多くは5m~8m程度の灌木で、さやの中に出来るマメ状の種子は動物たちの大切な食料となっています。北米大陸の先住民族の中には、昔からアカシアの豆やさやを食べたり、粉に挽いて食するという文化があるそうです。オーストラリアでは『ワトル』の別名でも呼ばれていますが、アカシアと深い関わりがあり、精神的支えと言っても過言ではないほど重要視している国は、エジプト。
古代エジプトにおいては、エジプト原産のアカシアは神聖な儀式で使われる『材』としても貴重なものだったようで、王様を埋葬する『舟』=『棺』(舟はただの乗り物ではなく、ひとの魂をあの世とこの世を行き来させる箱舟のような存在だったと考えられていました)もアカシアで作られています。冥界の王にして死者を裁く神・オシリスの棺もアカシア製だったそうです。その棺には、オシリスのことを『アカシアの中の孤高な者』と呼ぶ記述とアカシアの木で守られたミイラ姿の神が記されています。
古代エジプトにおける宗教的な到達点は、神・オシリスと身も心も一体となることと信じられていたため、神聖な棺に描かかれているという事は、余程アカシアが高貴で神聖なスピリチャルな木と考えられていたのだと推測できます。アラビアでは、今でもアカシアは神聖な木とされ、その枝を折ると災いが起こるという言い伝えがありますし、古代中国でも地の神さまはアカシアの中に住んでいたともされていますので、アカシアに対する強い信仰心は世界的な認識なのかもしれません。
新しい木材図鑑が出るとついつい買ってしまいます。メジャーな木材については、ほぼ語り尽くされた感があって、なかなか新しい発見は少ないものの、【森のかけら240種】に含まれていない(おとなの事情で含めれなかった)あまり一般的ではない樹種などについては、その特徴や名前の由来を読むだけでもワクワクしてきます。例えそれが手元になかったり、入手の見込みがなくとも!そんな木の1つが、本日俎上に上るヤナギ科ヤマナラシ属の落葉高木『ヤマナラシ』!
ヤマナラシという変わった木の名前の由来は、その葉柄が長く扁平であるため、少しの風でもすぐに横揺れし、隣り合う葉が互いに擦れ合ってカサカサと葉音を立てることが、あたかも山が鳴っているように聞こえるというので『山鳴らし』という名前がついたということです。この特徴は広く国外でもこの木の仲間の由来となっているようで、中国産のヤマナラシは葉の擦れる音から「風響樹」という趣きのある名前が付けられていますし、学名も「震える」という語彙が語源となっているそうです。
またヤマナラシには、『ハコヤナギ』の別名もありますが、それはこの木の木肌が白い事から京都などで扇箱や箱材に利用されたためだとされています。その他にも、同じような特徴を持つドロヤナギと共に、マッチの軸木、箸、パルプ材、包装箱、まな板、下駄、爪楊枝、経木、パーティクルボード、火薬用木炭など、材が低評価な割にはさまざまな用途に使われています。また英語ではドロヤナギの事を『ポプラ/Poplar』、ヤマナラシの事を『アスペン/Aspen』と呼び分けています。
「
山が鳴る」という響きから私が連想するのは、黒澤明監督の名作『蜘蛛巣城』。シェイクスピアの有名な戯曲「マクベス」を題材にし、1957年に黒澤明がメガホンを取った映画です。ストーリーはほぼ忠実に原作を踏襲していて、舞台が戦国時代にそのまま置き換わっています。モノクロの映画ですが、老婆のメイクなどあまりに迫真に迫りおどろおどろしさも半端ではありません。物語りの見せ場は、老婆の予言どおりに「森が動き出すシーン」。眼前に迫る森におろのき逃げ惑う戦国武将。
これは敵対する武将の作戦で(このシーンの演出は円谷〔ウルトラマン〕英二の手によるもの)、逃げ惑う武将に向けて数十本の矢が降り注ぎます。逃げる武将を追うようにこれでもかと執拗に矢が飛んでくるのですが、何とこれ特撮でもワイヤー操演でもなく、実際に弓矢の名人が本物の矢を放っていたのです!逃げる武将を演じたのは名優・三船敏郎。三船が「俺を殺す気か!」と激昂したというのは有名な話ですが、その形相はまさに本物の死を感じた恐怖!私のヤマナラシのイメージの断片でした。
★今日のかけら・#058【神代欅/ジンダイケヤキ】 ニレ科ケヤキ属・広葉樹・宮崎産
ホームページの商品紹介コーナーの更新が追いついていない状況ですが、いろいろと商品アイテムも増えております。今年中にはサイトも一新する予定ですが、もうしばらくお待ちください。本日ご紹介するのは、『森のりんご』シリーズの新たな仲間、『神代ケヤキのりんご』です。神代ケヤキ、つまり数百年の長きにわたり地下に埋まっていた木が、近年になって道路工事などで偶然掘り起こされ、今生の世に現れたもの。いわば神の代(みよ)より遣われたタイムカプセルなのです。
地下水などの影響を受けて通常の色彩感覚では考えられない色合いに変化し、自然界の驚異を楽しませてくれるのですが、数百年もの間俗世間と関係を断っていた『ウラシマ・シンドローム』の影響で、世間の風に触れると急激なジェネレーション・ギャップ、いやセンチュリー・ギャップを発症し、その衝撃から四肢が歪んで変形したり、体が引き裂かれるほどの傷を負う事もあるのです。ですので太古の眠りから覚めた神代木を使える、使えないなんて基準で考えるなんてとんだ不遜!
