森のかけら | 大五木材


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20141031 1先日、北海道からの予期せぬ嬉しい来客がありました。今までにも何度かこのブログにもご登場いただいた北海道在住の森の写真家・小寺卓矢(こでら たくや)さんです。写真家にして作家にして森の語り部。いろいろなご縁があって我が家にもお泊りいただいていますが、精力的に四国でも活動をされていらっしゃいます。その日もちょうど四国でのお仕事のついでに寄っていただいたのですが、その後は香川に移動という事でお忙しくされている中、わざわざ立ち寄っていただいて本当にありがたい事です。

 

20141031 22010年に我が家でワークショップをしていただいた時にはもりのいのちという小寺さんの絵本を使ってお話くださったのですが、その後2012年にアリス館からいっしょだよという写真絵本を上梓されています。美しい森の風景とそこで息づく小さな虫たちや花たちの命が写し出された素敵な絵本で、平成25年度青少年読書感想文全国コンクール課題図書にも選ばれていて、出版された時にご紹介しようと思っていたのにすっかり失念してしまっておりました、申し訳ありません・・・。

Exif_JPEG_PICTURE改めて4年前のその写真を見直していたら、中学生になった双子たちも随分幼かったなあと感じます。自分もそれだけ歳を重ねました。我が家からも小学生がいなくなりましたので、今まで身近にあって接してきた『こどものもの』が姿を消して、次第に『こども』も感覚が消えつつあります。一方で小学生たちに木の話をする機会はそのままありますので、もう少しすると感覚的にズレてくるんだろうなと不安を感じます。なので尚更小寺さんの絵本を読むとピュアな心を持続する難しさ、大切さが胸に刺さります。

 

Exif_JPEG_PICTURE小寺さんは全国で子供たち相手にワークショップをしていて、そこでご自分の本の読み聞かせなどもされるのですが、木については言葉だけでなく五感で感じさせてあげたいという事で、北海道に生育する『森のかけら』をご購入いただきました。今後更に発展させて『絵本とかけら』のコラボが出来たら素晴らしいと思います。やはり木は、聞いて、見て、触って、匂って、使って、感じて楽しんでもらいたい!7月生まれの小寺さん、誕生木の『トチ』の木言葉は『博愛』。小寺さんと「いっしょだよ」!




20141030 1それよりも私の心にすっと入ってくるのはアフリカに伝わる次の話。「バオバブは地球上で最初の木であった。その次に、やしの木がやってきた。やしの木は、 スレンダーで、上品であった。バオバブがそれを見たとき、もっと背が高くなりたいと泣き出した。その次に、真っ赤な花をもつ美しい火炎樹が登場した。バオバブは花を咲かすことがねたましかった。次にフルーツを実らす、いちじくの木が現れた。バオバブもフルーツを実らせたいと拝んだ。それらを見ていた神様は、怒り、バオバブの根を引っこ抜き、さかさまに地面に突き刺した。

 

Exif_JPEG_PICTUREこれはアフリカの民芸品などを扱う店で昔買った、バナナの木の皮で作ったというバオバブの木のオブジェです。これを眺めながらいつの日にか、神さまが人に『足るを知れ』と教えられたバオバブの木の実物を見に行きたいと空想しておりますが、異常気象が原因で続々とバオバブが枯れているという話を聞くと、あの異星を思わせるエキゾチックな光景がいつまで存在しているのか不安にもなります。映像を見る限り、立木のまま朽ちるというよりは、水分がなくなって枯れるという感じでした。

 

Exif_JPEG_PICTUREそうであれば、伐採後の二次利用というような事も恐らく難しいのでしょう。不謹慎かもしれませんが、木が倒れたり枯れたりする姿を見ると、木をなりわいとする者の本能として「そのまま朽ちさせるなんてモッタイナイ!」と感じてしまうのです。せめて第二の樹生(人生)を違う形で生かせないものかと考えてしまうのです。特に実際に手にしたことの無い木、例えばこのバオバブのような木だと、その思いは尚更膨らむのです。元気で立っている木に対しては湧かない感情なので偽善的と言われればそうかもしれませんが。

