森のかけら | 大五木材


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木の玉』についてですが、よくあるお問い合わせが、「ヒノキ以外の木でも作れるんですか?」という話。結論を言えば、ヒノキ以外の木でも作ることは可能ですし、「愛媛県産のヒノキ」という指定が入った場合は愛媛県産ヒノキで作ることも可能です。広葉樹の場合は、サクラミズキ、カバなどの触感が滑らかな木を利用しています。今までに試しにいろいろな木でも作ってみましたが、あまり材質が軟らかかったり、乾燥し過ぎていると加工する際に欠けたりします。こんな小さな玉にも向き、不向きな木があります。

モミで作った事もありますが、その時のモミ4,5年も寝かしていた乾燥材で油っ気がすっか失せてしまっていたからか、木の玉に丸く加工してみるとかなり豪快に欠損してしまいました。あるいはクヌギシラカシのような重くて硬い木でも試してみましたが、こちらは材質にムラが多かったせいか表面が少し凸凹でザラツキが出ました。他にもクスノキやナラなど、新しい出口を求めていろいろな樹種で木の玉を作ってみました。玉になったいろいろな木を見たかったという興味もありまして・・・。

職業柄ついつい加工あがりの玉の状態に目がいってしまい、なるべく滑らかでツルツルした素材を・・・なんて考えがちなのですが、それは固定観念に凝り固まった頭の固いおとなの発想。実際に木の玉プールで遊んでいる子供を観察していたら、そんなの一切官界ありません。11月に開催された『えひめすごいもの博』でも木の玉プールを出していましたが、すぐに子どもたちで一杯になりました。初めて木の玉プールに入る子は、最初はおそるおそる中に入ります。

 

 

 

 

周囲を埋め尽くされた数千個もの木の玉に最初は動揺していたものの、すぐに馴染んで自分なりに木の玉と戯れ始めます。そうやってスイッチが入ってしまったら、もうエンドレス!そろそろ帰ろうかという親を無視して木の玉の魔力の虜。そんな子供たちを見ていると、そこにあるいろいろな種類の木の中から色の違う木を探して集めたりする子どももいれば、樹種なんてお構いなしの子どももいて、大人の狭い了見なんてどこ吹く風。あまり頭で考えてばかりいないで、時には木の玉プールの中に飛び込んで感じる事も大切。かのリー先生も仰ってます、「考えるな、感じろ!




庭の『ナツメ(棗)は直径100㎜足らずの小さなものでしたが、そういえば以前に造園屋さんから大きめのナツメをいただいていました。結構大きめの木で、芯割れしないようにすぐに板に挽いて乾燥させることにしたのですが、それからすっかりその事を失念していました。いろいろな木をいただいたりするのですが、何はともあれ乾燥させない事には使えないので、板にしてから数年は放置するのですが、その時に空いているスペースに適当に置いてしまうので、ついついその存在を忘れてしまうのです。

今回、庭のナツメを伐ったのでその事を思い出しました。記憶の糸を手繰り寄せているのですが、倉庫のどこの置いたか思い出せません。どこかに置いてあるはずなので探しますが、うまく乾燥できていれば『新・森のかけら』に加える事が出来るかもしれません。いただいたナツメが通直ではなかったので、長いモノは取れませんが、そこそこの大きさがあったので『かけら』には十分なサイズです。樹皮は軟らかくてポロポロと剥がれたのですが、材そのものはよく目が詰まっていて結構硬め。赤身と白太の差がはっきりしています。

まだ実際に加工していないので仕上がりの触感とか匂いとか具体的に分かりませんが、その用途として茶器や仏具などの工芸品として珍重されたきたという事なので、使い込むとそれなりの風合いや光沢がが生まれるのだと思います。他にもその硬さと粘り強さから木櫛にも利用されてきたようで、中国などでは高級櫛として人気も高いようです。悲しいかな自分では櫛を必要としなくなったので、売っていても気に掛けることが無かったのですが、今後は『出口』として櫛にも目を向けることにします。その他にナツメにどんな用途があるのか探っていたら、『ヴァイオリンのフィッティング』に使われるとありました。

楽器に疎い私はフィッティングと聞いても何なのか分かりません。それで調べてみると、『弦を緩めたり締めたりする木栓のような木の突起物、ペグ4本一組と、反対側で弦を一括で据え付ける木の板のテールピースと、それを最終的に本体に一箇所でお尻につっこんでいるエンドボタン、顎を乗せる部分、顎当ての事』とありました。文字通り演奏する際に楽器を調整するための器具のようですが、ナツメ以外にも少し硬めのいろいろな木で作られているようです。こういう専門的な特殊な出口についての知識が浅く恥ずかしいのですが、先人の木の特質を見極める眼力とその工夫には恐れ入るばかりです。




★今日のかけら番外篇・E038ナツメ/棗】 クロウメモドキ科・ナツメ属

今回、我が家の庭の木をいくつか「伐採」しましたが、その内の1本が『ナツメ(棗)』。植えてから10年も経ってないのでまだまだ小さな幹ですが、夏にもなるとたわわに実をつけて、その実の重さで大きく枝が垂れて来て、玄関への道を遮ってしまうほど。ナツメという言葉の由来として、夏に芽が出ることから夏芽』それが転じて『ナツメ』になったという説もあります。茶道具の『』は、その容器がナツメの実に形が似ていることに由来しています。また、乾燥させたかじつ果実は生薬の大棗(だいそう)として漢方薬にも利用されています。

