森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#007【栗/クリ】ブナ科・広葉樹・日本産(愛媛産)

今週納品させていただく玄関框が仕上がりました。フローリングには、無垢の1枚板のオークのフローリングを使っていただいています。1820x90x15㎜のソリッドタイプです。1枚物の木取りなので、必然的に柾目が多くなります。柾目と追い柾中心で、素性のよい木目が加わります。そのため、1枚ものでありながらシャープで上品な雰囲気です。無塗装品を、オスモのワンコートオンリーウォールナット色で塗装しました。オークは、木目のくっきりした環孔材なので、オイルがしっかり染みこみ、木目が一層際立ちます。重厚で落ち着いた調子に仕上がりました。これだけのフローリングに合わせて見劣りしない玄関框(かまち)としてを用意させていただきました。2mと3mの90x150㎜の迫力ある大きさですが、国産です。岩手産の無垢の框、かなり立派な物です!

オークに比べると、同じ環孔材でも栗の方が杢目が緩やかで素朴な印象があります。不器用ですが・・・、男は黙って縁の下で耐えてます、みたいな雰囲気があって私は好きです。栗は耐久性も強度もあり、枕木として重い電車を陰で支えています。東北の方では家の土台としても使われています。派手さはないものの、信頼の置ける手堅い木です。よく、栗の節はピンホール(虫穴)に間違われることがあります。大きな節は、節と分かりますが、鉛筆の先で突いたような大きさの節は、パインやヒノキ、スギと違ってまん丸で道管が開いているので、虫穴のように見えるのです。左の画像の黒く丸く見えるのが節です。端節(はぶし)という言い方もしますが、一見虫穴のようにも見えます。

とはいえ、やはり甘い果実をつける木はどうしても虫も惹きつけます。端節と並んで虫穴が開いていることもあります。これは栗や胡桃、楢などの植物としての使命です。虫や鳥たちのために、自らの実や体を捧げ終の棲家を提供しているのです。栗を使う場合、小さな虫穴も受け入れてください。木が大きくなればなおさらです。虫穴といっても、その中に、シロアリが潜んでいるわけではありません。多くはキクイムシの仲間ですが、ほとんどは巣立っています。弊社では何年も乾燥させた物を使うようにしていますので、まだ中にいるようであれば、粉が出てきますので発見できます。見落としもあるかもしれませんが、加工の段階でほぼ見つけれます。

それでも見落としがあることもあります。その時は素直に申しわけありませんと言うしかありませんが、もともと虫や鳥たちの住処を材料にしているのですから、あまり神経質に考えても仕方がないと考えています。虫を完全に殺してしまうような毒性の塗料を塗布してまで、虫を死滅させたいと言われるのならば、もう木は使わない方がいいと思います。私もそういう事はしたくありません。木は温かく、肌さわりも心地よく加工性もよい循環型の貴重な資源です。ただしそれは人間のためだけのものではありません。木の魅力を感じるとき、合わせて木の育ってきた環境の事も受け入れていただきたいと思います。虫穴も節も、立派に生きた木の勲章として認め、そのうえでありがたくその恵を使わせていただくという風に考えています。大らかな気持ちで「木」を受け入れていただけると、更に木が楽しめると思います。

特に栗は、強く粘りもある木です。岩手には大きな栗があるとはいえ、やはり3mのしっかりした框が取れる栗は貴重です。杢目の美しさもいいです!ただし栗はタンニンを含んでいますので、無塗装のままだと水分と反応して赤茶になってしまうので注意が必要です。この框もフローリングと調子を合わせるため、同色で塗装しました。栗もオーク同様、塗り映えする木です。いい感じに仕上がりました。我ながら満足です。お客さんの新しい家にうまく馴染んで、末永く家族の皆さんと一緒に過ごしてもらいたいと思っています。もうすぐ旅立っていきます!

 




先週末はズーッとパソコンの前にへばりついてせっせと【森のかけら】の新解説書の原稿書きに精を出しました。土日はほぼ1日中パソコンの前でキーボード叩いていたので、目・肩・首・腰がボロボロです・・・しかし、そのおかげで遂に、遂に原稿は全て書きあがりました!今の解説書を書き始めたのは、3年ぐらい前ですがその当時は、まだパソコンに不慣れでインターネットも使いこなせてなかったので膨大な時間と手間がかかりました。およそ半年近くかかったのではないかと思います。

今更ですが、パソコンはうまく使えばこれほどありがたいものはないです!今回は追加補足ぐらいのつもりで書き出したのですが、結局書いてると色気が出てきて、もう少しもう少しなんてしているうちに、結局前回よりも多くなってしまいました!最終的には、日本120+世界120240で落ち着きました。パソコンのお陰で、文章量の整理が効率よくて、実質3ヶ月ぐらいで書きあがりました。人間やる気になれば何とかなるものだと改めて痛感しました。さらに【プレミア版】も同時に書き上げましたので、合計で150種ほどの解説を書き上げました。自分なりにちょっとした達成感があります。ここからが長いのですが・・・まぁ、大きな山の一合目は越えたかなという気持ちです。

