森のかけら | 大五木材


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ここ数日間、近所で伐採させていただいたオリーブの話をしてきましたが、オリーブについては以前から気になっていたことがありました。2年ぐらい前に『今日のかけら』でオリーブを取りあげたのですが、それはちょうど知人の方から香川県小豆島産のオリーブの材を分けていただいた(一緒にオリーブの新漬けもいただいてすっかり虜になりました)事もあって、日本におけるオリーブの歴史というような形でも紹介となりました。その流れで北原ミレイの『石狩挽歌』、北海道小樽の鰊御映画『ジャコ萬と鉄へと展開しました。

地中海沿岸の北アフリカや西アジアが原産のオリーブですが、すっかり日本の木のような紹介になってしまい、原産地やヨーロッパに沢山あるオリーブにまつわるエピソードにまったく触れていなかったのが心残りで、いつかそちらに触れようと思っていました。なのでこの機会に世界におけるオリーブにまつわる神話や伝説をご紹介したいと思います。中東の死海以北ではオリーブは紀元前3700年頃には既に栽培がされていたと言われています。日本に渡来したのは江戸末期ですから、歴史が違いすぎます!

ちなみに北アメリカにオリーブが渡ったのは1769年で、修道士が現在のカリフォルニアの州サンディエゴの伝道地に植えたのが最初だと言われています。古代ギリシャでは、都市の繁栄はオリーブのお陰といわれるぐらいにオリーブに頼っていたとされ、人々も大切にしてきたそうです。すべてのオリーブの始祖に当たる木は、女神アテナを祀った神殿の傍に生えていて、美と潔癖さの象徴でもあり「処女神」とも呼ばれたアテナにちなんで、大切な火を灯すオリーブ油は「ヴァージン・オイル」と呼ばれるようになりました。

アテネ建国とオリーブも深い関係にあって、この国が新しく作られた時に、女神アテナと海神ポセイドンは、それぞれが自分の名前を国名としたいと願い、建国のお祝いにアテナはオリーブの枝を、ポセイドンは馬を贈りました。悩んだ神々たちは会議を開くのですが、馬が戦争の象徴であるのに対して、オリーブは平和の象徴』であったことから、この新しい国の名はアテネに決まったのだそうです。オリーブの始祖木から採られた油は神聖な宮殿のランプに明かりを灯し、女神アテナにも捧げられました。続く・・・




ラ・コリーナ近江八幡で出会った『気になる木のモノ』は木型以外にもいろいろありましたが、そのひとつが、こちらのロンドンバスをシンボルにバイクなどを展示してあるギフトショップにあります。この建物も面白くて、外見は半円形のガレージで、全体の空間の中に違和感なく溶け込んでいます。中もアメリカの映画に出てきそうなほどオシャレ。神はディテールに宿るといいますが、細部に至るまで計算して作り込まれていて、手を抜かない本物志向が垣間見えます。こういうセンスの無い私からすると羨ましい限り・・・。

そのショップにはさまざまなオリジナル商品が販売されているのですが、商品の企画開発から包装のデザインまですべて自社でされているそうです。先代の頃から包装紙などもご自分でデザインされていたそうで、やはりものづくりには『絵心』は大切な素養のひとつだと思いました。私も子供の頃から絵を描くのは好きでしたが、若い頃のきちんとデザインとかの勉強をしておかなかった事が今でも心残りです。さて、そのガレージショップには2階があって、その階段を上がるとそこには、気になる木のモノがあります。

それがこのウィスキー樽。ウィスキー樽と言えば、京都は伏見の有明産業㈱さんのところの商品です。ポンポンといくつか並べて置いてあったのですが、何も説明が無かったので単にインテリアとして設置されていたのか、イベントでもされる時のテーブルか何かに使われるのか分かりませんが、ただそこに置いてあるだけでも存在感充分!有明産業さんのこの樽はちょっとオシャレな店舗などでは最近よく見かけます。やっぱりこちらも本物。本物はただそこに置いておくだけでも画になります

恐らく『ホワイトオーク』製だと思われます。ホワイトオークにはチロースという成分が含まれいていて、非透水性が高く木樽の中に水を入れても水漏れしません。更に内部から抽出成分が溶け出してまろやかなウィスキーに仕上げてくれます。これが他の木だとうまくいかないようで、やはりウィスキー樽はオークでなければなりません。初めて有明産業さんのこの樽を見た時は、樽に打ち付けられたラベルがいかにも外国風なデザインだったので、てっきり海外から輸入された樽だとばかり思っていました。やっぱりデザインって商品の顔だし、大事。

