森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#012 【カポール】 kapor   フタバガキ科・広葉樹・東南アジア産

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先日、カポールの加工をしました。カポールはスマトラやボルネオなどの東南アジアに分布する広葉樹です。濃い茶褐色で、ズシリとした重量感のある硬い木です。強度もあるのでこの辺りでは、よく重機を積み下す時の「あゆみ板」などに使われています。

 

 

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カポールは、別名『ボルネオカンファーウッド』とも呼ばれます。カンファーとはいえば、クスノキの代名詞のように思われる人も多いと思いますが、カポールも似たような名前で呼ばれます。カンファーとはカンフル剤の事で、クスノキがそう呼ばれるのは、天然の樟脳成分が含まれていていることに由来します。カポールもクスノキに似たような強い刺激臭を持っているためですが、クスノキは『クスノキ科』で、カポールは『フタバガキ科』で別の科に分類されています。クスノキの『樟脳』に対して、カポールのそれは『龍脳』と呼ばれてきました。原木を製材したときであれば、クスノキ並みの強い芳香が感じられるのかもしれませんが、今回は以前仕入れてかなり眠っていた材だったので、よく乾燥して強い匂いは感じられませんでした。

使うほうからすれば乾燥している方がいいに決まっているのですが、カポールのような『フタバガキ科』の木に関して言うと、よく乾いていると加工が・・・大変です!多少でも湿っているとそうでもないのですが、乾いていると、プレーナーで削った時に細かな粉塵を大量にばら撒くことになります。更に私は眼鏡を掛けていて、マスクをすると眼鏡が曇ってしまうので、加工の時でもマスクをつけたくありません。更に木の触感も確かめたいので素手で加工します。なので、いつも喉がゲホゲホになるのですが、それでもマスクには抵抗があります。今、眼鏡が曇らないのもあるんでしょうけど、埃や汗で使い捨ての安いのでないともちません。今回は特に乾燥したカポールなので、粉塵が加工場いっぱいに舞い上がります!カポールの粉塵は細かいうえに尖っているようで、目や喉が痒くなったり痛かったり・・・。服の袖や襟元から侵入してきて、チクチクします。喉もゴホゴホ・・・。マスクをつけず軽装備なのが悪いのですが、かなり辛い状況です。それでもみんなで一気に仕上ました。削るとカポールも滑らかで綺麗です。

 

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カポールは、シリカを含んでいるときも多く、刃こぼれの原因にもなりやすいので気を使います。加工に手を焼く木ほど、仕上がると愛着も湧くものです。一概に『フタバガキ科』の木は、木目が不明瞭で装飾的価値が低いので仕方がない面はあります。また左の画像からも分かるように、小口に多少『ヤニ』の跡が見受けられます。この『ヤニ』もカポールの用途を限定させている理由のひとつです。

とはいえ『龍脳』というキーワードは、埋もれてしまうにはあまりに勿体ない!もう少しカポールの活用方法を考えてみようと思います!




少し前になりますが、久万造林㈱井部健太郎君の紹介で、今度東京の銀座で飲食店を開くという方にお会いしました。井部君の遠い縁戚になる方のようですが、お互い面識はないようで初対面だったようです。そのお店が、産直野菜と炭火焼のお店で、ついては縁やゆかりのある久万高原町の野菜も扱いたいということで、愛媛に来られたみたいです。詳しくは、井部君のブログに詳しいのでこちらをどうぞ。

食材の仕入という目的だったと思うのですが、夕食に誘っていただき同席しました。さんと浅野さん、若いお二人ですが熱意が溢れています。何か新しい事を始めようとするような意欲的な人と話すのは楽しいです。こちらまで元気を分けてもらいます。幾つになっても挑戦する気持ちをなくしてしまってはいけません。『夢』を大きな声で語れなくなってしまった時、その人の『青春』も終わってしまうと思います。私も永遠に『夢を語る場愚かな青年』でいつづけたいと思っています!お店の名前は『GINZA 一匠』。

