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以前、NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」の第二部が始まった時に少し触れてそのままにしておいたのですが、改めて詳しくご紹介したいのが、森の5かけらの『子規の5かけら』。その名の通り、愛媛の生んだ俳人・正岡子規にちなんだ5つの木をセレクトしています。この『森の5かけら』も、実は既に35タイプ出来上がっていて、この『子規の5かけら』は32番目に当たるのですが、未だ詳しくご紹介できたないものが幾つもあります。思いつくのは楽しいのですが、後の細々した整理が苦手でアップが追いついておりません・・・。
松山に観光に来ていただければ、あちこちに「文学」やら「俳句」、「子規」、「坊ちゃん」の言葉が入った看板や商品を数多く目にされる事になります。特に道後界隈に行きますと、至る所でこれらの文字が溢れ、子規や漱石は文学的功績以上に、商店街にとっては絶大なるイメージキャラクター、大スターなのです。にも関わらず、地元ではその詳しい背景を知る人は限られていて、今回の大河ドラマは地元にとっても子規を知る格好の教材となっています。まあドラマ仕立てですからいくらかの誇張もあれば、創作もあるでしょうが、そもそも口伝で語り継がれていく人物像こそがそういう尾ひれ背ひれのついた過分に誇張されたものであり、そこに伝説やら逸話が妙な神話性を帯びてきたりするものですから、あまり目くじらをたてて、実話(と思われるもの)との相違を問題視しなくとも良いのではないかと思っています。地元の偉人を楽しく学ぶという姿勢がよろしいのではないかと思うのです。
この『子規の5かけら』も軽い気持ちで、子規に触れるきっかけとなれば嬉しいです。その中身をご紹介。まずは愛媛という事で絶対に外せないのが、地元の名産『蜜柑(みかん)』。これは説明不要でしょう。そして、子規の代表句と言える「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」から『柿(かき)』。そして『椿(つばき)』は、私の好きな「賽銭のひびきに落つる椿かな」という子規の繊細さと刹那さが伺える句と、松山市の市木から頂きました。この句は、明治25年に子規が詠んだもので、椿神社境内にその句碑があります。
ここから先がひとひねり。『梣(とねりこ)』、これは四国では馴染みのない名前ですが、東北や北海道に多いモクセイ科の広葉樹で、粘りがあって弾力性が高いことから野球のバットにも使われています。最近はメープルなどのバットも増えていますが、この変わった名前とバットの話は長くなるので(脱線防止に)稿を改めます。当時に日本に伝えられたべースボールを、自分の幼名であった「升(のぼる)」にちなんで「野球(のぼーる)」という雅号で詠んだのが子規であったのです。後に中馬庚が「ベースボール」を「野球」と翻訳し、これが正式な翻訳とされていますが、子規がその雅号を用いたのはその4年も前の事。また、子規の文学を通じた野球の貢献度の高さは、後に子規が野球殿堂に迎えられたことからも証明されているのです。野球王国・愛媛の礎を築いた子規に敬意を表しての『梣』であります。
そして、最後が『一位(いちい)』ですが、この木は別名が多いことでも有名で、東北などでは「アララギ」、「オンコ」、「アカギ」などとも呼ばれます。その中の「アララギ」こそが、後年子規の門下生達の手によって発刊された俳句集のタイトルなのです。各々の木の詳しい説明は『今日のかけら』をご覧いただきたいのですが、この5種で『子規の5かけら』です。その全てが愛媛県産ではありませんが、子規の俳句が県や国を越え愛されたように、小さな事にとらわれていては世界は見えません!大らかな気持ちで子規を楽しみましょう!
『子規の5かけら』は、こちらで販売しております→¥2625(¥2500+消費税)・送料別途
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