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今回、明夫君には以前購入していた材を運んでもらったのですが、それ以外にも幾つかの材を分けてもらいました。そのうちにのひとつがこの『百日紅(サルスベリ)』です。こんな大きなサルスベリ初めて見ました。迷わず一発購入を決めましたが、私としてはこのまま材料として転売する気はまったくありません。『今日のかけら』などでたっぷりと味あわせていただいた後で『森のりんご』などに加工するつもりです。もっと早く手に入っていれば間違いなく【森のかけら】でした。
明夫君にはこのサルスベリだけでなくいろいろな珍しい木、面白い木を探す時によくお世話になっています。今回もサルスベリ以外にも幾つかの味わいのある木をいただきました。ただしこれらの商材は明夫君にとって決してメインの仕事ではないので、いずれ近いうちに本業である『名栗の手仕事』も見に行かせていただこうと思っています。それで今回は、その名栗商品の一部を持って来てもらいました。明夫君のところの名栗商品を実際に手に取るのは私もこれが初めて。
庭のある日本建築など縁側のあるところに並べて縁台に使う装飾材で、『竹縁』と呼ばれるものですが、竹の名前がついているものの素材そのものが竹ではなくクリです。元々は竹を使っていた名残りでしょうか。そのクリを六角に製材したものの六面に名栗加工が施されたものです。本来は縁側に使われるものらしいのですが、用途関係なしに見ているだけでもその造形にほれぼれします。単独で装飾的な用途にもご提案できそうです。
栗発祥の地から遠く離れた愛媛のこの辺りでは、ノミで荒々しく削ったような細工も、釿(ちょうな)でハツった細工もザックリとした総称で「ナグリ」、あるいは「ナグリ調」と呼んだりしていますが、これこそが本来の元祖『名栗加工』。今はまだ遠巻きに眺めるだけですがいずれ、私も明夫君に殴ってもらいたい、(!)いやナグッてもらいたいと思っています。クリのような素朴な杢だからこそナグル事で陰影が生まれ杢に豊かな表情と味わいが生まれます。
また明夫君のところでもモッタイナイ精神が息づいていて、銘木などの端材も捨てたりなんてしません!端材のオモシロイ杢を使って『銘木ボールペン』や『iphoneケース』も製作。小さなボールペンの中に銘木の妙味が凝縮され、大変人気だそうです。実は私もその中から『台湾樟』のボールペンをプレゼントしていただきました。こういう形で木のモノが、木の世界が身近で使える、堪能できるって楽しい。木は遠くで眺めるよりも、身近で使う事で一層愛着が湧いてくるものですから。明夫君、ありがとう!
※ ㈲橘商店のホームページはこちら→http://www.naguri.co.jp/
さて翌日の明夫君は早朝から石手川ダムの上流まで車を走らせて、大好きな釣りに興じました。そんな釣り好きの明夫君の愛用のリールには、広葉樹の専門家としての矜持が刻みこまれています。栃の見事な虎斑(トラフ)!まさにこれこそ銘木と呼べる逸品です。住宅産業における銘木離れが進む中で、住宅や家具分野以外でこのように『銘木のかけら』が使われている場面をよく目にするようになりました。小さく加工されてその存在感が際立つのも広葉樹の特徴のひとつです。
明夫君のところでは、面白い杢や木柄の木を使って銘木ボールペンも作っているようですが、広葉樹は本当に余すところなく使える素材だと思います。実は弊社でも広葉樹を使った新商品の開発が進んでいますが、まだ完成までにはもう少し時間がかかりそうです。それ以外にも定番の『森のこだま』でも大量注文が入り多くの広葉樹が現在も製作中。こちらは明夫君の専門分野・栗で作っている『クリのこだま』。この素朴な表情、クリの人(木)柄が伺えるではありませんか。
いろいろな所に神出鬼没の明夫君にとって、そう珍しいものも無いと思われる弊社の倉庫ですが、それでも熱心に木にカメラを向ける姿を見ると嬉しくなります。私は今はもっぱらリコーのGRを愛用していますが、まだパソコンもそこまで普及してなく、フェイスブックもなかった20数年前、私も明夫君のように一眼レフのカメラを抱えて木を映していました。当時はフィルムの現像代だけでも相当な金額になっていて、それはデジカメが廉価で普及するまで続きました。
今は誰でも普通に木を撮影してメールで送って確認して購入の判断基準にする時代ですが、やはりそこで考えなければならないのは「木を美しく撮る事」。私のような未熟な者でも、それなりのレベルでしっかり意識だけは強く持っています。本来はこうして実際に観てもらうに限るのですが、遠方からの問い合わせが増えるに連れ、画像だけで判断してもらわなければならない機会も増えています。明夫君のファインダーを除く真剣な眼差しを見ていて、若かりし頃の自分の姿がかぶりました。
※ クリのこだまは、BASIC(ベーシック)・・・¥1,000/個(消費税別)で発売中です。詳しくはこちらをどうぞ!
