森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

私が言うところの『変人・偏屈・変態材木屋』というのは、人間的に性格に問題があるとか、挙動不審とか頑固一徹とかいうわけではなく、木に対してそのひとなりのモノサシを持っていて、信念を持っている人のこと。学者先生みたいに木の知識があるという事も、それはそれで職業的材木屋としては持っておくべく大切な素養の一つだとは思いますが、それではただの木に詳しい材木屋に過ぎません。そういう人は堂々と明るい王道を歩かれた方がいいのです。木材業界のためにも。まあ、私にはほとんど興味の無いどうでもいい話なのですが・・・

私たちは高度な木材の学術的知識も持ち合わせていませんし、高級銘木を倉庫に溢れるほど持っているわけでもありません。月に何棟のプレカット材を運んだという長けた営業力もありません。しかしそれでも、私たちには常人では考えもつかないような(呆れて真似などしようとも思わない)木に対する偏執的な変態的な愛情があります。私の場合は、より多くの木を見たい、触りたい、削りたい、揃えたい、そしてその木の事を喋りたいという多樹種異常偏愛があります。若い頃は隠れてコソコソしていたものの、もう今は隠すどころか公言しています。そう、病気なんです。

だから今までは無理して明るく大きな道を歩いてきましたが、どうにも息苦しくて落ち着かず馴染めませんでした。なにより仕事が楽しくない。どうせ一回きりの人生、後で後悔するぐらいなら自分が本当にやりたいことをしようと思って、選んだ外道・邪道はまさに私にピッタリの場所でした。そこには同じ症状の仲間もいるし、面白い木が沢山あって、なによりも仕事が楽しい!自分が持っている道具はまさにこの道を往くためにあったのだと気づかされるほど。なにより素晴らしいのは、そこにある木の多くがほとんど手をつけられてなくて出口がまだ未開だということ。

これから自分たちの手で出口を切り開けるということは、たとえそれがどんなに小さなものでも嬉しいし、それこそが変態材木屋にとっての冥利。そんな世界には王道のルールや決まりごとは不向きだし、それを持ち出すのは無粋というもの。自らの手を汚した者だけが、出口の扉を開く資格があるというのに、この世界に来てまで誰かを頼って己は高みの見物をする気とは片腹痛い。ちょっと思うところあったので、抽象的な話になって一般の方には分りづらい内容となってしまいました。明日からは具体的に、そんな変態材木屋に集まる変態なお客さんの話・・・




市場や木材商社から買った私の木材仕入れリストやトラックで運ばれてきたそれら現物を見て、「こんなモノ買ってきてどうするの?こんなモノ誰に売るのか?」などと呆れたり、好奇の目で見る同業者は多いのですが、そんな事は慣れっこ。いちいちそれを誰にどう売るのか、説明するのも阿保らしいのでまともに相手にする気にもなりません。自らあえてそういう外道・邪道の道を選んで進んでいる偏屈人なので、なんと言われようと信念は揺らがないし、むしろ変人フラッグを立ててもらってありがたいぐらいなのです。

わざわざ自分から変人ぶりを説明する手間も省けて、それを覚悟でご来店いただくので、変な誤解も減りました(ここには柱や梁桁などのまともな木材も置いていないのか!というお叱りやら呆れ)。それはまさにわが意を得たりの状況なのですが、最近そんな外道・邪道の道に興味本位で飛び込んでくる「まともな人」が増えてきてちょっと困っています。今後の新築の住宅が減るのを危惧して、「まともな材木屋」が住宅以外の出口探しに奔走されていて、こちらの世界に足を踏み入れて来られる。来られるのは構わないのですが、それがあまりにも無防備で覚悟が無いのが問題。

