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★今日のかけら・#085 【楡/ニレ】 ニレ科ニレ属・広葉樹・四国産
『楡(ニレ)』の木の説明をするのに、英語名の『エルム』から「ケネディ暗殺事件」の現場となった「エルムストリート」を引き合いに出す材木屋なんてきっと他にいないんだろうなあと、改めて己の立ち位置を確認して悦に入っております。しかし、木の話」を「木の世界」だけに留めてしまうなんて、なんてモッタイナイ!頂にたどり着くのに色々なアプローチがあっていんだと思うのです。料理方法(加工)次第でどのようにも形を変える「したたかさ」こそが他の資材とは袂を分ける木の最大の特徴でもあります。
さてそのニレですが、大別すると春に開花するハルニレ(春楡)と、9月頃開花し、11月頃に実がつくアキニレ(秋楡)に分けられます。秋楡の葉っぱは春楡より小さくてブ厚いようですが、一般的には「ニレ」というと、「ハルニレ」の事を指すようです。我々が扱う「木材」としても「ニレ」としてひとくくりにされて流通しています。それが「ハルニレ」なのか「アキニレ」なのか考えたりした事もありませんでした。「材」となってからその違いを識別することは困難なのではないでしょうか。
ちなみに【森のかけら】に加工しているのは、身元を確認した「ハルニレ」です。ニレは、非常に重厚な木で、その強度を生かして車軸にも使われたりするので、別名「石欅(いしげやき)」とか「河原欅(かわらげやき)」とも呼ばれます。ただ地域によっては、欅の中でも非常に硬い材質のものを「石のように硬い欅」として「石欅」と表現する地域もあるようです。実はそれもニレがいまひとつ知名度が低く、認識が薄い事に起因しているのかもしれないと思うのです。
木目のくっきりした日本の広葉樹の代表格と言えば、ナラ、タモ、クリあたりになると思います。戦後に小学校の学童机を製作する際に、ナラ、タモ、ブナの樹種が採用されたのですが、どういう理由かニレは選考から漏れたために、これらの広葉樹の中で用途のはっきり定義されないニレだけが著しく安い価格で取引されることとなり、その後もマイナーな評価を脱しきれないという話を聞いた事があります。それだけが原因というわけではないでしょうが妙に説得力のある話だと思います。更に明日へ続く。
久し振りの『今日のかけら』です。本日俎上に上がるのは、『楡(ニレ)』。英語で言うと『エルム(Elm)』ですが、私が木の仕事をする前にこの名を意識するようになったのは、アメリカ史における汚点『ケネディ暗殺事件』が実行されてしまった場所「エルム・ストリート」が初めて。もともとこの種のミステリーは大好物で、中・高校生の頃から盛んにその手の雑誌を読み漁りました。UFO、アトランティス大陸、古代の巨大生物、UMA、陰謀、謀略・・・田舎住まいの少年の心は世界の謎でときめいておりました。
なかでもアメリカ合衆国の恥部であり最大の謎『ケネディ大統領暗殺事件』に関しては、映画『JFK』や『ザプルーター・フィルム』の最新解析などでさまざまな説が展開されていますが、個人的には後任の大統領リンドン・ジョンソン真犯人説を支持派です。中・高校生の頃(昨今のようにTVで堂々と検証されることなどあり得ませんでしたので後ろめたいような雰囲気の中、国家の陰謀を知っているのは自分だけだ的なドキドキ感で)読んだ落合信彦氏の『二〇三九年の真実―ケネディを殺った男たち』にハートを鷲掴みされました!当時はまだ米ソが冷戦状態で、謀略やスパイなどの「ハードボイルドモノ」が充分に成立する時代でした。
今となってはその立場は危ういものとなっているようですが・・・。話がどんどん「ニレの木」から遠ざかってきているように思われますがもう少々お付き合い下さい。それで当時漠然と記憶にあった『エルムストリート』の名前が次に鐘を鳴らすのは、大学生の時に観た映画『エルム街の悪夢』です。この悲惨な惨劇の夢舞台(?)となる『エルムストリート』はダラスのそこではなく、あくまで架空の街という設定ですが、誰もがあの事件をイメージするのは必然。そして三度目の覚醒が、職業としての木材としてです。
ここまで書くと「エルム」にネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、ミステリー好きで、映画好きの私としては、木を語るうえでの「たまらないサイドストーリー」でもあります。もうそれだけでエルムが好きになってしまうじゃないですか!木を知り、木を語る楽しみはこんなところにもあります。産地や学名、特徴や気乾比重を知るという直球勝負もいいですが、時にはこういうパスボール必至の変化球も楽しいのでは!しかしそれだけでは納得のいかない方向けに明日は真面目に木の話!
