森のかけら | 大五木材


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昨日のブログで、大相撲の難読四股名と同じく難しい漢字で表す木や名前の木はなかなか耳に馴染みにくいという事を書きましたが、難読漢字の代表的な名前の木と言えばこちらの『皀莢』。以前に『今日のかけら』にて一度取り上げましたが、急に漢字で書けと言われると書ける人がほとんどいないと思われる、読むのも書くのも難しい名前。マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属の広葉樹『サイカチ』です。木材業界の人間でも知っている人の方が少ないのではないかと思われます。

そのサイカチは私にとっても凄く縁遠い木でした。「でした」と過去形で語れるようになったのはつい最近の事。それまで【森のかけら】でしか接した事のない木でしたが、実際に材として使ってみるとこれが何とも味わいのある木。木への嗜好も年齢と共に少しずつ変わってくるもので、若い頃は素性がよくて節のない木目の美しい木こそが最高と思っておりましたが、最近は年齢のせいもあるでしょうが、大節があったり、割れや虫食い、腐りのあるような木にこそ趣きや愛しさを感じてしまうのです。

サイカチが必ずしも脛に傷のある木というわけではありませんが、スギやヒノキのように計画植林される木ではありませんので、整備され恵まれた環境に根づくわけではありません。サイカチに限ったわけではありませんが、崖や斜面、日当たりの悪い北面、水はけの悪い湿地など不遇な場所で芽吹いた木々は、それでも不平も言わずにひたすら耐え、そんな環境においてさえも可能な限り命を繋ぐべく長い長い苦闘の人生(樹生)が始まります。そんな生への葛藤が体に刻まれます。

数十年にわたり繰り広げられた木々の苦しくもがいた痕跡を『味がある』とか『ワビサビ』なんて言ってしまうのは、木に対して不謹慎のようにも思われるかもしれませんが、その痕跡を愛でるという形で受け入れることこそが、『使えない木』と切り捨てることよりも遥かに慎み深く、彼らに対する最大級の讃辞であると考えるのです。そういう思いで節や傷、虫穴などを見つめている方とつながると、こういう木たちにもスポットライトが当たるのです。その晴れ舞台についてはまた改めて。

 

 

 




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