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数年前にご縁があって、廃業された木材関係業者が長期間在庫されていたブビンガなどの板が大量に弊社にやって来ました。まだ『昭和』だった頃に仕入れられていたもので、今では考えらないぐらいの立派な幅広の1枚板がゴリゴリに乾いた状態で、目の前に文字通り山積み。一体何の木なのかすらも判別できないほどにすっかり埃まみれになって倉庫の奥の奥にくすぶっていましたが、ひと削りすると信じられないぐらい美しい表情が現れてきました。
果たしてこれだけの量を自分の代で使い切れるのかと、その時は呆然としたものですが、まとめて投げ売りするような真似だけはするまいと決めていました。今は埃まみれで汚れてしまって内の木なのかも分からなくても、丁寧に磨いて加工さえすればこの原石は輝きを取り戻すという確信がありました。大量の材を動かすだけが材木屋の仕事ではありません。それぞれの特性を見出し、材がもっとも輝ける舞台に送り出すことも大切な仕事の1つだと思うのです。
それから数年、同じ種類のよく乾燥した同じテイストの材がまとまって揃っていたお陰で、いろいろな現場でいろいろな場面で利用していただき、考えていたよりも遥かに短い期間でほぼ9割が表舞台へと旅立って行きました。木を使いたいという要望があっても、対応できるサイズと量が無ければ不可能。逆にそれだけの在庫があれば、木の可能性は大きく広がるという事。特に圧倒的な存在感を誇っていたブビンガの板も長ものはいよいよ残すところ数枚。
その中でも特に分厚いものの最後の一枚がこちら。表面には歴史を物語る塵や埃が積み上がり、ちょっとその表情を拝むことが出来ませんが、この下にはブビンガ独特の深い赤身が眠っています。重さを計る道具が無いのでどれぐらいの重さなのかは分かりませんが、いくら乾燥しているとはいえ4m近い長さで、900㎜幅、厚みが135㎜ともなると大人4人でも持ち上げられるものではありません。机上計算だと350〜400キロ!
両端から少し入ったところが帯状に朽ちていますが、これこそが長期在庫の動かざる証拠。重ねて積み上げていたため、その桟の後がこうなったのだそうですが、この硬いブビンガを穿つためにどれだけの時間が要されたものなのか。以前に厚みを半分に割って使いたいという要望があり、製材所に持って行ったのですがあまりの硬さに鋸が耐えれず断念した経緯もあるいわくつきの1枚です。このまま使える舞台が巡って来ればいいのですが・・・
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