このように火山の恐怖と灼熱地獄の様子を今に伝える痕跡もあるのです。これは宮崎で出土した神代ケヤキですが、用材なんて生易しいものではなく、コレクションとして飾っておくべきレベルのもの。貴重性というよりも、その歪みかた、反り具合、月面かとみまがうほどの見事のクレーターなど、その芸術性において。しかし、そんなアートの香り漂う神代木でさえ、偏屈材木屋にとっては『ただ飾って観るだけなんてモッタイナイ』の対象!敬意を払い調理させていただきます。
その神代木から採れたのがこちらの『神代ケヤキのりんご』です。木目を見ればケヤキと分かるものの、その色彩はホオのような深い緑。加工前の褐色の色合いと随分違うと思われるかもしれませんが、出土してからかなり年月が経過しており、純粋だった心も汚れた世間の風に触れて表情も青ざめ、ひとの情けに触れたり、絶望もしたりと、波乱万丈の人(樹)生の生き様が表情を曇らせていたのでしょう。ひと削りしてやれば、精一杯強がって生きてきた仮面の下にはこんな優しい表情が!
植物性オイルでちょっと化粧してやれば濡れ色になって渋みと深みが復活!荒材のまま手元に置いておけば私のコレクションとなるばかりのものが、こうして数十人の方の元に届けられる、神の代の息吹を伝えるタイムカプセルとして生まれ変わりました。地中に埋まっていた悠久の時間と孤独を考えるならば、1個¥5,000(消費税別)は破格の値段!・・・だと思っていただける方にだけお届けできれば充分です。木の種類ほどに、材木屋の個性もあるという事。
★BASIC(ベーシック)・¥3,000(税別)・スギ、キソヒノキ、ケヤキ ★SPECIAL(スペシャル)・¥4,000(税別))・・・プラタナス、ヤマザクラ、ブビンガ、パドック、ブラック・ウォールナット ★PREMIERE(プレミア)・¥5,000(税別)・・・アマレロ、ゼブラウッド、キングウッド、カステロ、コクタン、ソノケリン、チューリップウッド、リグナムバイタ、ボコーテ、神代ケヤキ
| サイカチの分布の謎について調べてみると面白い事が分かりました。いくつかの文献、書物に書かれていた話を要約しますと・・・平安時代の末期から鎌倉、室町、戦国時代とおよそ400年の長きにわたり宮城県の北部から岩手県の南部一帯を葛西一族が統治してきました。それが1591年に豊臣秀吉の奥州仕置によって、伊達正宗の手により滅ぼされてしまいます。悔しさに涙する家臣は、葛西家復興を祈願して、屋敷の門口にサイカチの木を植えたというのです。 | ![]() |
| そういうサイカチですが、【森のかけら】では小さな端材から作っていたので、大きな材のサイカチを見たことがなかったのですが、先の岐阜の銘木市で大きなサイカチを幾つか購入。多少割れも入っていていずれは【森のかけら】用にと思える小さなものから、キングベッドサイズはあろうかという変形の1枚板まで数種類のサイズを仕入れてみました。販売予定があるのかなんて無粋な事を訊いてはなりません。『欲しいものに出会えば買う!』これが正しい材木屋のスタンス! | ![]() |
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