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もはやすっかり前の野球の試合の事を書くというのもなんだか野暮な話ではありますが、あまりに明石・大阪の行程が濃密過ぎてすっかりアップの時期を逃してしまい今になってしまいました。結論から言いますとご承知のように、阪神はメッセンジャーと横浜は井納との投げ合いで始まった試合は、福留のビデオの再現フィルムのような歓喜の2打席連続ホームラン、ゴメスのとどめの一撃などがあって3時間を越える熱戦を5対3というスコアで競り勝ち5連勝と甲子園球場8連勝となり、我ら材木屋虎党の溜飲を大いに下げたのでした。
かなりバックスクリーン近くの外野席で明夫君の呼びかけに集まっていただいた関西材木屋虎党の皆さんと一球一打に狂喜乱舞。ゲームの合間合間で、昨今の木の仕事の事やら互いの地域の情報やらを話しましたが、こういう雰囲気の中ですから深刻な話になろうはずもありません。昨今深刻な面持ちで語られる木材産業の未来像ですが、いっそこういう場所で話した方が前向きな気持ちになるのでは(当然阪神が快勝するという前提ですが・・・)。新商品のアイデアなども独りで悩んでいても煮詰まるばかり。木の話、仕事の話、真剣に話すのはいいのですが深刻になってはいけません。
ちょうど今年は阪神タイガースは球団創立80周年ということで、甲子園球場での試合では様々なサプライズインベントが用意されていて、当日はレジェンズデー第三弾という事で、平成のⅤ戦士の広げるとポスターになるプログラムのプレゼントがあって、それはそれで非常に嬉しかったものの、昭和からのファンとしてはレジェンドと言えば、大学1年生の時に居酒屋で観たバース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発でも平成の日本一でもなく、小学生の頃白黒テレビで観ていた江夏と田淵の縦縞の雄姿。私の生まれた翌年、江夏は阪神に入団。
広島カープが球団創立26年目にして初優勝を遂げ、読売ジャイアンツが球団創立以来初の最下位に沈んだ1975年のストーブリーグで、江本孟紀、島野育夫、池内豊らとの複数の交換トレードで南海ホークスに放出され、虎党の涙を誘う事になります。なので私にとってはタイガースのレジェンドと言えば「江夏-田淵の黄金バッテリー」なのです。8月の後半のヤクルト3連戦では、その黄金バッテリーのプログラムとピンバッチが配布予定となっているので、本当はそちらの方が欲しかったのです。買えないものほど欲しくなるコレクターの哀しき本能。
これは世紀のトレードの翌年に購入したキーホルダー、かれこれ40年も前の宝物です。滅多に甲子園に行くことのできない地方の阪神ファンとしては、ついつい必要以上にグッズを購入してしまうのですが、木の商品を作る際に、いつも頭に浮かべるのは自分がついつい余計に買ってしまう阪神グッズの事。自分が特別なコレクターだけなのかもしれませんが、意味もなく無性に手元に置いておきたくなる気持ちに火をつけることが出来れば無敵。木のファンを増やしていく我々材木屋が目指す到達点こそが、負けても負けても無償の愛で応援し続ける阪神ファンの姿。
社歴が長いという事は伊達ではないという事を明夫君を見ていて感じます。100年も続く日本でも希少な名栗専門店の矜持というものが、話をしているときにちょいちょいと言葉の端々に現れます。ベンチャービジネスなどでどんなに大きな会社に急成長しようとも、社歴だけはどの会社にも平等で毎年1年ずつしか刻めません。材木屋はその仕事の性質からも、100年を超える企業も珍しくない長寿産業ではありますが、だからといっていつまでもかつて栄華を誇ったビジネススタイルが通用するほど甘い世界ではありません。
特に住宅着工数が劇的に減少した昨今、木材産業の危機が悲壮感を帯びて声高に叫ばれるようになりましたが、そんな事は日本が少子化を迎えたずっと前から分かり切っていたこと。家が建たなくなれば、それに伴って住宅部材の供給が減っていくのは当然の流れ。これからも消費税増税の反動のような多少のプチバブルはあるかもしれませんが、大きな視点で見れば住宅着工数は減少の一途でしょう。そういう環境で材木屋はどうやって生き残っていくか、特に我々のような零細業者には行政の庇護などあり得ません。
自分の道は自分で切り拓いていくしかないのです。それを後々ひとは先見の明があったとか、時流にうまく乗ったとか言いますが、当事者は今を生きていくのに必死でそんな高邁な理念は後付けの事が多いもの。自分が気に入った材を仕入れて、自分が信じるものを作り、気に入っていただける人に売る、言葉でいえばシンプルですが、決して後悔せずにひたすら一心不乱にやり続けられる道としてはこれしかないというのがこのスタイル。職種にこそ多少の違いはあれど、大きな意味で明夫君とは向うベクトルが同じだと感じています。
