森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

今日のかけら・E028【ニワウルシ/庭漆】 別名:神樹/シンジュ ニガキ科ニワウルシ属・広葉樹

木との出会いについてはいろいろなパターンがあって、先日の『ハナノキ』のように、立ち木としてたまたま出会ったものの材としては見たこともないということもあれば、先に材は知っている(持っている)が立ち木としての姿は見たことがないなど、ケースバイケース。『緑の心臓』こと金沢城の公園では多くの樹をカメラに収めさせていただきましたが、その中で材を先行して知っていて(持っていて)、初めて天に向かって屹立するお姿にお目にかかったのがこちらのニガキ科の落葉広葉樹シンジュ』です。

漢字で書くと『神樹』。その畏れ多くも神々しい名前は、英語名のTree of Heavenに基づくものとされていますが、これって直訳すれば「天国の木」のはず。神の樹ならば、God of treeとなりそうなものですが、その異訳というか超訳の訳は、いつも愛読している満久崇麿先生(元日本木材学会会長)の著書『同名異木のはなし』(思文閣出版)によると、もともとインドネシアのモルッカ諸島でモルッカシンジュという木が、「天にも届くほど高い」という意味の地元の方言でアイラントス(Ailanthusと呼ばれていました。

このアイラントスには神とか神聖とかいう意味はなく、この木が樹高30m、直径1mにも達し、枝が少なくすくすく伸びていることから見た目以上に高く感じることから、天にも達するほど高い木とされていたのです。その名前がそのまま学名 (Ailanthus altissima)にもなりました。種名のアルティシマもやはり「高い」という意味だそうです。その名前が、ドイツではゲッテルバウム、あるいはゲッターバウムGötterbaumイギリスではTree of Heaven直訳されて、日本に伝わり神樹と直訳されたとされています。

が、満久先生はその定説に対して、中国の江蘇、山東省あたりで使われるこの木の方言名である『椿樹(ツゥンス)』から転じたものではなかろうかと記されています。中国名は『臭椿』で、その名の由来は葉に特有の不快な臭いがあるためとされています。材の比重は0.6~0.7で、やや軽軟。特に目立った用途は定まってなく、中国では役に立たぬものの例えにされたり(樗)、『悪木』などとも呼ばれる地域もあるなど、散々な扱いのようです。ちなみに日本には明治8年頃に入ってきたそうです。




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2016年8月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  
Scroll Up