森のかけら | 大五木材


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年明けにオンラインショップでお年玉的な企画セットを考えています。いつも年末か年度末に大掃除を兼ねて、いろいろな樹種の端材セットを作ってオンラインで販売していましたが、今回は年明けの1月に通常よりも多目にアップするつもりで準備しています。今年は10月からのロングセールのお陰でいつも以上に長期在庫品がかなり掃けました。それに合わせてテーブルやカウンターの注文を多かったので、そのためにカットしたり木取りして余った端材などがかなり沢山溜まりました。それでなるべくいろいろな種が含まれる端材セットを作ってみました。販売は年が明けてから行う予定です。

すべて広葉樹というわけではありませんし、厚みや幅を揃えているわけではありませんが、こういう風に10種を越えるような端材セット(特に板モノ)は結構人気があって、たまにリクエストもあったりするほどです。今までにこういう端材セットを作る場合にいろいろ試行錯誤がありました。例えば樹種はひとつに絞って、いろいろなサイズが入った『ブラック・ウォールナットセット』や『ブビンガセット』みたいな樹種寄りのセットも作ってみました。

あるいは、樹種はバラバラだがサイズを統一させた1アイテムで多樹種商品製作用のサイズに寄せたセレクトなど。ただその場合、端材を更に製材してサイズを揃えないといかなくなるので、『自分だけでは使い切れなった端材を、誰か活かして無駄なく使っていただける方に使ってもらおう』というコンセプトからは少しずれてしまうような気がしました。むしろサイズをカットしたりしな方が、行かせる道があったのに、という残念な結果になっても本末転倒なので、今回はサイズは不揃いで樹種は10種以上(重複樹種も有り)のセットにすることにしました。

中には節や割れ、加工跡、ブルーステインの入ったようなモノもあります。これを更に自分で削って何か使られるような方向けのセットとなっています。お値段もなるべく抑えたいと考えていますが、似たようなセットをいくつも作っていると、一体これが高いのか安いのか感覚が麻痺してきます。正月気分で緩んだ木工ファンの財布の紐を更に緩めようと、なるべく多くのセットを作るつもりです。『ちょこっと耳付き板』や『ちょこっと銘木端材』をもう少し樹種を増やして欲しいというリクエストをお受けするものの、既に保管スペースがパンク寸前!とりあえず来年の目標は在庫を減らして商品を回転させること




端材を使う事に情熱を燃やすケチケチ材木屋として、このブログでもよく『骨までしゃぶって使い切る』という言い回しを使っていますが、実際にどれぐらいまで使っているの?本当は結構無駄にしているんじゃないの?と思われている方もいると思うので、どれぐらいどケチな使い方をしているのか、実際の事例を使ってご紹介させていただきます。右の写真は愛媛県産の『ユリノキ』。もともと植栽されていたのをいただいたもので、耳付きの板に挽いたものから、小さな棚板を木取りして残った耳の部分です。普通の材木屋ならこの時点で確実に廃棄してしまうレベル。

長さは500~600㎜程度で、多少まだ身は残っているもののとても建築や家具材などに使えるようなレベルのものではありません。弊社とて昔なら確実に焼却炉行きでした。幅は40~50㎜程度ですが耳付きなのでテーパーになっているので厚みが薄すぎて、『森のかけら』も『モザイクボード』も『森のこだま』すら取れません。しかしこれからまだTOLOTさんの『カードスタンドがギリギリこれから数枚取り出せます(50☓40☓12㎜)。そしてそれを取った残りが左の写真。本当に首の皮一枚残しという感じになりました。

さすがにこれで終わりだろうと思ったら甘い!まだ使えます。更にそのペラペラになった端材を厚み10㎜ぐらいに割っていきます。中には節や割れたりした部分も含まれていますが意に介しません。『誕生木ストラップ』を作るのでは!?と思われた方はかなりの『かけら通』の方ですが、残念ながら『ユリノキ』は12ヶ月の誕生木には含まれていません。誕生木に関係なく、あらゆる木でストラップ作ればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、あれは誕生木というストーリーあってこその商品です。

サイズの条件さえ合致すれば何でもかんでもいいというつもりで商品を作っているわけではありません。一応私なりのコンセプトと戦略を持って作っているつもり(結果が伴っていないのもありますが、まだ諦めているわけではないので)。そして製材したものがこんな板。これをプレーナー加工して幅40㎜、厚み8㎜に仕上げていきます。それが何に生まれ変わるのは、完成後のお楽しみ♪と、まあこれぐらいまでは普通に使っています。

木の種類にもよりますが、色のある木の場は、こういう作業に過程で発生する『おが屑』だってきちんと収集して瓶詰して『森の砂』になります。これぐらい使ってやっと『骨までしゃぶり尽くす』と言えるのではないでしょうか。こうして残った本当の『使えない部分』、冬場だと焚火に欲しいという人が来られるので、文字通り骨まで使い切る事になります。なぜそこまでするのか?手間が合わないのでは?その答えはシンプルです。「だってモッタイナイじゃない。材木屋が木を見捨ててどうするの。」

 




耳付きの一枚板の魅了は言わずもがなですが、すべての条件に対して応えられるわけではありません。自然素材ゆえ、あと少し長さが足りない、あと数センチ幅があれば、もう少しだけ厚みがあれば、節がちょっと、耳の形が、出来れば国産材で・・・等々いろいろな制約があればあるほど、ぴったりの一枚板を見つけるのは難しくなります。そういう場合は、一枚板でなくて、狭めの板を剥ぎ合わせて対応させていただきます。そうすることでご希望のサイズのテーブルやカウンターを作ることが可能になります。

