森のかけら | 大五木材


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自分で料理を作ったりすることが少ないのと、ましてやその写真を撮ってSNSにアップしようという気も無いので、料理が乗った時に料理が映える木の色まで考えが及びませんでした。というか、それよりも直接的な木の特性や質感などの方を重要だという頭になっていました。やはり餅は餅屋。作るひと、広める人(売る人)は車の両輪。今回このまな板はアイデアを提案していただいた感度の高い女子チームのお店で販売していただくことになりました。とりあえずどうにか納期ギリギリで20数枚完成。

道後公園前に店を構えられる生活雑貨のお店BRIDGEさんに出来上がったまな板を届けに伺いましたが、置かれているひとつひとつにセンスの良さを感じます。つい材木屋という自分の職業を意識しすぎて、木の存在感を押し付けすぎているなあ~、商品が重たくなりすぎているなあ~と反省(だからといって方向転換する気もサラサラないのですが)。店内を見回すと、まな板にロゴや過剰な細工も要らないと言われた気持ちがよく分かります。

三重で開催された『えひめのあるうれしい日』のイベントにも持って行っていただいたのですが、その後も評判が良くて結構な勢いで売れているとの事。丸くてシンプルな無垢のまな板が欲しい人が多いという、店主の大塚加奈子さん㊨の眼力もさることながら、圧倒的な『伝える力』に感服。ご来店されるお客さんが加奈子さんのセレクトする商品に惚れているファンの方なので、この人が薦めるモノであればというカリスマ力に拠るところ大。ウチでは到底こんなに売ることはできません。

作り手と売り手を分けて正解でした。この商品に関しては、下手に材木屋のくどくて重たい講釈がない方がスマートでいいのだと思います。そして販売していただく、もうひとりのカリスマが、四国中央市の四国のおいしいもののセレクトショップ・まなべ商店真鍋久美さん。この二人の女傑に丸いまな板の運命を託します。ご興味のある方はいらっしゃいましたら、上記2店のいずれかにお問い合わせ下さい。

イチョウの匂いについては自分でも気になっていたので、事務所と自宅でも試しに使ってみました(加工中に節の出てしまったB品を使用)。最初こそイチョウ独特に強烈な匂いが鼻についたものの、数回使うとかなり匂いも軽減。イチョウのまな板はオスにするべし!という業界の暗黙の戒律に盲目的に縛られていたのかも・・・。かつて、戦場のメリークリスマスを撮るずっと昔の大島渚は言いました。報もよかろう。しかし、生の体験は強い語るに落ちるなかれ、材木屋(自戒の念を込めて)。




イチョウは成長が早いことから大木になり、板材としても大きな材が比較的容易に入手可能な木のひとつです。まな板の大量受注を狙ってというわけではありませんでしたが、たまたま値段が手頃でよく乾燥したイチョウの大盤が結構ありまして、今回300㎜サイズのまな板を木取りするにも手を焼くことがありませんでした。板になると材質からオスメスを見分けることは困難で、私はもっぱらその匂いで判断しているのですが、葉(端)節の多さも見分けのポイント。

どこまで科学的根拠があるのか分かりませんが、木材業界では葉節の多いイチョウはメスと言われています。小さな黒い点のように見えるのが葉節ですが、節の赤ちゃんのようなもので、イチョウでは特に多く見られます。これがいずれ大きくなって枝になるのだが、メスは実をつけようと沢山の枝を延ばすので、葉節が多いのはメスだ、と業界の先輩方からは教わってきたので、盲信しています。まあ匂いの方を判断基準とはしているものの、こちらも参考にしています。

実際は根拠の無いことなのかもしれませんが、先輩たちが口伝で語りついでいるものって、何かしらの根拠はあるはずなのでまんざら見当違いでもないとは思うのです。葉節があったとしても使うのには支障は無いのですが、やはり見た目のこともあるので、極力葉節を外した木取りをしているのですが、どうしても多少は絡んでしまいます。それも木の個性ですので全面的に否定はしません。それでこんな感じに、耳付きの板からこんな丸いまな板が出来上がりました。

今回はイチョウホオの種類としたので、ホオも作りました。残念ながらホオの方は作業工程の写真を撮り忘れたので完成品のみですが、写真だとかなり青く映ってしまい驚かれたりすることがあるのですが、実物はここまで青くはありません。匂いについては乾燥するとほぼ無臭なのですが、調理後にまな板に完成した料理を乗せて、インスタグラムなどにアップするため撮影するような方にとっては、青っぽく映ってしまうホオの色目が少し気になるところだとか・・・。続く




以前にご紹介した『おとなの部活動』のステージⅡ『えひめのあるうれしい日』で、弊社が作らせていただいたコラボ商品を少しずつ紹介させていただきます。それぞれの道のプロフェッショナルがおのおのの視点で、作って欲しいもの、作りたいもの、作れるもの、売れるものについて話し合った結果いくつかのコラボ商品が開発されました。今回から、作り手に売り手が加わったことで、実務的な販売の話まで見えてきたので、作る方にもおのずと力が入ります。

相性のよさそうな素材や面白そうな組み合わせが、縦横無尽に繋がっていくのですが、素材だけでなく人間の掛け合わせも魅力。現場の先端の人間同士の話し合いなので、とにかく話が早い!そこはもっとこうすれば、こんなやり方もあるとか、具体的な提案が五月雨式に降り注ぎ着地点が決まると、その後は信じられない速さで話がまとまっていきます。弊社もいくつかの商品を開発するようになったのですが、その1つがまな板で、完成品がこちら。

何の変哲も無い、ただの『丸いまな板』。最初にその話を聞いたとき、そんなありふれたシンプルなものを今更・・・という感覚でしたが、よくよく聞いてみれば、丸いまな板って案外無いらしく、あったとしても余計なロゴが入っていたり、過剰な細工が施されていたりと、ただ丸いだけでロゴも何もないお手頃のまな板って欲しくても手に入らないとの事。これが私がどこかから仕入れた情報なら眉唾ものですがセンスのよい商品を扱われる方々の意見なので間違いなしっ!