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食材の話については私の出る幕もありませんので、専門の『八百屋木っちん』さんにお任せです。私はその食材を盛る『木の器』のお話を(勝手に)させていただきました。その甲斐あってか(?)、お店で使うお膳のご注文をいただきました。『丸膳』をまとめてのご注文です。ありがたい!遂に、『丸膳』東京進出です!大急ぎで製作にかかりました。お店は今月の23日(月)にオープンとの事で、間に合うように大急ぎで仕上させていただきました。

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 素材は杉ですが、ただの杉だと思ったら大間違い。井部君のところで2年前に伐採した『新月伐採の新月杉』なのです。『新月杉』については長くなるので、詳しくはまた後日改めてアップします。その板を購入し、弊社の倉庫で充分に乾かせたものの中から、木目と色合いのいい物をより出して加工しました。丁寧に面取り加工をして、植物性油を2回塗装してよく乾かせました。自分で言うのもなんですが、杉独特の優しい風合いがよく出たと思います。

この商品もいよいよパッケージなどが揃い正式に販売が見えてきました。4月にはホームページでもアップしていくつもりです。今回は正式販売を前に、東京お披露目です。『森のかけら』同様いろいろな種類で作っていますが、今回はお店の雰囲気や料理との相性から『杉』を選んでいただきました。他にも200X200㎜の『角トレー』のご注文もいただきました。こちらも杉です。なんといっても久万の食材には、久万の杉がぴったりでしょう!この膳の上を久万の食材が彩る姿が目に浮かびます。

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杉は柔らかい素材で傷もつきやすいです。植物性油塗料は含浸性なので保護能力は高くはありません。その反面、杉のぬくもりのある触感を損なわず、使うほどに艶や光沢も生まれます。要は、本人がそのものに何を求めるかという事に尽きます。産地の新鮮な食材を扱うお店としては、杉の植物性油仕上げという素材を選んだというところに、経営者の店に対するコンセプトの一端がうかがえます。

東京出張の際には是非伺わせていただくつもりです。東京の飲食店経営というのは、生き馬の目を抜くような厳しい世界だと思いますが、お二人の情熱があればきっと成功すると思います。頑張ってください!そして『丸膳』も少しでもお役に立てますように!




配達で走っていると、学校の卒業式の光景を目にする季節になりました。卒業式は若者にとって壮大なセレモニーです。私の子ども達は、まだ小学生なので劇的な卒業式はもうすこし先の話ですが、他人の子どもとはいえ、友達との別れを惜しむ姿を見ると「昔の若者」の心も少しは震えます。

卒業という感動的な儀式は、多くの詩や文学、歌にも詠まれていますが、私にとっての「卒業」は何と言っても、ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』以外には考えられません。初めて『卒業』を観たのは、高校生の時の「ゴールデン洋画劇場」でした。1967年製作の映画ですから、当然リアルタイムでは観ていませんし、子どもの頃に観ても理解できる内容ではなかったと思います。勿論、その時にもなんでクライマックスでキャサリン・ロスがダスティン・ホフマンの方へ走ってしまうのか、無表情でバスに揺られるラストシーンの意味も分からず、映画そのものの印象は「?」という感じでした。しかし、冒頭のシーンから流れる「サイモン&ガーファンクル」の音楽に完全に魅了されました。

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それまで洋楽など一切興味もありませんでしたし、その後もほとんど洋楽を聴くこともありませんでしたが、この映画に使われた「サイモン&ガーファンクル」の歌だけは別です。オープニングの『サウンド・オブ・サイレンス』や『ミセス・ロビンソン』、『 4月になれば彼女は』そして一番大好きな『スカボローフェア/詠唱』。私が今更言うのははばかれますがどれもが名曲ばかりで、映画を観たというより、音楽を聴いたという体験として、深く私の心に刻まれました。以前、携帯の着信音に『スカボローフェア』を入れていましたが、静か過ぎて着信音の機能を果たせず断念しました・・・。

その後、もう何十回観たかも覚えてもいないほど、ビデオやDVDで何度も何度も繰り返し観ました。大人になるにつれ、いろいろな事も分かるようになりました。若い頃はダスティン・ホフマンの方に感情移入していたので、アン・バンクラフト(キャサリン・ロスの母親役で、ダスティン・ホフマンを誘惑する)が憎たらしくてたまりませんでした。その後成長するにつれ見方も変わってきました。まさに主人公と同世代の大学時代は、とてもこんな非常識なまね(式場から花嫁を強奪する!)出来ないと、その破天荒さが鼻についたし、子どもが生まれ親の立場になると、その非常識さと娘の真の幸せを天秤にかけたりと・・・映画は観る時代や世代、自分の置かれた状況でどんどん変わって感じるから面白いです。

