森のかけら | 大五木材


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この数日間『’アユース』について虫とか青カビとか、ネガティブな事を書いてきましたが、アユースを貶める気など毛頭ありません。ただ、それぞれの木にはそれを扱うにあたっての注意事項があるので、理解して使っていただくためにも具体的な事例をあげたほうが分かやすいのではないかと考えています。また私の場合は、木が悪いのではなく、その扱い方や特性を理解していなかったがための失敗というのがほとんどですが、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう能天気な自分自身への戒めでもあります

軽軟であるため、ある程度用途は制限されるものの、今どき300㎜上の無節の材が比較的安価な価格で手軽に入手できるなんて実に贅沢な話です。もしアユースがもっと硬くて、しっかりした木目が現れるような木であったとしたら、テーブルにカウンターに、造作材と、様々な場面で引っ張りだこだったことでしょう。無い物ねだりをしても仕方がないので、その軟らかさを生かして『カランタス』のようなパネリングに加工するのも面白いと思います。こちらは先日ご注文いただいて加工した小幅の本実目透かし加工のパネリング

同じく軽軟な東南アジアの『カランタス』も小幅のパネリングに加工することで、弊社においては活用の幅がぐっと広がり、今ではオリジナリティのある壁面・天井材としてすっかり定着しました。アユースのについても同様の加工ができますが、アユースはカランタスと比べてもはるかに広い板が取れるので、あまり小幅板に挽き割るのもモッタイナイので幅広のアユースの出口についてももう少し考えてみようと思っています。軟らかいという事は決してマイナスな要素ではないことを証明せねばなりません。

最後に蛇足ながら、弊社の倉庫でユースの素材を見ていただく際によくある話です。材質が軟らかいため板に挽いた際に表面が豪快に毛羽立つ㊧のですが(私自身もどういう仕組みでこういう具合になるのかよく分からないのですが)、それが最近人気のキャタピラー加工のように「いい具合」に削られているように見えるらしく、このまま使いたいという要望もあるのですが、狙って加工しているわけではないのでそれは無理なのです。でもそういう要望は次第に増えてきているのでもしかしたらここに軽軟材の出口あるのかも?!




この話、こんなに長く書くつもりはなかったのですが、今後のためにも経験してきたこと、トラブルなどについては詳しく書き残しておこうと思います。商品は弊社で数日間保管しただけで、そのまま現場に納品したので、一体どこで虫が入ってきたのか不明。こういうケースの場合、もともと立木の段階で卵が産みつけられて、加圧や熱にも耐えた虫が残存していたのではないかと思うのですが、メーカー側も一歩も退かない状況で、仕方なくメーカーは作り直した材を無償提供、弊社と施工会社で取り付け工事費を折半することに。

しかし問題はこれで終わったわけではなかったのです。最初に問題が発生したのが6月でしたが、翌年の梅雨前にも再び虫が発生したとの電話が・・・!そうです、奴らはまだ全滅してはいなかったのです。早速現場へと向かうと、前年セラミックパーツに取り換えた部分は無傷であったものの、それとは違う別の場所から穿孔した粉が!前回、万が一もし木粉に気が付いたらすぐにご連絡して下さいと告げていたので、今回は虫穴はまだ僅かでした。それで専用の殺虫剤でひとつひとつ虫穴に薬剤を注入することに。

それから数週間経つと再び連絡が入り、また虫が発生!するとまたまた別の場所から木粉が・・・。それからその年も何度かホテルに足を運びました。そしたらまたその次の年の6月に連絡が!またまた違う場所から虫が・・・という事を何年か繰り返しました。その間、徐々に虫穴の数も減っていき、発見が早くなったこともあり、最初の時のような状態になるまで食い荒らされることもなくなり、最後は僅か数個ということなり、いよいよ梅雨になっても連絡が入らなくなり、アユースの虫騒動は幕引きとなったのです。

そういう事があって一時期アユースとは疎遠になったのですが、いつもは「木は決して人間のためだけに存在するのではない」と言っている手前、それではアユースに対して申し訳ないと思い、その後アユースも再び扱うようになりました。恐らく先住民であった虫にしてみれば、迷惑な話であったかもしれませんが、私も家族、会社と生きていかねばなりません。そんな問題のあったアユースではありますが、だからこそ今となってはその特性もしっかり理解できるようになり複雑な愛情すら湧き起ったりしているのです。




嫌な予感は的中!本日も昔のアユースのトラブルの話。天井作業用の専用リフトに乗って、天井装飾と同じ目線になるところまで上がってみると、白く塗られたアユースのモールディングのところに無数の黒穴が!!その下の額縁には穿孔された木屑が溜まり、それが溢れて下に落ちた形跡がありました。しかもその数が半端ではありません。一瞬、自分の血の気が引くのが分かりました。しかしそこではどうすることも出来ず、とりあえあず会社に戻ってすぐに施工会社とメーカーに連絡して対応策を検討することに。

どこでどうして虫が入ったのかという問題はあるものの、とりあえずどのぐらいの被害があるのかを調べなければならないので、後日施工会社によって足場が組まれ、木紛のある部分をすべて調査し、モールディングを取り外して内部を調査。その結果、驚くべきことが分かりました。穿孔跡のあるモールディングは、表面数㎜のところまで内部をすっかり食い尽くされていて、スポンジ状態になっていて、軽く持っただけで崩壊してしまうほどになっていたのです。この時ほど虫害の怖さを感じた事はありませんでした。

そのままにしておくわけにはいかないので、問題のあるモールディングはすべて取り外されました。現場の調査と同時進行で、なぜ虫が発生したのかをメーカーも調べてくれていたものの、取り急ぎ現場を復旧せねばなりません。しかし、再度同じような事があってはいけないということで、アユースで作り直すことを施工会社は拒絶。メーカーは絶対の自信があるとはいえ、事実そういう事態になっているので、さすがにアユースでというわけにもいかず、急遽セラミック製で製作することになりました。

後日その作り直したセラミック製のモールディングを納品して取り付けてもらいましたが、問題は責任の所在。虫は一体どこではいったのか?!大手の専門メーカー側は品質には十分気を配って管理していて、虫の入る余地は無いという姿勢。しかし、現場では下地に疑いのあるコンパネなどを使っておらず、施工後に現場で虫が侵入してきた形跡も無い。しかも外部と繋がる窓も無い空間なのです。弊社に入って来た段階では、割れ物ですので厳重に個別梱包されていて、中を開けてもいないので箱を破って入ってきたとも考えらず謎は深まるばかり?!