以前にも少しだけご紹介しましたが、現在取り組んでいる新商品の開発がいよいよ完成間近。商品の方はなんとか形が仕上がってきましたが、販売開始までにはまだ更なる山登りが待ち構えています。ひとつめの山は「何を作るか」。コンセプトを固めて、(私の場合はあくまでも)手持ちの端材を睨みながら、何が作れるかを考えていきます。同じスペックで多種類揃うというのが、弊社のオリジナル商品製作の大前提ですから、骨格が固まればモノづくりは案外スムーズに進みます。
きっちりした最終加工図面が出来てしまえば、優れた加工技術を持ったネットワークがありますので、あまり心配はありません。そうなると私の役割は、適材の端材を適量適時に揃えていく事。そしてそれを樹種ごとに識別して、『物語の魔法の調味料』を振り掛けて、デザインされたパッケージに身を包んで仕上げていく事です。この『魔法の調味料』づくりがふたつ目の山です。商品が出来上がるまでの『ものづくり』と、出来上がってからの『ものがたり』はタイヤの両輪です。さあ、もう少しの辛抱!
絶妙なバランス操作が求められるところですが、片方のタイヤの回転にもうひとつにタイヤがついていかない事もしばしば・・・。最近になってようやくハンドルがしっくりくるようになったところです。モノを作る際は「時間と効率」が求められますが、降りてくるのを待つ「ものがたり」づくりの場合は「ひらめきと勢い」が何より重要。机の前でいくら眉間に皺を寄せても、タイムリミットが迫ってきても「降りてくるのはある日突然」です。それだけにどこがゴールなのか決めるにも決断を迫られます。
いつどこで切り上げるのか?もうこれ以上いいものが出てこないのか?作っているのは【森のかけら】シリーズの1つなのですが、大小さまざまな商品を平行して進めているので、かなり「放電」が進行。さすがに今回は240全種に『ものがたり』をつけるわけではありませんが、むしろより深い『ものがたり』が必要になってきていますので、種類は少なくとも結構時間がかります。まあこうやって悩んでいるうちが楽しいところで、この作業が終わると「わが手を離れていく」ようで寂しさも生まれるのですが。
地元の公民館の新旧役員総会が開催され、1年間おつとめさせていただいた分館主事もとうとう御役御免となりました。主事の主な仕事は、公民館行事の進行や館長のお手伝いですが、その中に朝の町内放送があります。朝7時5分を目処に放送させていただくのですが、1年間で50~60回ぐらい放送の依頼があります。運動会や敬老会など開催行事の日時の連絡から、子供たちの登下校の見守りや不幸事のお知らせなどさまざまです。多い時は週に3回も4回も放送する事があります。
もともと朝6時40分前後には会社を開けていますし、自宅から会社まで歩いて数十歩の距離ですので、早朝の放送に何も問題はありません。しかし自宅からお勤め先の会社まで距離がある方にとって、この放送時間が「主事へのハードル」になることもあります。ちょうど通勤時間と重なるので仕事に支障が出るということです。この辺では、第一線を退かれた方が公民館長をつとめられ、主事は30~40代の方が つとめられるのが慣習ですが、皆さんお仕事がありそれぞれに事情があります。
ある程度の時間の拘束は仕方がないところですが、その加減はひとそれぞれ。そのバランス感覚を自分の物差しで判断していると軋轢も生じます。いろいろな世代のいろいろな職業の方が関わるところに地域活動の難しさがあります。自分の事情を押し通せば地域コミュニティは成立しなくなりますし、あまり仕事に差し支える事になってしまっても本末転倒。幸いにも私が住んでいる周辺に新居を構えられた方々は年齢的にも近く、交流もあり、地域活動に理解のある方が多いので今のところうまく回っています。
以前、平田公民館の会議室に掲げられている大平正芳元首相の揮毫『任怨分謗(にんえんぶんぼう)』について触れましたが、今宵もその言葉に身が締まります。審議員、体育部長、公民館主事とおつとめさせていただき、今年は組長を拝命いたしました。お声を掛けていただくうちが花ですから、やれる時にやれる事をやるだけです。町内放送も数ヶ月もすれば慣れてきて、依頼がなければないでなんとなく寂しくなったりして・・・どうせやる事ならば楽しまねばモッタイナイ、モッタイナイ!
