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話が少し脱線しましたが、アスナロという名前も曖昧さの象徴のようなところがあって、地域でそれを指し示す木が変わるのです。植物学的な分類によると、ヒノキ科アスナロ属に分類される日本特産の木で、本州の青森県以南から中国地方、四国の一部、九州までの山地に分布しているとあります。高さは20~30mにもなる常緑高木で、ヒノキに比べて、耐陰で耐湿性が強いとされています。その別名が、アテ、アスヒ、アスダロ、アテビなど。このあたりから話がややこしくなります。
そのアスナロとは別に、アスナロの変種に『ヒノキアスナロ』という北方系の木があって、こちらは青森から栃木の日光あたりまでと、佐渡から能登半島の日本海側まで分布域が広がっています。性質はアスナロに似た性質のようなのですが、この木の事を青森では俗に『青森ヒバ』と呼んでいます。北海道で「ヒバ」と呼ばれる木もこの『ヒノキアスナロ』の事だそうですが、木材関係者の間では通常「青ヒバ」とか「青森ヒバ」としか呼ばないので、オリジナル名は聞くことがありません。
そもそも木材業者の間では、正式な名前や学名など問題視されることがありませんので、気にする方もいないのですが・・・。更に変種のアスナロもあるそうで、それらすべてを包括して「ヒバ」と呼ばれるというに至っては、もはや北日本ではアスナロ=ヒバなのでしょう。文献によると、わが愛媛県はアスナロの分布域には入っていないということなのですが、稀に市場に「アスナロ」が出てくることがあります。それが果たして「本当のアスナロ」なのかどうかは不明ですが。
昔、何度かアスナロと呼ばれているその木を仕入れた事もありますが、直後に売れてしまい今となっては果たして植物学的にどう分類されるのか知るすべもありません。売れてしまいました。油っ気の少ない、淡いヒノキというぐらいの印象しか残っていません。当時はアスナロの事にそれほど興味もありませんでしたし、流通そのものが四国島内で完結していたので、県外でのアスナロの立ち位置など考える事もありませんでした。今にして思えば、置いておくんだったと後悔していますが・・・
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