少し前まで、私の仕入れリストに見て「まともな材木屋が買うものではない」なんて仰っておられた「まともな材木屋」ですから、こんな外道・邪道の世界を通るのも不本意なのでしょうが、それにしても郷に入っては郷に従うべし。本気で山に木を見に行くのに革靴で山に入る人はいないでしょう。本気でこの道を往こうと思うならば、せめてその心構えぐらいしておくべきだし、最終出口だって人任せにせずに自分の手で切り拓くべき。木を測るモノサシだってこちらの尺度にあったそれに変えておくべき。なにしろこちらは鬼が出るか蛇が出るか分らぬ外道・邪道の世界

もしも、そんな世界に快適な夢の出口があるとでも思っているのならば即刻もとの明るくて大きな道に戻ったほうがいい。灯りもないような暗闇の中で手探りで出口を探っていて、同じ血族の仲間たちとも多く出会いました。そしていま彼らと共により多くの出口を探しているところですが、そこで感じた事は、この仕事がとんでもなく面白くて、とんでもなく木が好きな連中だということ。そこで木材業界が危機的状況にある最大の原因に気づく。それは、木が好きではない人が木の仕事をしているから。木に愛想をつかされたのだ!続く・・・




最近、南予(愛媛県の南西部)に現場が集中していて、よく南予の道をトラックで走ることが多いのですが、急いでいるとき以外は経費節減で高速ではなく一般道を使います。そしたらよく目につくのが、家々の庭先にある柿の木の熟れた艶やかな橙色。それまでひと様の庭先のの木のことなど気にしたこともありませんでしたが、意識して眺めていたら、まあそこにもここにも柿、柿、柿。田舎なんで庭が広いということもあるのでしょうが、改めて庭の柿が多いことに驚かされました。特に宇和町あたりではよく柿を見かけました。

それで気になって調べてみると、愛媛県の柿の生産量は全国的にも上位で安定していて、この10年間だと平均して全国7位あたりの柿王国でした!王国は大袈裟ですが、柿の木を多く目にするんのも納得の数字でした。うちは実家にも柿の木を植えてなかったので、そこまで柿の木には馴染みがないものの、「柿の木は折れやすいから登ってはいけない」というのはよく聞いていました。こどもの頃はそれを試す機会がなくて、ヘビー級のウェイトがある今は、柿であろうがなかろうが怖すぎて試す気にもなれません。

柿の木は虫害を受けたり病気になることが多いため、その影響などで内部に空洞が出来たりして折れやすいのだと思います。また実が熟すると重みで枝先が垂れるのでどうしても、細い枝先の柿を採ろうとするとポキンと折れてしまうので、甘い柿を採ろうと無茶なことをしないための予防線としての意味合いもあったのだと思います。私の実家には枇杷が植えられていて、果物だと柿よりも枇杷派なのですが、材となると話は別。ここからは食べ物としての『柿』ではなくて、材としての『カキ』の話になります。

以前に、カキはカキでも墨汁のような桎梏の筋が芸術的に材面に現れた、いわゆる『墨流し』の『クロガキ(黒柿)』の話をしました。その時は、肉厚のカキの耳突板を厚みで半分に割ってブックマッチにしたものを使ったキッチンカウンターの製作をさせていただいた話でした。その際にそのクロガキと共木の板(同じ一本の丸太から取れた)がありまして、実はこれが私的には一番気に入っていたもの。ただ同じ木柄のものはなかったので、単独として使わなければなりませんでした。そのカキが大五木材にやって来たのは10年以上も昔・・・

 




2019年12月10日(火)~11日(水)東京ビッグサイト(南3-4ホール)で、木の祭典『WOODコレクション(モクコレ)』が開催されます。全国各地の国産材を活用した木製品のが一堂に集まる全国規模の展示商談会です。そのイベントに愛媛から、新たな木の出口を模索する集団『森いづる愛媛』も出展します。『森いづる愛媛』のメンバーは、㈱久万木材市場、合同会社もがな、㈱木遊舎、 そして大五木材。なんとか協議会とかなんとか組合みたいな組織ではありません。同じ志を持った者の集まりで、映画製作の実行委員会みたいなもの。