我が家ではもっぱら生で齧っていました。蜜の無いリンゴのような酸味と甘みのある味で、毎年よく食べていました。その実を食するぐらい身近なとこにあるのに、材としてはなかなか縁が無くて、『森のかけら』の240種の中にも含まれていません。原産地は中国から西アジアらしく、奈良時代より昔に日本に渡来したといわれています。原産地の中国では「一日食三棗、終生不顕」という言葉もあって、その意味は一日3個のナツメを食べれば老いることが無いという意味だそうです。

そのため『聖樹』とも呼ばれているそうで、古くから醸造酒や食料としても重宝されてきた歴史があります。またナツメは干ばつや冠水にも強う事から、常に収穫が安定した農作物として中国全土に広く普及したそうです。適応性にも優れているらしく、我が家の庭のような痩せた土地にもしっかり根付いたのだと思います。そんな庭のナツメですが、まだまだ幹は細いものの上へ上へと伸び続けて、高さが軒を越えるぐらいに成長して、実を収穫しようにも手が届かないほどに。

今後、我が家の生活が困窮した際の非常食として残しておくという選択肢もあったのですが、やがてこどもたちも巣立っていって、夫婦ふたりになれば、どうにか食っていくぐらいは出来そうなのでこの際伐採することにしました。幹は小さいのでこちらは簡単に伐採。貴重なナツメですので使えるものならば、『ナツメで茶器の棗を作る』ところですが、『森のかけら』にでも使いたいところですが、さすがにこの大きさだと『森のかけら』でも厳しい。何に使えるか時間をかけて探っていきたいと思います。




伐採した我が家の庭のクヌギの断面がこちら。中心部はハッキリ年輪が分からないほどのまだまだ若い木でした。違う場所で芽吹いたならばもっと大きくなれたものを、申し訳ない気持ちを感じつつもそこはひとの暮らしを優先させていただかねばなりません。せめてこの後でその身を有効に活用させていただく事で許していただくことに。これぐらい成長力のあるクヌギなのですが、材としては十分に活用されていません。昔は椎茸のホダ木として使われ、子供の頃山に行くと整然と木組みされた光景をよく見かけたものです。

今はそういう場所に行く機会も減ったのですが、昔のような原木栽培から手軽で場所も取らず効率的な菌床栽培に移行している農家も多いらしく、クヌギにとって大きな出口のひとつであったホダ木が急速に縮小しているとの事。うちの庭の小さなクヌギですら、持った息子が重たがっていましたが、クヌギの原木って見た目の感覚よりもかなり重たくて、初めて持った人は大抵見た目と実際の重さのアンバランスさに驚かれます。今時重たいモノはそれだけで避けられる傾向にあります。

生命力の旺盛で環境汚染にも耐性がある逞しいクヌギは山の中で人知れずドンドン巨大化しています。昔なら適当なサイズになった頃には伐採されてホダ木になどにも利用されていましたが、今では伐期を過ぎて巨大化したクヌギが山に溢れかえっています。そのクヌギを建築材や家具材に利用しようとする試みも行われていて、実際に商品化もされているものの、他の汎用性の高い樹種と同じ土俵に立ってしまうとさすがにどうしても劣性になってしまうのは仕方がありません。

非常に重たく、乾燥に伴って芯から放射状に割れが出るとか、豪快にねじれるとか、クリアしなければならない課題が多い事もあって、なかなか浸透していません。ここはもっと訴求性のある物語を肉付けするなどソフト面の仕掛けも必要かなと思います。まあそういう事が簡単にできるぐらいならとっくの昔にクヌギはももっと利用されていると思いますが。でもこういう機会があると、普段あまり顧みる事の少ない樹種の事も考えるいい契機になります。灯台下暗し・・・




昨日の続きですが、そういう事もあるのと、来春からは長女が就職して家を出るのと、春からは双子も高校3年生になって受験で慌ただしくなりそうなので、人手があるうちに皆で本格的な庭の手入れをすることになりました。いくつか大きくなり過ぎた木は今のうちに伐ってしまうことに。息子が植えたクヌギも残念ながらそのリストに入ってしまいました。さすがにいくらモッタイナイを信条としているとはいえ、庭に植えた木を用材として無限ループをするほどに広い庭ではないので、息子の了承を得て決断。

拾ってきた小さなどんぐりがわずか12、13年でここまで大きくなりました。特別あつらえの土でも何でもないので、もっと環境さえよければ更に大きくなっていたことでしょう。わずか10数余年とはいえ、我が家の庭に根を張って、ひとつ敷地の中で家族とともに生きてきたクヌギに敬意を表し、チェーンソーでの秒殺ではなく、手鋸での伐採をさせていただくことになりました。チェーンソーが故障中だったからというのもありますが・・・。息子とふたりで家庭内林業伐採開始!

樹齢10数余年といえどもうちの庭で命を育みし者。伐ったとて無駄にはしません。梢のほうは輪切りにしてイベントでネームプレートに使い、少し太いところは輪切りのコースターに。直径150㎜程度の元玉は、芯を避けて製材してみて、『森のかけら』あるいは、育ての親(?)である息子のために何か記念になるモノを作ってやるつもりです。後から使いやすいように枝を払って長さをつまえて、30分ほどで伐採終了。伐った幹の切り口をしげしげと眺める息子。

ほぼ自分と同じくらいの時間を生きたクヌギに対して感慨深そうに木を見る息子。年輪を数えて、若いくせに重たいとぼやいていました。その後落ち葉も片付て掃除をしてみると、落ち葉に隠れるようにそのクヌギのどんぐりがいくつか見つかりました。イベントで使うのでほとんど拾い集めていたのですが残っていたようです。またこれここに埋めとこうかと息子はいたずら笑いしていましたが、もしもうまく芽吹いてそのクヌギがこれぐらいになる頃には私も60歳後半かあ・・・




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