沢山ある板の中から木柄を見ながら組み合わせていくので、節が無いほうがよければ無節の板で揃えますし、逆に節のある方がいいと言われる場合には、全体のバランスを考えながら節を混ぜた組み合わせにします。先日作らせていただいたのは、全長が3,600㎜、幅が1,150㎜の大きなキッチンのカウンターテーブル。個人の住宅としては、今までご注文を受けた中でも最大サイズ!凹んだ部分にキッチンが収まるので、効率のいい幅剥ぎで作らせていただく事になりました。樹種はブラック・ウォールナット

㈱コラボハウスさんのお施主さんからのご注文でしたが、コラボハウスさんはこういう施主さんからの要望に対しては鷹揚で、よく無垢材を取り入れていただきます。お若い施主さんでしたが、ご夫婦ともに木が大好きで、しかも節や割れ、虫穴などに趣きを見出していただく方で、木に彩りと表情を与えてくれる節も大歓迎との事。最近はそういう嗜好の方が随分と増えて来て、そういう部分で勝負している弊社としてはありがたい限りなのです。という事で、ガッツリ節を取り入れた木取りをさせていただきました。

好みにもよりますが、私はブラック・ウォールナットの場合は、節とその周辺にこそこの木の魅力が凝縮されていると思っています節の部分には枝があって、その枝が折れないように木が風や雪と戦った跡がそこに刻み込まれていて、そこに木の生きざまが味わいとなって現われてくるのです。あるいは傷がついてそこをどうにか治癒させようともがいた入皮や割れ、虫穴など、それらはすべてその木が森で生きてきた証(あかし)であり、彼らにとっての矜持だと思っています。それこそが生きた『森の履歴書』。




しかもこれだけではなくて、そのお宅では他にもふんだんに木材を使っていただきました。こちらはホームバーのカウンターに使っていただいた耳付きのブラック・ウォールナット。どこかのお店ではありません、個人のお宅です。むしろ今時店舗でもこういう無垢の木をカウンターに使ってくれるところが少ないくらいです。恰好いい~!私の人生の設計図でも50歳ぐらいになれば、自宅にこんな空間を作って日曜日ともなれば優雅にウィスキーグラスを傾けながら・・・どこかで計画が狂ってしまいました。

さきほどのブラック・ウォールナットの一枚板のテーブルの奥にこのバーカウンターがあるので、感覚的にこの板があまり大きく感じないかもしれませんが、これとて幅は500㎜サイズ。両耳付きをうまく留め加工してくれたのは、ウッドワークかずとさんの技術。やっぱりこういう空間にはウォールナットがよく似合います。こうやって美しく仕上がった状態を見ると、倉庫の中で埃をかぶって、来るべきその時をじっと耐えて待ち構えていたんだろうと申し訳ない気持ちになります。

更にこのウォールナットの奥にはもう一段低いカウンターがあって、それはブビンガの一枚板。いつもは端材の端材で勝負している、みみっちさが売りの材木屋ですが、年に何度かはこういう豪奢な木の使い方をしていただける現場に巡り合わせていただけます。しかしこういうご縁が成立するのも、そういう材を持ち合わせていたからこそ。長期間在庫している間は、いつ売れるのだろうと不安になる事ばかりですが、本当にいいモノって待っていれば木が人を呼んできてくれる。

そうとでも信じていなければ材木屋なんてやってられません(笑)。こういう出会いがあるからこそ、しかるべき時のためにすぐに使える在庫を持っておこうと思うのです(懲りない・・・)。楽しみは先の方が大きくなると誰かが言いましたが、また来るべきの出会いを信じて、大きなサイズの耳付きの一枚板を仕入れに行こうと思います。次はさすがに15年後なんて悠長な事は言ってられませんが。止めてしまわない限り、心あらばきっといつかどこかで巡り合いはあるはず、と己に今日も言い聞かす




あまりの大きさに私のカメラではうまく収まり切らず、その迫力や醍醐味が十分に伝わり切らないのが残念ですが、お施主さんはご満足いただけました。当初の思惑よりもかなり大きなテーブルになったものの、実際に収めてみればちょうどいい感じになって、バランス的にもこのブラック・ウォールナットの板を待ち構えていたかのような空間となりました。仕上がりの感じも私なりのイメージはしていましたが、木目の味わいという、フォルムの美しさといい自分史上最高の一枚!

売れたとなったらなったで、もう二度とあんあ木に出会えないのではなかろうか、果たして勢いで売ってしまったが本当によかったんだろうかと数日は自問自答しましたが(なんという未練たらしさ!)、こうして綺麗に仕上がって収まるべきところに収まった様子を見るとそんな思いが恥ずかしくなります。自分で言うのもなんですが(自分が言わないと誰も言ってくれないので)、材木屋らしい仕事をさせていただきました。よくぞこういうご縁に巡り合ったものだと感謝感激です。

売れたから言うものの、さすがにこれだけのサイズでこの値段だとこのあたりでは難しいので、関東とかに持って行こうかしらと少し悩んでいました。この材からすれば妥当(というか自分ではかなりお安く値付けしていたつもり)な値段を付けていましたが、大きなサイズとなるととにかく安価なモノを求める傾向が強かったので、この木の価値を分かっていただける人との巡り合わせっていつか来るのだろうかと不安にはなっていました。その時点で15年ご縁がなかったので・・・

 しかし、縁というのは不思議なモノです。実はその時、積水ハウスさんからお声がかかった時に、希望されていたのはもっと小さなサイズだったので、このブラック・ウォールナットは含まれていませんでした。しかもその時に倉庫のかなり奥にあったので、引っ張り出すのも大変だったのですが、何かに突き動かされるように私はフォークリフトのハンドルを握り、気がつけば目の前にこの板が!そしてご来店され、本来の希望サイズでもなかったこの板に目が留まり、結果こういう事になりました。しかも・・・




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