森のかけら | 大五木材


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昨日もお客さんと一緒に、和室の床材(とこざい)を見に行きました。行き先は、愛媛県では唯一の銘木専門店である久万銘木㈱さんです。よく「久万銘木さんに行きましょう」と言うと、「今から久万高原町まで?」とよく怪訝な顔をされますが、母体となったのが久万高原町というだけで、場所は松山市三津浜の海の近くにあります。詳しい場所は㈱久万銘木さんのホームページをご覧下さい。銘木がズラリと居並びます!

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近頃、銘木離れが叫ばれています。その大きな理由は、生活スタイルの変化による洋風化です。畳の間が削られ、続きの和室がなくなり、まず欄間が使われなくなりました。スペースの関係で広縁がなくなり、書院もなくなりました。本格的な床の間が減り、重厚な床材が要らなくなりました。床柱もシンプルな物になり、付随する床材も錬り付けになりました。畳のない家も珍しくなくなりました。銘木どころか、無垢の木材さえ使われなくなってきました・・・と、ここまでが一般的に言われる『銘木不況論』です。

実際に銘木業界が置かれている状況は、確かにその通りです。では、みんなが銘木を使うことに関心がなくなっているのでしょうか。そうではないと思います。ほとんどの人は、使えるものなら銘木や無垢を使ってみたい、いや使えるものなら是非使いたいと思っているのではないでしょうか。ただ家を建てようと思う時、誰が銘木を勧めてくれるのでしょう?余程木の好きな設計士さんならともかく、提案した銘木の値段を問い返されて、それでも情熱を持って銘木を勧められる設計士さんは多くないと思います。

どのコストを削るかという時に、一番最初に落とされるのが銘木です。値段の曖昧さも理由のひとつではありますが、これは色合いや風合い、杢目、育ち、趣き、ワビ、サビを価値観とする銘木の判断基準になるものですから仕方ない部分です。かつては『目が利く』施主は、それだけで尊敬の対象となったものです。この辺りにも、昔は『目の利く頑固親父』という人がいて、よく講釈を聞かされました。

私はむしろ、銘木が低迷した原因は、値段よりもその価値をきちんと伝えてこなかった事に起因するのでなないかと思っています。なぜこの木を使うのか、なぜこの木ではいけないのか、床柱や落とし掛けの相性は、銘木の由来は、銘木が楽しめる要素は無限にあります。話しても話しても話しが尽きないのが銘木の魅力です。ベテランの銘木マンたちが姿を消しつつあるいまこそ、銘木の魅力をきちんと語るべき時期であり、伝えて残していくことこそが若き銘木マンの使命でしょう。目利きの銘木屋がいなくては、目利きの施主は増えていきません。目利きの施主を育てていくことこそが、銘木業界が苦境を脱する最善の策だと考えます。

先日は、設計士さん達とモダンな床の間の床柱などを選びに来ました。スタンダードな、京都北山の天然絞り丸太も落ち着きがあっていいですが、今回は趣向を凝らした変木を考えられています。いろいろ見られて、コブシ、アカマツ、椿などが候補になりました。下の画像は、両端がコブシ、中央がアカマツの床柱です。

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おっ、アップでよく見ると左のコブシの柱の中にこんなものが!

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かなり苦しいですが、竪穴式時代の壁に刻まれた動物の落書き?二匹の獣が戦っている姿に見えませんか?手前の獣の尾っぽのような物が・・・く、苦しいですが・・・。表皮をそのまま使う銘木ならではの発見だと思います。コブや節の具合が動物の姿などに見えるのも一興かと思います。木に遊び心を見出せなくなったとき、銘木という文化は本当に死んでしまうと思います。裏を返せば、銘木ほど遊び心に溢れた世界はないということです。恐るべし銘木であり、かつ楽しむべき銘木です!

銘木の世界をちょっとでも覗いてみようという方は、4月25日(土),26日(日)に久万銘木さんで開催される『銘木まつり』に是非行ってみて下さい。いろいろな銘木が一堂に顔を揃えます。弊社もちょこっとお手伝いさせていただきます。詳しくはまた後日。




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