森のかけら | 大五木材


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奇跡の星の植物園』の企画展示の案内板にも「徳川家斉は妾16人、子どもが53人もいて道楽を尽くしたといわれ。側近に政治を任せて趣味の世界に生きた道楽将軍として知られ」と、さんざんな書かれようで笑ってしまいましたが、続きに「しかし園芸的にこのひとの存在は重要です。(中略)フウランを富貴蘭と名付けたのも家斉。」と、あるように蘭が家斉によって厚く庇護されたことが記されています。よく銘木の事を金持ちの贅沢なんて言う人もいますが、趣味嗜好として本物を愛でる層が存在しなければ成立しないモノは世の中に沢山あって、それが贅沢か道楽なのかはそのひとの価値観

自分で稼いだ金で自分が好きなモノに金を費やすことに何の問題もありません。本物(無垢)を愛でるひとたちがいてくれてこそ成立するのが木の世界。ただし、高いモノが必ずしも良いものというわけではなくて、安いものの中にも味わいやら風情という趣を楽しめるのが「銘木」の世界だと私は考えています。そのためにもいろいろな木を知ってもらう事が大切で、その中で自分の趣味嗜好に合ったものを探してもらえばいいと思っています。そういう意味で現代にも家斉みたいなパトロンが居てくれたら嬉しいのですが、今は妬み嫉みですぐに足を引っ張る輩ばかり・・・。

現代の家斉を探すよりも、将来の家斉を育てる事の方が大切だと感じています。そういう意味での種蒔きの重要性は強く感じていて、昔ならどこの木材の展示会に行っても、木に対して一家言ある常連のお爺さんとかがいて、木に詳しくない若手の営業マンだと、それは違う、そんな事も知らんのかと叱責され、逆に解説してもらうなんて光景も珍しくありませんでした。私も若い頃はそんな人の姿を見たら怒られるのが嫌でそっと物陰に隠れたりしたものですが、結局見つかって毎年同じ自慢話や木の話を聞かされたのも懐かしい思い出です。

いまにして思えば、そうして実戦で鍛えられ、趣味嗜好の道楽だからこそ真剣にならねばならないという感覚を養わせてくれたと感謝しています。最近はそんなプチ家斉のような人を見かけなくなりました。木の情報が素早く正確にSNSで手に入るという事も影響していると思っています。昔は口伝の世界なんで、経験のあるベテラン、年寄りのいう事が正しい、そこにしか情報源が無いという世界だったので、話はかなり盛られていたとしても傾聴に値するものであったし、その言葉に重みも深みもありました。またそうやってその人のキャラクターも作り上げられていたと思います。

銘木の世界って、そんなひと癖もふた癖もあるような偏屈爺たちが、ああでもないこうでもないと木をひねくり回し、上下斜めいろいろなところから観て講釈をつけて価値を創り上げてきた世界です。当時はそれが、いつまでも堂々巡りで結論の出ない辛気臭い世界だと感じたこともありました。今、業界の若い人にとっては私がそんな話がやたら長くて面倒くさい偏屈爺なのかもしれません。しかし自分の代ですべて終わっていいのであれば構わないが、そうでなければ誰かが将来の家斉を育てなければ銘木の世界に明日は無い!材木人よ、現代の家斉を育てよう

 




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