以前に岐阜銘木の旅でお世話になった大阪の橘商店の橘明夫君が来社する事に。橘明夫君は創業100年を越える老舗の名栗加工の専門店・㈲橘商店の四代目社長。以前に購入させていただいていた木材などをトラックで積んで持って来てくれたのです。橘商店は名栗の加工がメインですが、それ以外にもさまざまな材を扱っていて、岐阜の銘木市場をはじめいろいろな市場にも熱心に通っていて情報収集にも余念がありません。今回も注文材以外にも幾つかの木を積んできてくれました。
今回は弊社だけでなく徳島の方にも配達があったので、前日から四国入り。折角なのでその夜は道後温泉に行って見るという事で、弊社が作らせていただいている道後温泉の『湯玉はがき』もお薦めしておいたのですが、しっかりと購入してもらったうえに奇跡の緑のボーダーかぶり!持っている男は違います。この湯玉はがきも売れ行き順調のようで、先日もまた600枚ほどのご注文をいただきまいた。来県される方にお薦めできる地元の名所とのコラボがあるのはありがたい。
徳島経由で愛媛に入ってきたのはもう夕方だったので、とりあえずご来店は翌日にする事にして、その夜は松山の夜を堪能していただく事に。材木関係の人が来られた時にご案内する店とそのコースも決まっていて(折角なのでなるべくならカウンターやテーブルなど弊社が関わらせていただいたお店がいいと思っているので)、今回はお得意の『代官町別邸 橙』へ。メールや電話で日々やり取りはしていても、膝詰めで接してこそ通ずる話というものもあります。
その後はお約束のゼブラウッドのカウンターがあるショットバー『独創』へ。松山周辺では広葉樹専門店というものがないうえに、その情報量も驚くほど少なく(それだからこそ弊社のような店でも何とかやっていけているのではありますが)明夫君のような歴史のある広葉樹屋さんと話すといろいろ情報ももらえて助かります。とかく針葉樹ばかりにスポットが当たる風潮の中で、広葉樹の魅力拡大とその復権について熱くディープな話が延々と続き松山の夜は更けていくのです。
先日、弊社の創業40周年の事をアップしましたが、私の周辺には4代目、5代目とか創業100年を超える企業の友人も多く、弊社の40年などまだまだよちよち歩きなのです。その中でも愛媛の木材業界の老舗中の老舗である、盟友・井部健太郎君の久万造林㈱・創業100周年記念 の祝賀会があり私も参加させていただきました。祝賀会は、愛媛木材青年協議会主催で、久万造林さんとお付き合いのある方々がおよそ60人も集まるという大盛況で、連綿と100年続く歴史の断面が伺えます。
久万林業の起源は古く、健太郎君のご先祖様であり初代の久万造林社長である井部栄範さんが明治6年(1873)に久万の地にスギ・ヒノキの苗木を植林したのが始めだとされています。その後、大正3年(1914)に「久万造林株式会社」が設立され、現在は390町歩もの所有林を持つ、愛媛でも指折りの林業会社となっています。栄範さんは和歌山市生まれですが、年少の頃に仏門に入られ、明治の初年に師事した師が久万の住職となられる際に、師と共にこの地に移って来られました。
当時の村に150の世帯があったらしいのですが、1ヶ月に一軒の家で200本の苗を植えれば、1年間で3万本、10年すれば30万本の木が植林でき、それによってそれぞれの家庭で財産形成が出来るとの思いで、植林を奨励しました。栄範さんに先見の明があったのは、貧困に苦しむ地方を支える根幹に大規模林業を置いた事。そこには、それこそ50年先、100年先の地方産業の姿を見ていたことでしょう現在の久万の立派なスギ・ヒノキは、当時の村を挙げての植樹活動が礎となっているのです。
ただ木を植えただけでなく、その売り先までもしっかりと視野に入れていました。植林に成功したスギ・ヒノキの販路を拡大するために、久万から松山までの道路開拓が急務との考えから、自ら県会議員に立候補し当選後、道路建設に東奔西走。その結果、現在の国道33号線が開通し、久万林業は飛躍的な発展を遂げることになるのです。そういった背景を知っているからこそ、これだけ多くの木材関連企業が集まったわけで、いわば久万の林業は愛媛の林業が戦後から歩んできた縮図なのです。
多くの井部家の人間が携わってきた歴史の100年目に当主を務めることになった健太郎君は、ご先祖たちの意思を受け継ぎながらも、自社の広大な山林のデータベース化や林業の観光化など林業に対する新しいアプローチに取り組んでいます。閉鎖した自社工場を改造して近いうちにカフェもオープンさせる予定で、従来の『山持ち林家』のイメージを大きく変えようとしています。栄範さんのDNAを受け継ぐ健太郎君だからこそ、これから先の100年の林業の事を誰よりも強く考えていることでしょう。
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