ちなみに有明産業さんではホワイトオークの他にヨーロピアンオーク、コモンオーク、国産のミズナラ(水楢)の木を樽の素材として使われているそうです。更に他の地域のオークや、オーク以外の木(スギ、ヒノキ、メープル、クルミなど)も樽の一部に使用されたりしているみたいで、『森の出口』作りにもご熱心!この樽に特別な意味はないのかもしれませんが、旅先で木のモノに出会うだけで、旧友に会ったようなような気分になってしまいます。すっかり木のモノを探す習慣が身についてしまって・・・




その道の方には有名な話のようですが、ラ・コリーナ近江八幡を運営する『たねやグループ』さんのご先祖は材木商だったそうです。初代は近江八幡で江戸時代頃に材木商をされていて、かなり儲けられたらしいのですが、儲かりすぎて遊びほうけて全財産を失くしてしまい、そこで鞍替えして穀物や根菜類の種子をうる仕事を始まられました。その後、明治になって菓子屋に転じられて今の仕事の基礎が固まったと、山本昌仁社長の著書に書かれていました。私は著書を読んで初めて知りましたが、まさか先祖が材木商だったとは・・・。

材木商だったからというわけではないのでしょうが、ラ・コリーナではいくつか『木で出来た気になるモノ』がありまして、そのひとつがメインショップの壁面にずらりと飾られた木型。その昔は、砂糖を水に溶いて木型に流し込んで固めた砂糖菓子などを作るのに必要だったもの。私が子供の頃は、『めで鯛』ということで鯛の姿をかたどった和菓子をよく見かけたものです。さすがに今ではほとんど使われる事がなくなったので、装飾として展示されているのだそうですが、これだけズラリと揃うとまるで美術工芸品のよう!

どれもが経年変化で黒ずんでいて、実際に使われていたのだと思いますが、そのデザインは素晴らしくずっと眺めていたいほど。実は今でもたまに京都などから菓子の木型に使いたいのだけど、ヤマザクラの材は無いかという問い合わせが入ることがあります。なかなか取引にまで至る事は少ないのですが(今どきですからあちこちから相見積もりを取られているのだと思います)、今でもそういう需要もあって、やはりそこで使われているのは摩耗性が高く滑らかで彫りにも適したヤマザクラ(山』のようです。

私は実際に木型を使って菓子を作った事もありませんので、ヤマザクラがどれぐらいこういう適性があるのか本当のところは分かりませんが、昔から木型と言えば桜と言われているぐらいですから、先人たちが長い経験の中で桜がもっとも適性があると見出したんだと思います。ここに展示してある木型が何の木なのか、近づいてみたのですがサクラっぽくも見えるのですが、全部が全部そうなのかは判断できませんでした。昔であればもしかしたら入手しやすい里山の広葉樹あたりを使われたのかもしれません。

海外では美術品としても人気があるということですが、日本人にだってこういうものに目が無い好事家は多いと思います。木型に限らず昔の職人さんが使っていた道具って、実に緻密で精巧に出来ていて、その割に構造がシンプルで修理しやすくなったりと驚くほど機能的だったりします。特に木の道具って時間が経てば経つほどに味わいや趣きが生まれて来て、いい感じになってきます。これが貼りものだったらこういう味わいは出ていないでしょう。やっぱり本物って時間が経ってもしっかり残ります。




娘たちの勧めで、評判のバームクーヘンをいただきました。ふわふわでやわらでしっとりしていて甘さ控えめで、噂にたがわぬ美味!お店で買うバームクーヘンってもっと硬いのですが、焼き立てはこんなにやわらかいのかと驚きました。ラ・コリーナ近江八幡では、間近で職人さんがバームクーヘンを製造している工程を見る事が出来ます。売店の傍のガラス張りのスペースで作業されていますが、(余計な心配でしょうが)大勢のお客さんの好奇の目に晒されて中で作業するスタッフの方、かなりストレスが溜まりそう・・・

ところで、材木屋として気になるのはバームクーヘンの味そのものよりも、その語源や木との関わりについて。まずバームクーヘンという名前がドイツ語Baumkuchen/樹のお菓子)で、見た目が木の年輪に見える事からその名が付いたぐらいの知識しかありませんでした。専門店で買うバームクーヘンは綺麗で均質な層が出来上がっていて文字通り『年輪のケーキ』のように見えますが、自分で作るとなると超難しくて、昔、愛媛大学の樹木博士の講義で手作りバームクーヘンの体験をしましたが、もの凄いいびつな層でとても健全な樹の年輪には見えないモノになりました。

