森のかけら | 大五木材


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樅鳥の救世主*

2年前に購入した『愛媛県産の樅(モミ)』がいい具合に仕上がってきました。モミはデリケートな木ですので、耳付きの幅広い板などを乾燥機に入れて強制乾燥させると、大切な化粧面に大きな割れが入り使い物にならなくなる事も多く、取り扱いに神経を使う木です。売り先の決まっている木でもありませんでしたので、今回は人工乾燥ではなく、倉庫の日陰で桟積みしてじっくりと乾かす「天然乾燥」を選択。2年もかけて丁寧に乾かせた・・・いえいえ、知らず知らず時がモミの上を通過しただけの事です・・・。

まあ、そのお陰で乾燥は万全!光沢や艶を損なう事もなく、ほとんど割れも入りませんでした。不思議なもので、こちらの準備が整うと続けてご注文が入ってきたりするものです。今回は珍しく原木から仕入れたので、製材時には大トロ中トロ赤身、中などの仕分けが出来るのが楽しみです。基本的にはテーブルや座卓、カウンターを取るために仕入れているので、耳付きの板に挽きます。そうすると最後に硬くごつごつした外皮(鬼皮)のついたこういうものが残ったりします。

普通ならチップにしてしまうような部分であるかもしれませんが、そんな事をしてしまっては『モッタイナイ』。骨までしゃぶり尽くして使わせていただなければ申し訳ない。そんな気持ちで倉庫の片隅に立て掛けておいたのですが、その存在も忘れた頃に『救世主』が出現!粘り強い鬼皮に包まれ、まだ何者なのかも分からず、所々に虫穴があいているこの木が愛おしいと・・・!そのメシアの正体は小学生の少年。フローリングなどを選びに来られた流れで、倉庫で材を見ていた時、その出会いがありました。

我々が倉庫の奥でご両親と別の材を見ている時に、入口の方で何かが倒れる鈍い音!慌てて駆け寄ると少年の足元にこのモミが!少し足をすりむいていたものの、全然平気と顔色一つ変えず平常心。虫が大好きで、その住処である木にも興味全開。結局それがご縁となって、このモミは少年の部屋のサイドテーブルにもらわれていく事になりました。鬼皮を外し、丁寧に磨き上げ仕上げると、なんと中から1匹の小鳥が現れました!そうか、少年この鳥に気付いていたのか~?!

森の中で木として生きている間、木は自分で自由に動く事は出来ません。その根を断ち切られてからは、製材所、木材市場、材木店、加工所等々いろいろな所に連れて行かれますが、最後に腰を落ち着ける最適な場所にまで我々が導かすことが、川上から川下まで木に携わる人の責任。嬉しそうに完成したモミをいたわるように撫でさすってくれる少年の姿を見ていると、よきご縁に巡り会えた事を感謝するのです。その価値は値段にあらず、その真髄を知るは年齢にあらず。木の鳥、少年のピュアな心に降臨。




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