映画『卒業』では、結婚式はとんでもないことになりましたが、そうはならないよう新郎新婦の晴れやかな門出に花を添える『丸い森・ブライダル』(仮称)をいよいよ正式に販売いたします。価格など詳細は今週末にホームページにアップします。少しずつ加工していたのですが、ある程度ストックがなければ急ぎの注文の対応が出来なくなるので先延ばしにしていました。こんな感じにいろいろな種類が出来上がって来ています。結構種類も増えました!あくまでも結婚式にも使っていただきたい、というだけことで用途は限定されているわけではありませんので念のため!

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詳しくはこのホームページの【商品紹介】のコーナーをご覧になってください。まだ今日はアップしていません。週末に整理してアップします(する予定です!・・・多分すると思います)。




今日のかけら・♯011【山桜/ヤマザクラ】バラ科・広葉樹・愛媛産

昨日テレビで読売テレビ制作のドラマ『さくら道』を観ました。岐阜県の荘川桜が舞台です。以前に『適材適所』でも書きましたが、数年前に実際にこの荘川桜を見に行きました。その場所に、不可能といわれた「400年生の荘川桜」の移植に尽力した電源開発㈱の高橋総裁が語った言葉が石碑に刻まれていました。その言葉は、其のとき以来、「巨きな木」に接する私の考え方の骨格となりました。進歩の名のもとに、古き姿は次第に失われていく。だが、人力で救えるかぎりのものは、なんとかして残していきたい。古きものは古きがゆえに尊いのだから。」

ダムを作ろうという会社のトップの言葉だとは思えません。昔の方は本当に気概と哲学があったのだと思います。特に「古きものは古きがゆえに尊い」というくだりに感銘を受け、自分なりに「(木も)巨きものは巨きがゆえに尊い」とアレンジして、その後の巨木に対する畏敬と感謝の念の指針とさせていただいています。そもそもこの「400年生の荘川桜」の移植話は有名で、本や雑誌にも取り上げられ映画にもなっています。私は、中村儀朋著「さくら道」(風媒社)を読んでいて、是非一度直接「400年生の荘川桜」を見てみたいものだと思っていました。桜の季節ではありませんでしたので、ドラマのような桜吹雪という訳にはいきませんでしたが、それは堂々として太古の昔からそこに鎮座していたかのような風格と威厳がありました。仕事柄、大きな木を見ると「これで座卓が何枚取れる」とか野暮な事を考えてしまいがちですが、この木はとてもそんな気分にはなれませんでした。「材料」などと考えることが物凄く粗野で不遜に思えます。

ドラマでも言っていましたが、桜の木はとても「力」のある木です。それは、強度運云々ではなく「霊的」というか、人を惹きつけてやまない魔力のような力があります。部屋に桜のテーブルをひとつ置いただけでも、全ての雰囲気を持って行ってしまうくらい「木力(きぢから)」とでもいうべきオーラを発する木です。それゆえに、あまり考えなしに使うと全体のイメージを壊しかねません。赤身の中身に、緑や黒の淡い縞の入った山桜の美しさはいつまで付き合っても飽きることがなく材としても別格です。

ドラマの中でもこういうセリフがありました。「長い時間かかって分かることもある。何に意味があって何に意味がないかなど神様にしか分からない。」、「世の中にはいい事を言う奴もくだらない事をいう奴もいる。いい事だけ受け入れて後は聞き流してしまえ」正確ではありませんが、確かこういう内容だったと思います。どれも考えさせられる言葉です。【森のかけら】を作り始めた当時、いろいろ言われました。道楽とか遊びごととか、そんな物が売れるわけがない、ゴミを拾ってきて儲けていいななどとも言われ口惜しい思いもしました人の噂を気にせずに生きられるほど卓見していませんが、自分には信念があったので迷いはありませんでした。