本日も『アユース』の話ですが、かつて虫に食害されて痛い目にあった経験。もう随分前の話ですが、県内の某ホテルに大手専門メーカーで作られたアユース製のモールディングを大量に納品させていただいたことがあります。アユースは前述したように幅広で反りやねじれの少ない均質で軽軟な材が比較的安価で手に入ることから、リブ(波型)やクラウンなどの特殊で緻密な細工が求められる室内装飾部材の世界では非常に重宝される木材なのです。また塗装のノリも申し分なく、理想的な素材のひとつなのです。

ただ問題は虫に食われやすい、というか立木の段階で卵を産み付けられているケースがあって、加工過程の加圧や熱でもへこたれない根性ある虫がいて、そいつらが残っていると、もう後は大量増殖した彼ら一族に内部からサクサクと、文字通り首の皮一枚まで食い尽くされていくというホラー映画のような事態に陥るのです。私が経験したのがまさにそれ、施工後数年経った頃、連絡があり、どうやら虫が出たらしいので来てほしいと。虫って、もう数年も経っているのに・・・と怪訝な気持ちで現場に向かいました。

ホテルの宴会場の天井や壁面に取り作られたリブやらクラウンやら様々な形状のアユース製のモールディングは美しいものでした。納品時にも施工作業を見ていましたが、大きなモールディングも鋸で簡単に切断できて、天井付近まで軽く持ち上げている様子を見ると、なんと施工性のよい素材なんだろうと惚れ惚れしていたものです、数年後再びその現場に来るまでは・・・。室内に入ってもすぐにはその異常に気が付きませんでした。どこに虫が?!という感じだったのですが、壁際の足元を見ると・・・

そこには赤い絨毯の上に、まるでグリム童話のヘンゼルとグレーテルが、帰り道に迷わないようにパン屑を道に置いたように、白い粉が壁伝いに点々と・・・。当時はそんな事を考える余裕もありませんでしたが、とにかくその白い粉がアユースのものであることは間違いなさそうなので、それがどこから来ているものなのかを探さねばなりません。しかしそれが目の届く壁や腰板の範囲にはなくて、穿孔跡が一切見つからないのです。もしや、宴会場の高い高い天井の壁際に張り巡らされたあのモールディングからなのか?!




本日も『アユース』の話。愛媛では昔から結構馴染みのある木で、いわゆる『ラワン』が姿を消して以後、幅広で比較的軽軟な材質の木の一つとして、『ペルポック』と『アユース』がよく使われていました。私が本格的に広葉樹に目覚めるずっと前から、日常的に『アユース』という名前を伝票に書き込んでいた記憶がありますので、かなり以前から弊社の倉庫にもあったはずです。当時はこういったアフリカ材を扱う人も多くなくて、その流通ルートも限られていて、専門業者が個別の店に訪問販売していました。

当時まだ私の中の『かけらの魂』はハッキリと覚醒されてはいませんでしたが、そういう専門業者に対して何か普通の材木屋とは違う匂いを感じ取っていたように思います。尺貫法や木材業界の独特の隠語などがまるで聞いたことのない国の外国語のように聞こえていた私の耳には、彼らが繰り出す「フィートやらインチ、インボイス」といったキーワードの方によりシンパシーを感じたのです。何しろ業界の隠語には指南書はなく、すべてが口伝なのでまだ生真面目だった青年には非常に取っつきにくい言葉だったのです

そういった専門業者が仕切っていた当時、アフリカ大陸からやって来たというだけで、そこら辺で採れたスギとは別物なんだという偏った舶来偏重主義が徐々に私の中に生まれたのかもしれません。しかしその後、はるばるアフリカからやって来たこのアユースでは何度か痛い経験をしました。まだネットもない時代、その木の性質や特徴などについては、専門業者の口から聞くしかありませんでした。そのわずかな情報だけを頼りに、見てきたがごとくに木を語り販売していたのですから、随分いい加減な時代でした。

そういうぐらいなので、こちらもよく特性が理解できていませんでした。このアユース、温度変化に対してあまり変動しないという特徴があり、乾燥段階で大反りやねじれも少なく、乾燥も比較的スムーズなのですが、問題は早く乾燥させないと木材腐朽菌の影響を受けて青変してしまうとと、虫害を受けやすいのです。輸入材については既に人工乾燥が前提でしたが、まだその技術が拙い工場もあって、乾燥が十分でない材も流通していて、しばらく保管していて中を開けたらビッシリカビが発生していたことがあります。

まだ初期段階なら削ればどうにかなるものの、中の方まで入っていたらまったく使い物になりません。乾燥機に入れるまでにそうなったのだと思われますが、当時はアユースに限らず乾燥不良材も結構あったりしました。それともっと怖いのが虫の被害。あまり経験したくないことですが、以前にこのアユースがヒラタキクイムシに食害されれとんでもない体験をしました。専門メーカーが製造されたアユースのモールディングが図面で指定されていて、それを納品させていただいたのですが、施工も無事終わって数年後・・・




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