森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

ということで、ラクウショウ(落羽松)ヌマスギ(沼杉)と呼ぶことは納得したのですが、ここで話を川龍之介の『河童』に戻します。なぜ河童の持っている棒を水松(イチイと書いたのかという疑問です。さてそもそも水松とは何かという事です。ラクウショウは落羽松を音読みしたものですが、水松も同様に音読みするとスイショウになります。それでスイショウを調べてみると、中国南部(福建省、広東省、江西省)を原産とするスギ科の落葉針葉樹と分りました。こちらもマツのような葉をつけることから水松とも呼ばれているのだとか。

湿潤な水辺を好むのが名前の由来だといわれています。私は実物を見たことはありませんが、これ森の中で見たってスギとしか思わなさそうです。とにかくこれで水松の正体は分りました。ではなぜその水松にわざわざルビをふってイチイと読ませたのかという疑問です。イチイの別名、方言名にも水松という呼び方は見当たりません。ラクウショウやスイショウは葉っぱがマツに似ているという理由で松と呼ばれましたが、イチイの葉は特徴があるのでさすがにこれをマツとは思わないでしょう。となるとイチイ側からの別名ではなく水松側からの別名ではないのか。

しかし調べてみてもスイショウ(水松)の別名にもイチイに似た呼び方もありません。スイショウは中国原産なので、中国語での表記も調べましたが、中国語ではイチイは『紅豆杉』あるいは『紫杉』と表わすようで捜査はますます混迷。そのうちに、「イチイを水松と書くのは誤用」という記述に辿り着いたのですが、誤用だったとしても私が知りたいのは、なぜわざわざ水松にルビまでふってイチイと読ませたのか。なぜ文豪・芥川龍之介がそんな間違いをしたのかという点。それまでにイチイ=水松という誤用があったのか?あえて誤用と分っていながら使ったのか?もはや気分はコロンボかポワロ。

そんな折、捜査線上に問題解決の糸口となるような重要な手がかりが浮かびあがったのです。それは、北海道の芦別市に黄金水松公園という公園があって、そこに北海道の天然記念物にも指定されている樹齢1700年と推定されたイチイの巨樹があるという話。このイチイは巨樹ランキングでもイチイの木としては全国で8位になるという巨木で、高ささは21m、幹周は6.2mを誇るそうです。アイヌの伝説にも登場するほど親しまれていて、この木に黒蛇が住み着いていてアイヌの首長が退治したという伝説が残っているようです。続く・・・

 




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2019年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
Scroll Up