森のかけら | 大五木材


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20150106 1本当は青森が舞台の映画『八甲田山』は通過点で、その先にある北海道・網走がこの話題のゴールであったのですが、随分と話が逸れて今いましたので、逸れついでにもう少しだけ『八甲田山』について。この作品における現場の狂気は、感染と増幅を繰り返し更なる狂気を求めて彷徨うことになります。雪山の美しさと恐怖を映像に収めた名カメラマンの木村大作冬の立山を舞台にした『劒岳 点の記』や奥秩父の山小屋が舞台の『春を背負って』などの映画を自ら撮影兼務の監督としてメガホンを取る事に。

 

20150106 3当時は機材の品質も低く、うまく雪の白さを表現出来なかったと述懐していた木村大作は、『劒岳 点の記』で恐ろしいほどに美しい雪山を捉え雪辱を果たすことになります。ただ私としては、画質こそ不鮮明ではあるものの、吹雪の中のブルーにくすんだ雪にひどく恐怖心を煽られました。それは私が知る季節の風物詩などという甘いものではなく、人間が踏み入ってはならない季節に聖なる地に足を踏み入れてしまった雪山の怒りのメタファーのようでもあり、意思すら感じられるほどでした。

 

20150106 2更に狂気は健さんにも感染。凍傷になりかかったにも関わらず、その後更に過酷な『南極物語』で、再び雪に挑むことになろうとは・・・!ところで映画の中で、完全に道を見失った北大路欣也の隊が、荒れ狂う吹雪の中で、木の枝が不自然に折れられている事で、それが目印だと信じてその方向に進み、更に遭難してしまうという場面がありましたが、冬の雪山で樹木の枝を折って目印にするって映画やドラマではよく見かけるのですが、実際にどれだけ有効なものなのか疑問に思いました。

 

20150106 4以前このブログにも書きましたが、八甲田山の近くにある白神山地のブナの原生林についても、そこにブナが根づいたのはおよそ3000年前の事らしく、それ以前は東北地方もまだ温かくてブナの適地ではなく、ナラクルミなどの森だったそうです。4000年前ぐらいから地球の温度が下がり大雪が降るようになると、雪の重みで枝や幹が折れナラたちは衰退し、代わって寒さにも強いブナが出現して、今に通づる原生林を形成したという事を不意に思い出しました。

 

20150106 5幸いな事に自分は今までそういう事態に陥った事はありませんが、雪山でなくとも余程そこの地形に精通していなければ、目印となる樹なんてどれも皆同じに見えますし、雪でも積もれば枝も折れることだってあるし、高さの感覚も変わると思うのです。それゆえに地元の案内人が重要なのに、こともあろうに三国連太郎は、小遣い欲しさ目的だろうと農民を罵倒し案内を断るのです!一方、健さんは道案内に雇った村娘(チョイ役に古手川祐子!)に対して、全員敬礼で感謝の意を尽くします。

 

20150106 6 昔はどうでもない場面だったと思うのですが、今観返すとなぜだかそのたびごと胸が熱くなって涙が出そうになるのです。そんな礼節のある健さんだから、道に迷う事も無かったのです。気分次第で方針をコロコロ変えて無謀な行動に出る三国連太郎に向かって叫ぶ私の声はいつも届かない・・・「そっちじゃないんだよ〜!お前は黙って欣也に従えばいいんだ〜!」。リーダーたる者いかに冷静な判断を下し皆を率いるべきかの教訓としても私は繰り返しこの映画を観続けるのです・・・




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