 

Africa CD, Summer 2002商売人ですからまったく打算が無いわけではありませんが、それでも日頃からアフリカの木も扱わせていただき生活の糧とさせていただいている身としては、枯れるバオバブが残念でなりません。例えばその軟らかなバオバブで何かしらの商品を作って、売り上げの一部をバオバブの保護などに充ててもらうとか、あるいはフェアトレードのようなものでも出来たらなどと妄想は広がるのですが・・・まずは「星の王子様」の完読を目指しましょうか。ちなみにバオバブとは、アラビア語で『果実が多い』という意味に由来しています。

 




20141029 1さて、バオバブの木の続きですが、本日は具体的にその木について触れてみます。私たちがバオバブと聞いてイメージするのは、上下を逆さまにしたような造形の姿(アップサイドダウンツリーとも呼ばれます)ですが、実はバオバブというのは複数の木の総称なのです。アフリカに1種類、マダガスカルに固有種が8種類、オーストラリアに2種類が存在していて、先日テレビで放送されていたのは南アフリカの国立公園でしたので、Adansonia digitata(アダンソニア・ディギタータ)というアフリカ原産種。

 

20141029 2マダガスカルのモロンダバ郊外にある「バオバブ・アベニュー(バオバブの並木道)」に呼ばれる小道に巨大なバオバブが立ち並び、違う星にでも来たかのような錯覚を覚える光景はよくテレビなどのメディアでも紹介されていますが、こちらのバオバブはAdansonia grandidieri(アダンソニア・グランディディエリ)という種類で、アフリカのそれとは少し印象が違います。高さは20m、直径10m前後で、平地を突き破って地下から生えてきたような違和感のある姿はなんとも不思議に思えてなりません。

 

20141029 3フランス人のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが書いた小説「星の王子様」に登場するバオバブは、アフリカ原産種だと言われています。主人公の「ぼく」の操縦する飛行機が不時着するのがアフリカのサハラ砂漠ですから、間違いないと思いますし、確かに有名な挿絵に描かれているのも、背の高いマダガスカル産ではなく、ずんぐりむっくりとしたアフリカ産のようです。名前だけならほとんどの人が知っているであろうこの超有名な小説ですが、恥ずかしながら私は完読した事がありません。

 

20141029 4実は文庫本まで持っていて何度も挑戦しているのですが、最後まで読み切った事がないのです。体裁は児童文学ということになっていますが、最初に出会った小学生の頃に感じた「翻訳の言葉のリズムの違和感」に体が拒否反応を覚えてしまったのと、何だか抽象的というか哲学的というか回りくどい言いどうしても馴染めず途中で投げ出してしまった事がトラウマとなっていて、おとなになってから何度も挑戦しているのですが(バオバブの木のネタとして)、どうしてもうまく着陸できないようで・・・。

 




今日のかけら・番外篇022 【バオバブ】Baobab  パンヤ科・広葉樹

20141028 1先日テレビを観ていたら、あるクイズ番組の問題に『バオバブの木』が出ていました。南アフリカのにある国立公園にバオバブの木があるのですが、そのバオバブの木が最近次々に枯れるという被害が発生しているのだが、その理由は何か?というクイズでした。ご覧になられた方もいらっしゃると思いますが、材木屋の性としてテレビなどで『木』とか出てくるとついつい見入ってしまいます。まあ、見てなくても子どもたちから「お父さん~、木の事やってるよ〜」と声がかかるのですが。

 

20141028 2その答えというのが、昔に比べてその一帯の気象環境が変わってきていて、昔はかなり雨が降っていたのに最近は雨量が激減しており、慢性的な水不足にあるという事。それで、喉を枯らした象が、鋭い牙を使ってバオバブの木の幹を傷つけ削り取り、材中に蓄えてあった水分を吸っているためバオバブの木が枯れるという事態になっているのだという事でした。象が幹をバキバキに削る衝撃的な場面が映し出されていましたが、バオバブは水分を多く含み軟らかいとは聞いていたもののこれほどとは・・・!