という事で、丸いだけのシンプルな無印のまな板を作ることになったのですが、まな板といえば素材はやはりイチョウホオヤナギの御三家。ただし希望のサイズが、直径300㎜で、厚み30㎜という事だったので、手持ちのヤナギでは小さ過ぎるため、今回はイチョウとホオに絞り込みました。イチョウに関しては匂いの強くないオスの木を使うのが基本なのですが、匂いも個性だし、洗って使うので匂いもいずれ揮発するだろうからとの理解もいただき、メスの木で作りました。続く・・・

 




時代が変わればこうも評価が変わるのかと思わせるものの1つに『エイジング材』があります。そんな風に呼ぶと格好良く思われるかもしれませんが、要は経年変化で表面が白銀色になったもの(弊社ではあえてその変化を、ロマンスグレーになったと呼んでいますが)。医療や化粧品の分野では、「アンチエイジング」という言葉がよく使われますが、その場合は加齢に対するアンチテーゼとして、いつまでも若々しく元気でいたいという「抗老化」や「抗加齢」の意味としてのもの。

 

 

つまりエイジングがネガティブなものとして捉えられているわけですが、木材についてはこのエイジング材がもてはやされる傾向にあります。ひと口にエイジング材といってもその定義は様々で、実際に店舗や住宅等で長い間使用されて、傷や汚れなど自然に風合いの生まれた古材であったり、新しい材を故意に傷つけたり汚したり着色したりして風化させたように見せたものであったりですが、いずれにしても経年変化で独特の味わいが刻み込まれた木材という事だと思います。

 

 

店舗だけでなく個人の住宅でもそういった材を使用したいという要望は年々増えていて、そういう問い合わせも急増しています。以前にこのブログでも紹介しましたが、ペンキで着色したり、釘の跡をつけたりして、時間を逆行した商品を作ったりもしました。本当はそういう風合いは自分で育てていってこそ価値のあるものだとは思っているのですが、こういう形で木材に人気が出るなんて昔は想像もできなかった事。

 

 

 

昔はよく、材木屋は少しぐらい材を腐らせるぐらいで丁度いいなだなんて言われたものですが(恐らくそれぐらい材も豊富に持った懐の深い商売をしろという意味だったと思うのですが)、今や材を腐らせるなんてもってのほか。在庫管理の脇の甘さを露呈するようなもの。なので意識的にリアル・ロマンスグレーな木を作る意思はないものの、さまざまなおとなの事情で不本意ながらエイジング材が生まれてしまうこともあります。こちらのホワイトセラヤのエイジング材は30年物

 

 

私が漬けた材ではなくて、その前の主人が漬けたものを私が引き継いだというものです。その当時のことですから、決してエイジング材を作るためにこうなったわけではないと思うのですが、結果的に忘れ去られてロマンスグレーになり、部分的には更に事態が進行して一部は腐食が始まっているところもあるという、かなり通好みの材に仕上がっています。本来、劣化によって価値の下がるモノが価値を生むという新たな形態だからこそ、その出口の高い完成度が求められるのだと思います




森のかけら】をはじめ端材を利用したニッチな商品を作っていると、「それって売れているのの?儲かるの?」などと、他人の懐具合が気になって気になって仕方がないという人がいらっしゃいますが、どういう返事を待っているのでしょうか。「売れていない、儲かっていない」と答えれば、「そらみたことか、そんな邪道な仕事で儲かってたまるか」と変革しないことを正当化するための悪しき見本と満足され、「売れている」と答えれば奇特な人もいるとシニカルに笑われる。

 

 

なまじ途中で放り出してしまうから、結果ばかりが独り歩きして興味本位の目で見られてしまうわけで、やり続ければいいのです。まだまだこれからも売り続けるんだから、今は一時的に売れてなくてもいずれ売れる、だからやらなければよかったなんてことはないのだというのが私のスタンス。自分で決断してやり始めたことであれば、ひとにどう言われようとも、信念を貫く通すべきだと考えています。そうして続けていればやがて理解してくれる人、応援してくれる人も増えてくるはずと信じて。

 

 

原価率の極端に低い端材を使っているからこそ、投資負担が少なく、腰を据えて長期的スパンで販売活動ができるという事情もあります。最近あまりこのブログでも取り上げていなかった『モザイクボード』もそんな商品のひとつです。作り始めた当時、名のある設計士さんからは「絶対こんなモノは売れない!」とまで断言されましたが、何がどう間違ったのか分かりませんが、お陰様で予言に反してリピート注文していただくモザイクボードマニアも出現しておりありがたい限り。

 

 

一時期不足していた端材ですが、それもようやく解消してきましたが、現在別の商品の製作に追われていて、しばらくはモザイクボードの製造ができない状況にあります。とはいえ、2m、3mそれぞれ30枚程度の在庫がありますので、しばらくは欠品の心配もなかろうかと思います。それが足りなくなる~!なんて状況が本来は望ましいところではありますが、急激に売れるとその反動で急激に売れなくなることもあるので、ボチボチ程度に動いてもらいたいのが本音なのです。続く・・・




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