橘商店でも名栗加工だけにとどまらず現在は、木にまつわる様々な仕事に積極的に取り組まれています。本来卸売行である橘商店が、一般の方や木工作家さんに直接木を販売するとして昨年から始めた『広葉樹フェア』や、木青連の仲間などを中心に内外の材の仲介などを行っているのもそのひとつ。取り組みの規模や効果の大小ばかり考えている人はいちまでたっても机上の空論を繰り返すばかりで足を踏み出せません。踏み出す一歩は小さくとも、自分の仕事に誇りを持って日々を楽しんでいるような材木屋と仕事の出来る喜び、これ至福なり。
明石で思い出深い一日を過ごした翌日は、朝から大阪に移動。県外の出張がある際は、なるべくいろいろ絡めて当地の人と会ったり、会社を訪問させていただくように心がけています。今回の明石出張では、以前かずっと機会をうかがっていた名栗専門店・橘商店さんをはじめいくつかの大阪周辺の会社に狙いをつけていました。しかしちょうど第四土曜日という事も重なって会社がお休みだったり、関西の熱き材木フェチたちは旭川や金沢に出張中(みんな全国的な規模で動いています。いよいよ木ファチたちにも光が当たる時代が到来したのか~?!)。
そこで今回は橘商店1本に絞ることにしました。橘商店の代表である橘明夫君は、フットワークの身軽さは業界では有名で、現役の日本木青連の会員という事もあって全国的なネットワークも充実していて、電話一本で木と人をつなげる「ひとり総合商社」。ネット社会の中でそういうスタイルを取る材木屋は多いものの、明夫くんの場合は実際に当地まで自ら足を運んでしっかりした人間関係を構築しているのが立派。実際に会ってみれば分かりますが、関西人独特の人懐っこさで、まあ憎まれない存在。出会って数年ですがディープな付き合いをしております。
その明夫くんの工場があるのは、大阪市西区立売堀。前からこの地名が読めなくて何度明夫くんに訊いていました。「立売り堀=いたちぼり」です。今回の訪問ついでに地名の由来を予習したところ、現在は金属・機械工具の町として有名な当地ですが、かつては木材と非常に結びつきが深い場所だったということです。元和年間(1615~1624年)に、幕府の許可を得た土佐藩がこの地で材木市場を開き、材木の立て売りを行ったのが起源と言われています。元和元年といえば大阪夏の陣が起こった年という事ですから相当に歴史と由緒ある地名という事でした。
立て売りというのは、文字通り客に見えやすいように材を立て掛けて商いをしていたことだと思います。当時は材木を船で運ぶのが主流でしたので、旧淀川から引いた堀が流通の要でした。そこから立売堀の漢字がついたようですが、それをなぜ「いたちぼり」と呼ぶようになったかというと、大阪冬の陣・夏の陣の時に参戦していた伊達政宗がこの地に陣を敷いたことから、「伊達堀(だてほり)」と呼ばれるようになり、その後伊達が「いたち」に変化していったという事です。よくよく周囲を見渡せば、当時の名残の地名があちこちに残っていました。
明石住建設さんの北舞子のモデルハウス(設計はLaboさん)には『適材適所に使われた天然木・13の木の物語』として、各所に様々な木が使われております。それは1階にとどまらず2階も同様。昨日、階段の手摺に滑りにくい『キハダ』を使われている事をご紹介しましたが、笠木には『カツラ』の木が使われています。カツラには『トチは絹糸の肌触り、カツラは木綿の肌触り』という言葉があるように、触感は少しザラリとしていますがそれが笠木に使われる理由。
また、中国ではカツラは非常に神聖なものとされ、月にあるとされるカツラの巨木によって月の満ち欠けが左右されている、いやそれどころか月そのものがカツラの木で出来ているとも言われるほどにお月様との結びつきも強く、カツラの木は不思議な魔力があると信じられてきました。そんなカツラには魔除け的な意味合いもある事から、昔から家のどこかに使う事で家の安全を願う慣習もあったほどです。まだまだ続きます、2階の洗面台には『赤タブ』の耳付き板が使われています。
『赤タブ』というのはタブノキの中でもとりわけ色合いが濃い(赤身の強い)木を指して言う言葉です。弊社では九州は宮崎の方から仕入れさせていただいていますが、比較的西日本の方のタブが色合いが濃いようです。タブノキは、『今日のかけら』のかなり初期で取り上げた木なのですが、現場での実際の使用例が少なくて、このブログでも取り上げるのはそれ以来で非常に懐かしいような気分になります。洗面台だけでなく傍らにあるタオル掛けにもしっかり赤タブの姿が!