ドラマの緒方直人も信念の人・佐藤良二さんを熱演していましたが、個人的には僅かな出番の大滝秀治のほとんど動かない静の演技は、笠 智衆を彷彿させる枯れの境地で素晴らしかったです。世間の評価の渦の中、長年戦った末にたどり着いた文豪の境地のようでもありました。その姿は、パッと咲いて散る桜のいさぎよさに通じるものがあるのかもしれません。日本人が愛してやまない桜は、かつての日本人そのものの生き方でもあったのだと思います。なにものにも屈しない高潔な信念のような桜の姿が、佐藤良二さんや高橋総裁の心の琴線に触れたのではないでしょうか。我々凡人には、なかなかそういう域には達せませんが、桜の季節を迎えるにあたり、ただ愛でるだけではなく桜という木についてもう少し考えてみようと思います。

 

 




★今日のかけら・#010 【蜜柑/ミカン】 ミカン・広樹・日本産(愛媛産)

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 先日、【森のかけら】などに使うための『ミカンの木』をいただくために、今治市の『三皿園』さんに行きました。数ヶ月前のイベントで、『三皿園』の越智章太郎社長と出会い、お話をさせていただきました。今、弊社がお世話になっている『デザイン活用売れるものづくり支援事業』は、今年度5社が採択を受けていますが、『三皿園』さんもその1社です。採択社の名前を知っていたので、イベントの時に『三皿園』さんの名前を見つけ、一方的に話しかけさせていただいたのですが、越智社長は丁寧に応対していただけました。また、三皿園さんの「有機ミカンのジュース」も試飲させていただきましたが、味が濃厚でとても美味しかったです!

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 その越智社長に、【森のかけら】の話をさせていただいたところ、『有機ミカン』の伐採した幹や枝などをいただけることになりました、ありがたい!しかも『有機ミカン』というところがなおありがたいです!【森のかけら】以外にも活用方法が広がります。それで、ミカンを、いやミカンの木をいただきに行ったということです。

こちらが『三皿園』さんの作業場。皆さん忙しそうに働かれていました。お忙しい中、ご迷惑をおかけしました・・・。

 

 

通常伐採されたミカンは山でそのまま朽ちさせることが多いと近所のミカン農家の方から聞きました。なにしろ伐りたてのミカンはとても重いのです!ミカンはほぼ100%材が均質で、全身赤身というより、全身黄身なので全身にたっぷり水分を含んでいます。なので、見かけよりは意外に重くて、小さな幹だと思ってなめていたら痛い目に会います。

前にもご近所のミカン農家の方から分けていただきましたが、急な傾斜地からミカンの幹や枝を運び出すのは大変な作業です。それが何かになればいいでしょうが、ゴミにしかならないとすればなお更重く感じるでしょう。今回もそのつもりでいたのですが、越智社長がわざわざ麓の倉庫まで運んでいただいました。結構な数の枝や幹で、さぞや重たかったのだと思うのですが、お心遣いに感謝申し上げます。

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立派なミカンの木をたっぷりいただきました。創作意欲が湧きます。画像では分かりにくいかもしれませんが、かなり黄色いです。試しに一本削ってみました。

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何度取り直しても、見た目ほどの発色が出ません・・・。上の画像の棒状の物は、ラフ材なので余計に分かりにくいかも。【円い森】は、仕上た後に植物性の塗料を塗っているので、黄色が際立っています。もう少しアップで写してみました。

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日本の木でもキハダニガキハゼノキなど黄色い木はありますが、ここまで色目が整った黄色い木はミカンしかありません。触感もツルツルしていて、触るととても気持ちいいです。ミカンの木は割れないと言われていますが、乾燥工程の状況にもよりますが、他の広葉樹に比べるとその差は歴然としています。均質に目が詰まっていることも大いに影響していると思われます。再割した端材さえもいとおしく思って、わずかな端材もなかなか捨て切れません・・・このケチ根性が災いして、端材の端材もたまるばかり!

上の画像は、以前に近所のミカン農家の方から分けていただいたミカンで作った【円い森】ですが、『三皿園』さんのミカンも目が詰まっていて、最高の素材です。越智社長のご好意に報いるためにも、立派な【森のかけら】に仕上てみせます!越智社長、『三皿園』の皆さん、本当にありがとうございました!




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