発祥の地がドイツという事ですが、ドイツの木といえば思い浮かぶのが、『黒い森』。ドイツ語だとシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald。植林されたモミ(樅)など針葉樹林が密生して生い茂り、夏でも暗く、遠くから見ると黒く見える事からその名がつきました。実際に行ったことはないのですが、その黒い森から産出されたドイツモミを使った事があったので、ドイツ、樹、といえば「黒い森」が連想されます。それでいろいろドイツとバームクーヘンの事について調べていたら、日本で初めてバームクーヘンを作って売り出された老舗の㈱ユーハイムさんのHPで気になる話を見つけました。

それはバームクーヘンの名前の由来についてですが、定説とされている前述の由来のほかにもうひとつこういう説もあるというご紹介。それはバームクーヘンを焼くときに使う芯棒に木の棒を使ったいたからではないかというもの。古来からドイツではカシ(樫)は特別な木で、「堅牢さ、強さのシンボル」であり、ドイツの森のシンボルでもあったというもの。という事は、そもそもカシの木の芯棒を使ったいたことから、木で作るお菓子としてバームクーヘンという名前になったのではという説。そこで気になるのは、その説が正しいかどうかよりも、芯棒の木がカシなのかどうか?

英語が日本に伝わった時に、オーク(Oak)を誤ってナラ(楢)ではなくてカシ(樫)と訳してしまったために、その後いろいろな文献でナラとカシの取り間違いが起きてしまっているのは有名な話。そもそも英語のOakという単語には、常緑性のカシと、落葉性のナラの区別も無く、ヨーロッパの人もその区別にはこだわらないとか、アルプス以北のOakは落葉性のナラであるなどの話もあって、ヨーロッパに行った事が無い私には正直よく分からないのですが・・・置いてあった芯棒も焦げていて何の木かよく分かりませんでしたが、こういう『美味しい木の出口』もいいなあ♪




彦根城の話の続きです。本当は国の名勝にも指定されている『玄宮楽々園』(江戸時代前期に作庭された大規模な池泉回遊式庭園)も彦根城博物館も観たかったのですが、さすがに子どもたちの興味なさそうな顔を見ていたらそうとは切り出せず、彦根城はこれにて終了。出口にひこにゃんの看板がありましたが、本丸でもひこにゃんが登場する時間が書かれていて、それを待っている観光客もいましたが、子どもたちもさすがに着ぐるみに興味を示す年齢ではなくなったので、冷ややかにスルー。

大手門側から入城した我々にとっては出口となった、表門の券売所付近には立派な門松も飾ってありました。1月の誕生木はマツ(松)ですが、その由来はこの門松にあります。そもそも門松を飾る意味は、毎年家々に訪れて家族の幸せや豊作をもたらしてくれる年神様が迷わないための『依り代(よりしろ)』としての意味があります。そもそも日本には土や石、樹木などあらゆるものに命が宿っているというアニミズムという思想がありますが、中でもマツは「祀(まつ)る」につながる事からめでたい木として使われ、昔はマツだけを飾っていたそうです。

文献によれば門松が初めて飾られるようになったのは平安時代後期らしく、その当時はマツだけ飾っていたようですが、室町時代に入ると長寿の象徴でもある竹も一緒に飾られるようになったそうです。また門松の切り口には斜めに切った「そぎ」と真横に切った「寸胴」の2タイプがありますが、そぎの由来は、徳川家康が生涯たった一度の敗北した武田信玄との『三方ヶ原の戦い』にあります。強すぎる武田軍に手も足も出ず、敗走する家康は恐怖のあまり脱糞するのですが、次に刃を交わすときには必ず「武田を切る」という強い思いから、竹を武田に見立てて切り口を斜めにそぐようになったようです。

昔はよく見かけた門松ですが、最近は大きな店舗や銀行などでしか見かける事がなくなりました。私が子供の頃は実家でも門松を飾っていましたが、いつ頃からか飾らなくなっていました。大五木材木材でも飾っていなかったので、幸せや五穀豊穣をもたらす年神様が依り代が見当たらないので迷われているのかもしれません。結局今年の正月は滋賀に行ったので飾れませんでしたが、来年はせめて平安時代の起源スタイルの竹1本でも飾っておこうかと思っています。

さて彦根城を出ると、彦根城のお堀にかかる京橋からすぐのところに江戸時代の城下町をイメージして整備された「夢京橋キャッスルロード」に行きました。白壁と紅殻に煤を混ぜた黒格子、いぶし瓦。切妻屋根の傾斜を揃え、町屋風に統一された街並みは、古いモノと新しいモノが混在する不思議な空間。さすがに正月という事で閉めている店も多かったのですが、気になったのは店々に掲げられた木の看板。こういう店構えですから木の看板が映えます。それと彦根は招き猫発祥の地らしく、町の至る所に招き猫が見受けられました。彦根面白い!




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