なので、それぞれの企業がコラボして何か商品を作ったとか、同じコンセプトでひとつのテーマを持った商品を開発したというものではありません。しかし、いずれもが今後を見据えた『非建築分野での出口商品』の開発・製造・販売を目指しているのは共通しています。このモクコレというイベントそのものも、建築建材や家具といった従来通りの『木の出口』の見本市ではなく、むしろそれ以外の出口を求めて、全国各地での実例を披露しあう、情報を交換し合う、手の内を探り合うといった色合いを帯びたもののように感じます

小さな木材業界内部でいがみ合ったり、足を引っ張り合うような時代はとっくに終わりました。これからはもっとフラットな視点で、地域や材の特性、特徴を活かした『木の出口』を研鑽し、刺激し合い、情報を交換し、収斂していかないとこの業界に希望はありません。我々『森いづる愛媛』の企業はそれぞれの身の丈に合った規模とものさしで『木の出口』を探り始めたところで、やっとスタート地点に立ったばかりですが、森から出(い)づるモノに物語性を付加して価値のあるもの、喜ばれるモノにしたいという志はあります

世間から見れば小さな小さな「あがき」かもしれませんが、安全地帯から他人の批判ばかりをするような者ではいたくない。失敗を繰り返しながらも出口を探すか者でありたいと思います。無理をしないで出来ることを精一杯、楽しみながら『木の出口』探しをしていきます!㈱久万木材市場井部健太郎片岡伸介)、合同会社もがな槙野賢児)、㈱木遊舎徳島克次)、Ast -アスト-片岡伸介 ㈱大五木材高橋照国)。これからイベントに向けて色々な情報、商品などをアップしていきます。12月10/11日、東京でお会いしましょう!




新・森のかけら400プロジェクト』の始動を告げたところ業界内外からもいろいろお声をかけていただき心強く感じています。中には、早速OOの木ならある、という話までいただきありがたい話なのですが、そんな中でこういう反応もありました。OOみたいな一般的な木なのに、なぜ現在のリストにすら含まれていないのか?あるいは、〇〇なら端材がいくらでもうちの工場にあるけどそんなのが欲しいの?そうなんです、今回探している樹種の中には決して珍しくもなければマイナーでも木もいくつか入っているのです。

それは例えば、日本の木でいえば『レモン(檸檬』であったり『ユズ(柚子』などの果樹木。まあこちらについてはタイミングで得難いのと、かけらサイズ(35㎜角)に取れるものが少ないという理由に依ります。世界の木でいえば、『ウィロー』や『マグノリア』など。決して高価ではないものの日本での明確な出口がないため輸入商社の食指が動かないため端材が得難いもの。そして『メルクシパイン』や『ラバーウッド』などのように、弊社にその端材も沢山あるのに適サイズが無くて悔し涙を流しているものなどです。

中でも『メルクシパイン』や『ラバーウッド』は、代表的な積層フリーボードの素材で、『モザイクボード』を作り出してからはほとんど取り扱いを止めていますが、弊社の倉庫にもかつての残材、端材がいくらも残っています。まだ見ぬ樹種を得たいという欲求と、その樹種なら目の前にあるのに、あとも言う少しだけ大きければなあという悔しさは同列。いや、手で触れるだけにその悔しさの方が強いかもしれません。一般的に流通している積層ボードの厚みは25㎜、30㎜。森のかけらは35㎜角なので、わずかに足りないのです💦

特に現地で加工して商品化されているものについては、完成商品はあれども端材すらに日本には入ってこない状況で、まさに臍を噛む思いなのです。なので、どこの材木屋にでもある木なのになぜ入手が難しいの、と疑問に思うのです。35㎜角にしたことがアダでもある反面、この大きさが掌でかけらを包み込む最適サイズという自負もあるので、根気よく適サイズを捜すのみです。名前も知られている木たちなのでなんとかリストに加えたいところなのですが・・・。楽勝と思って通ったぬかるみが思わず深くて足を取られた、って感じでしょうか。かけら沼深し。




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2019年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  
Scroll Up