 

20141028 3繊維質が多いのだと思いますが、現地では樹皮がロープや布、織物としても利用されているそうです。またその実は食料や薬にもなり、樹齢が500年を越えるような大木の中に開いた大きな空洞は天然の貯蔵庫としても利用されるほど現地の人々の暮らしに密接な関わりがある木なのです。ただし水分が多く軟らかすぎる事から、用材としてはほとんど適性が無いと聞いた事があります。有史以前からひとの暮らしを支えたこの木の「今そこにある危機」は悲痛ですが、自然界の掟は冷徹でもあります。

 

20141028 4動物たちも生きねばなりません。『レモネードツリー』(酸味がある特徴的な味が名前の由来)の別名を持つ水分豊かなバオバブの木に動物たちが群がってくるのも至極当然の事で、それが食物連鎖という事でしょう。普通に生えていた木を根ごと引き抜いて逆さまに植えたと表現されるそのユニークな姿から、どうしてもバオバブの木が被害者で、象が憎き犯人のような構図で考えてしまいがちですが、彼らの仲間を大地から伐り離し、引き裂き加工している我が身を省みれば自然の摂理に口出しなど出来ようはずもなく・・・

 




20141027 1本日は、西アフリカ熱帯雨林の海岸付近に分布するアオギリ科の高木の広葉樹『マンソニア』を加工しました。ブラック・ウォールナットにもよく似た風合いの色調で、その代用品として使われることの多い木ですが、ずっと探し求めていたもののなかなかご縁がなくて、今年になってようやく巡り合う事が出来ました。【森のかけら】を作っている時に加えたかった木でしたが、その時にはいろいろなところに手を尽くしても入手できませんでしたが、巡り合わせとは本当に不思議なものだと思います。

 

20141027 2マンソニアは、西アフリカの海岸部、すなわちコートジボワールからナイジェリアにかけての沿岸100キロに及ぶ森林地帯に出現する大木ですが、直径は大きいものでもせいぜい800㎜程度。ときに翼上の板根(ばんこん)を広げる事もあるようです。ブラック・ウォールナットの代用品として、『アフリカンブラック・ウォールナット』の俗名もあることは知っていましたが、どれぐらい雰囲気が似ているものか実際に削ってみました。加工性は問題なく、ほどよい硬さがあります。

 

Exif_JPEG_PICTURE気乾比重は0.60〜0.70(ちなみにブラック・ウォールナットは0.62)で、弾性もあって衝撃にも強く、比較的乾燥も容易で変形も少ないという事ですが、材の端が裂けやすい傾向があるらしく、入手したものも側面に大きな亀裂が入っています。大きそうな材に見えますが、結構奥まで裂け目が入っていますので、『森のりんご』か『森のたまご』、『モザイクボード』などに木取りするつもりです。たまたま削ったものが柾目部分でしたので、上品で美しいリボン杢も現われてくれました。

 

Exif_JPEG_PICTUREオイルで塗装すると更にブラック・ウォールナットのような雰囲気になって、確かにこれだと代用されるのも納得。しかし残念ながら大気に晒されるとかなり色落ちがあって柄がとぼけるという事で、果たしてこの色合いがどれぐらいの期間保持できるものか実験してみたいと思います。画像で褐色に映っているのは、材が反っていて削れきれなかった部分ですが、ここまで色落ちが進行するものかどうか。そうなったらなったで、それも木の個性ですから特性を受け止めて用途を考えればいいだけの事。

 

Exif_JPEG_PICTUREコートジボワールでは『ベテ』、ナイジェリアでは『オフン』、ガーナでは『アプロノ』と呼ばれるこの木ですが、日本への輸入量はかなり減少。海外ではフローリングなどの内装や家具、化粧合板、精密木工、唐木細工、銃床、ピアノなどの楽器等に利用されています。また腐食にも強く海中建造物にも使われます。一方で、乾燥した材の鋸屑や微粉は皮膚や粘膜を刺激してアレルギーを起こすこともあるので注意が必要という事も知られていますが、私は鈍感なのか実際に削ってみてもあまり粉塵は気になりませんでした。

 




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