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昨日の『クヌギ』の話の続きですが、原木を小割りするのはチェーンソーでミカン割りしてから、帯鋸で徐々に小さくしていきます。丸い木を四角にしていくわけですから、その工程で右の画像のような三角形の半端な材が出てきます。この辺りでは、木皮(こわ)材と呼んだりしますが、【森のかけら】用にギリギリまで木取りしているので、残った『こわ』は本当にペラペラの薄い物になります。通常焼却されるゴミ扱いでしょうが、根が信じられないくらいに貧乏性な私は。これも何かに使えないかと捨てずに取って置いたら、すっかり自然に乾きました。
しかし薄い三角の変形ですから、へこへこになってねじれたり反ったり、更に外皮の部分は虫害の被害を受けやすいので、ピンホールもそこかしこに開いています。それでも短くカットして使える用途がありそうな気がして(!)どうしても捨てる気にはなれないのですが、さすがに溜まりに溜まるとどうしようもないので、泣く泣く最終仕分けをしました。「こんな物が使えるか!」と思われるかもしれませんが、サイズ云々ではなく、『愛媛県産の乾燥したクヌギ』という履歴こそがこの『こわ材』の価値なのです。
そんな事を考えるのは私ぐらいかもしれませんが、履歴ありきで端材を探すと案外見当たらないものですし、それなりの価格になってしまうと思うのです。広葉樹の場合、本当に端材まで使える可能性が潜んでいます。その用途は建築や家具のマテリアルだけではありませんでした。井桁組みした材をめくっていくと、中からはこんな物が!そうです、鳩の巣です。以前から雛の声が聞こえていたので勘付いていたのですが、近づくと警戒するので巣立つまでそっとしておきました。雛が巣立った事を確認してからの作業です。
空気の通風をよくして乾燥を促すために透かしていた隙間を利用した巧みな親鳥の作品です。上述の『こわ材』達が、この巣の上部に重なり合い、屋根の役割を果たしていました。びっしりと鳩の糞も付けられましたが、ひと削り加工すれば綺麗になります。こちらが意図したものではなく偶然の産物であり、急いで使わなければならない材であれば、巣立ちを待てなかったかもしれませんが、たまたまそこに『クヌギ』が在ったのではなく、すべての要件をクリアして安心して子育てが出来る場所を選んで巣が作られたのかもしれません。そんな気がして仕方がありません。だからといって、この『こわ材』の価値が上がるわけでもありませんが、人ではないモノの命を育んだ材です。やっぱり捨ててしまうには可愛そうな気がします。もうちょっと置いとこうかなあ。
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