今回、新ブランドの新コピーの立ち上げに寄せて早速、『小さな愛媛の森の出口』にも関心を示してもらいました。数日前から紹介させていただいている『森のしるし』の【愛媛県産木材新ブランドのしるし】です!新しく作成されたロゴマークを押させていただいたのは、当然愛媛のまじめなヒノキです。県産のヒノキの端材を丸く加工して、「障害者支援施設福祉工房 いだい清風園」で磨いていただきました。多くの人が関わることで、その存在は少しずつ広がっていきます。小さな水やりや下草刈りが大切。
今までにも『木言葉書』でもレーザーとの相性は散々試してきましたが、ヒノキは油分が多く、夏目と冬目の硬さが明確な事から決して、文字彫りと相性の良い木だと言えません。これが100年生の『木曽ヒノキ』だと全然違うのですが、他人の芝生を羨んでも仕方がありません。あくまでもここでの『出口』は、愛媛の山から出でて来たモノの「端材」です。そうなると40~50年生のモノが主流ですので、「目込み」という訳ではなく、文字を彫るには適材とは言いがたいのが現実。
ただそれは文字を彫ったり書いたりする場合の相性の場合で、建築用材としては素性もよく色艶も豊かで充分に「適材」なのですが、それぞれ「出口」には適正サイズ・適した特徴があるものです。『木言葉書』の場合は、そんな愛媛のヒノキの中でもななるべく通直で年輪の詰まったものを選んでいます。それでも、夏目冬目の差が少なく、全体的に均質な『カツラ』などに比べると、スタンプも押しにくいヒノキではありましたが、それも経験でしょうか。数をこなしているうちに次第に馴染んできました。
ブランドやロゴマークと同様に、馴染むには時間がかかるもの。今まで少しアレルギーのあった愛媛県産材への対応ですが、この『森のしるし』のような小さな小さなものがほんの少しでも、「誰かに訴える力」を持つことで、その存在にも錦の御旗がつくと思うと覆わず力も入ります。大きなライトが煌々と照る高速道路の脇のけもの道を歩み身としては、突然足元が照らされて眩しさに目もくらみそうですが、さりとて我はこの道を行く者なり。迷わずけもの道で「媛スギ、媛ヒノキ」の種を撒きましょう。
森は多くの命を育み、私たちの暮らしを支えている。
霊峰・石鎚山の清らかな水と瀬戸内のおだやかな気候は
健全で豊かな森を作り出した。
そこですくすくと育ったスギやヒノキは
たくましく凛として美しい。
生産者たちがそのスギとヒノキに真正面から向き合って
まっすぐな気持ちと技術を結集し作り上げた。
安心安全な家造りの素(もと)
すくすく まっすぐ えひめの木
★この愛媛県産木材の新ブランドのデザインは、弊社の懐刀パルスデザインさんが製作されました。
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