「イヌグス」などとも呼ばれ、クスノキの仲間でありながらクスノキよりも劣ると見下されたりもしますが、もともとは精霊の宿る巨木として『霊(タマ)の木』と呼ばれていて、それが転訛してタブノキになったというのが語源だとされていますので、下に見るなどとはとんでもない事!毎朝の洗顔の際にも霊験新たかな赤タブがあなたを見守ってくれるでしょう。そんな思いが込められています。その赤タブの手洗いの奥の壁面に使われているのは、『オニグルミ』。古代ギリシャやローマでは、長寿・豊饒・多産の象徴として使われてきました。そのクルミをパネリングに加工していますが、こちらについては弊社から納品させていただきました。たまたま幅の広い材があったので柾目で揃える事が出来ましたので、クルミ独特のしなやかで上品な雰囲気が出たのではないかと思っています。
そして2階の書斎の前に居並んだ沢山の木製の箱。実はこれはすべて『キリ』で出来ていまして、可動式の収納箱となっています。おとなが両手で抱えるほどの結構な大きさがあるのですが、日本最軽量の木・キリで作られた箱ですので、持ち上げてみれば驚くほどに軽量!大きさからイメージする重量感を裏切る小さな驚きですが、小さな子どもでも動かすことが出来るようにとの配慮が込められています。壁一面がこのキリの収納箱が入るスペースになっています。収納箱としてだけでなく、しっかりと作ってありますので並べればそのままベンチにもなってキリの温もりを肌で感じる事も出来るのです。このキリの収納箱はなかなかの優れもので、ちょっと弊社でも真似をさせていただきたいほど。適材適所の理由を探るだけでも楽しくなってしまうモデルハウスなのです。まだ続きます!
まだまだモデルハウスのこだわりは沢山あって、こちらは階段ですがその段板は国産の『モミ』!あえて国産と書いたのは、決して日本の森林において珍しい存在ではないモミですが、私の知る限りその利活用はあまり多くないように感じたからです。私自身も5年ほど前に地元で出材された大きなモミの原木を仕入れてから日常的に国産のモミを使うようになりましたが、それまでモミといえば北米産のモミ(ファー)がほとんどでした。実際に使ってみれば経年変化でその差は歴然。
北米産のファーは時間が経つとやや褐色にくすんで全体がとぼけた印象になります。国産のモミの場合は、時間が経つとやや飴色がかった色合いになります(勿論個体差や産地による違いはありますが)。これはどちらが優れているかどうかというよりもそれぞれの木の特徴です。ただしモミって見た目の印象からは想像できないほどに暴れやすいやんちゃな木でもあって、色白の柔らかそうな木に見えるのに乾いてくるにつれてねじれや暴れが出るのですが、それがまた半端ない!
あまりに堅いので、釘を打つのにもキリで揉(も)んで下穴を開けないといけないから、揉み →モミ→樅に転訛したという伝承もなるほどと頷かざるを得ないほどに力強く豪快に(?)暴れまくります。渡辺社長からも、この階段もかなり暴れて取り換えなどして大変苦労したというお話を伺いました。そんな大変なら使わなければいいじゃないかと思われるかもしれませんが、そんな木だからこそ俺が使ってやれねばという木フェチならではのアンビバレントな複雑な思い(笑)。
一番下は収納になっています。蹴込み部分には照明が仕込んであって、夜になると足元がはっきり確認出来て酔っぱらって帰って来たお父さんにも優しい設計。これは設計者のリアルな体験が活かされているのかも・・・。このモミの階段を登ると二階へ、おっとその前に階段横の手摺や笠木にも気になる木の姿が!手摺には生薬などにも使われる『キハダ』。環孔材ですので肌触りがやや粗くザラリとした触感ですが、その特徴を利用して手摺に使われていて、ひとつひとつに理由とこだわりがあります。
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