森のかけら | 大五木材


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もともと城マニアとか城好きといわけでもないのですが、城ってなぜか意味もなく高揚してしまいます。それは職業柄のことだからと思われるかもしれませんが、端材からものづくりを考える【森のかけら】を作っている弊社で扱うような木材と、城造りに使うような木材は根本的に違います。サイズも樹種も乾燥具合も品質もまったく別物。むしろ私としては、本物の城に納品するよりは(まあ、実際にそんな名誉なこともあり得ないでしょうが)映画のセットとかに使ってもらう方が嬉しかったりするのですが・・・。

映画製作の盛んな地域ならまだしも、映画のセットにもそれなりのルートがあるでしょうから、そのご縁も難しいでしょうし、映画の城って最後に燃えてしまうことも多いので、折角収めた木材が燃えるのを複雑な気持ちですが・・・。まあ、こういうのを捕らぬ狸の皮算用というのでしょ。燃やすのだからコンパネやベニヤの張りぼてでもいいのかもしれませんが、無垢の木材とベニヤでは燃えた時の煙の色や勢いが違うので、燃える場合はそれなりに無垢の木も使っているのだと思うのですが実際はどうなのでしょうか。

まあ、そんなことまでこだわらなくとも今時CGでどうにでも処理できるし、あくまで物語の背景の一部に過ぎませんのでそこまで考える必要もないのかも。それにしても金沢城に使われている部材の立派なこと!度重なる大火で何度も焼失しては建て直されたそうですが、その都度桁外れのサイズの木材が求められてきたのだと思います。そのすべてが加賀の国でまかなえたものなのか、他所から引っ張ってきたものなのか分かりませんが、先に訪問させていただいた能登なども重要な供給元であったはず。

木造住宅は1軒でも多様なサイズの木を消費する重要な『森の出口』のひとつですが、城造りになるとその量は膨大なものになります。そのため、城を造るためには良質な材を生み出す豊かな森が必要になります。ここ加賀藩では、城造りや屋敷造営に必要不可欠な7つの樹種に対して、伐採を禁止する『七木(しちぼく)の制』という条例を敷いていました。7つの樹種は何度か変更されたそうですが、最後に選定された慶応3年(1867)の記録によると、マツ、スギ、カシ、ケヤキ、ヒノキ、ツガ、カラタケの7つ。

初めての条例発布から最後まで選ばれたのは、マツ、スギ、ケヤキの3種で、他にクリキリ、ウルシなどは時代時代で変更されたようです。争いが終わり平穏な時代が続くと本格的な町造りが復興し、木材の需要が高まることで、過剰な伐採を制限する意味と、山の荒廃を防ぐ目的もあったと思われます。そういえば、昔はよく『天領ヒノキ』とか銘打って、かつて天領であった事を高らかに謳った商品もよく流通していました。『七木の制』なんて、今だと逆に使えそうなキーワードに思えてしまうのは不謹慎・・・。




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