森のかけら | 大五木材


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画像 023正月に実家に帰省していた時に、各地で道路工事の現場を見かけました。世間では、政権交代で事業仕分けによる公共事業の廃止や見直しの事が話題となって、全ての公共工事が悪のようなイメージを与えてしまっているようですが、必要な公共事業は当然あります。最近のテレビ報道は、ニュースでありながらもショー的要素を取り入れすぎで、かなり扇情的な傾向があると思います。また、「某新聞によれば・・・」とか「某週刊誌によれば・・・」とか、本来であれば競合であるべき他メディアの取材記事を堂々と転用する厚顔無恥ぶりはいかがなものでしょうか。必要以上に「悪」を作り上げる事で、対立構造を煽り、ただ安易に批判をするだけで、自らの主張のない日和見主義的な報道には辟易します。もっと地に足のついた「社会の木鐸(ぼくたく)」たる報道を望みたいです。もはやその矜持(きょうじ)もないのかもしれませんが・・・。

 

画像 024少し話が横道に反れましたが、年度末に向けていろいろと実行中の現場が多いようです。公共工事の在りかた云々については回を改めますが、大雨などの異常気象の影響で地盤が緩み、山林災害が多発しています。公共工事が減った分、災害工事が増えて土木の仕事が増えるというのは皮肉な事です・。災害の原因はいろいろな理由が絡み合っていますが、山の木の根が浅いという事も大規模な山林災害の一因でしょう。ちょうど崖を擁壁工事していましたが、杉・桧・松などの生えている山を大きく削って、伐採した切り株の根が大きく露出していました。

画像 026杉・桧などの針葉樹は根が下ではなく、横に伸びる性質があるので根が浅く、大雨で地盤が緩んだ時に土砂崩れを起しやすいと言われますが、実際に横に広がっているのが分かります。岩の多い崖なので根が岩を掴んで、崖っぷちにへばりつくように生えています。しかもこの木々が手入れの出来にくい場所にある上、日の当たらない日陰で成長も悪く、朽ちかけた老木も混在していて非常に危険です。森にあれば『木=建築・土木素材』と思われがちですが、全ての木がそうなる訳ではありません。林業も効率を無視できませんから、効率性の低い物、経済価値の低い物は製材の対象外となります。

画像 025しかし、だからといって価値がないかといえばそうではなく、例えば防風林保安林という役目を負っている物もあります。素材という価値観だけでは計れない存在価値というべきものもあり、今まで多くの土砂災害から我々を守ってきてくれました。しかしその木々さえも、耐え切れないほどのゲリラ豪雨などの異常気象により、各地で山が崩れています。今までの無言の奮闘を忘れ、針葉樹の性質を無視して過剰に植えた過去の林業の批判を繰り返すのは、過酷な条件で耐え忍んだ木々に申し訳ないのではないでしょうか。批判や反省は大事ですが、綺麗ごとばかりでは山の問題は解決できません。身近な山に多くの木が生えていても、実際に「素材」として我々の身近な所に届く木は限られています。『森を守る』という言葉の対象となる木と、この画像たちの木とは別のものでしょうか。複雑な思いで崖にしがみつく木々を見上げました。




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