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以前にも書きましたが、今日から本格的に次のステップに入りました。ネームや印刷物の試作、推敲、撮影などなど、やはり最終的には4月か5月ごろになってしまうかもしれません・・・多少発売が遅くなっても、自分の納得のいく完成度の高い物にしたいので。

 

 

ただ、同時進行の【プレミア36】に関しては、かなり準備が進んでいるので、こちらの方は3月末頃を目標に発売したいと思っています。こちらの方は、36種の選択に相当悩みました。36種すべてを新らしい種類にしても良かったのですが、実際にセットしてみたときにどうしても、ゼブラの縞模様の造型や、パープルハートの紫紺の美しさレースウッドの異形の驚異、さらにプレミアに『タガヤサン』が入るので、それだったら『シタン・コクタン・タガヤサン』の三大唐木は揃えたい、といろいろな思惑が出てきました。唐木中心の品揃えという点から、パオローズとパオロッサもプレミアに加えました。リストは【商品紹介】のページに後日アップしますのでご覧下さい。

私の場合、指針はあくまで自分が欲しいかどうかです。【プレミア36】の箱を開けたときの感動を大切にしたい!「見て~!こんな木あるよ~!凄くない?」もうただひたすらそれだけです。この【プレミア36】は、『色々な木を見たいという好奇心と、捨てるのがもったいないというケチ根性』というコンセプトからいうと、完全に『好奇心』の方にウェートがかかった商品です。初めてゼブラスネークウッドピンクアイボリーを見た時の感動がいつまでも私の心を離れません。そのためにあえて大きな木を切断しようとは思いませんが、こんな木があることも知っていただきたい。自然が作り出す木目や縞模様の美しさを堪能してもらいたい。いやもう簡単に言い切ってしまうと、『どお?木は凄いよね~!』という自己満足だけが【森のかけら・プレミア36】を作り出しました

熱くなって長くなりました。百聞は一見にしかず!【森のかけら・プレミア36】、ちょこっとだけお見せます!そろそろ予約を受け付けようかと思います。1年間30セット限定です。それ以上は作れません。2年目以降も続けられるかどうかさえも分かりませんが・・・とりあえず30セットは作ります。全てシリアルナンバー入りで、箱の別あつらえです(ブラックウォールナットかカリン)。販売価格なんと¥60,000!(消費税税込み)です。物好きな方いましたら、予約受付始めます! 

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上の写真はあくまでイメージです。商品は一部入れ替わりますのでご了承下さい。




今日は本題、ブラックウォールナットの話です。クルミ科の植物で、主にアメリカの北部やカナダに分布しています。弊社に入ってきているのは、ウィスコンシン州やインディアナ州産の物が多いです。広いアメリカ大陸の事ですから、地域によって相応の個体差があるのでしょうが、正直そこまでは私には分かりません。木によっては、かなりチョコレート色に近い濃厚なこげ茶色のものもあります。加工する立場からすれば、素性の良いほうがいいのですが、この木に関しては素性の良すぎる木は面白くありません。 ca4ymsaa

ca7hq0y61 木も人間と同じです。何の苦労もなくぬくぬく育ったものよりは、苦労して育ったもののほうが味や深みがあります。温暖で広々した土地で、ストレスもない場所で育った木と、切り立った崖のうえで風にもまれ雨打たれ育った木では、はっきりと育ちが顔に出ます。節は枝の名残りですが、枝の時に雨風に耐えたものほど節の周囲にその生き様が現れます。うねうねとした木目は、風との格闘の証ですし、年輪幅のメリハリはその年の季節のうつろいを映しています

一般的に節の大きい物は、『欠点』としてはじかれますが、ブラックウォールナットに関して言えば、節のある板の方が絶対に面白いと思います。チョコレート色の濃淡のグラデーションこそが、この木の最大の魅力ですが、節の周囲にこそ濃密なグラデーションが現われます。黒からこげ茶、薄茶と流れるように、波のように変化する色合いは、決して塗装では生み出すことの出来ない天然の筆使いです。うねりだすような造形美は、この木以外には考えられません。使う用途にもよるでしょうが、節があっても問題ないものであれば、なるべく節も取り入れるようにさせていただいています。節も立派な木の表情です。むしろ厳しい風雪に耐えた勲章だと思います。最近、家具業界でも節のある表情が少しずつ見直されてきていますが素晴らしいことだと思います。木の立っていた姿に思いを馳せて使うというのは大事な事です。

ca07hvab2 一番多いのはダイニングテーブルやキャビネットなどですが、カウンターや棚板、床の間の地板などにも利用していただいています。また、幅剥ぎにして階段の段板に使っても雰囲気があります。大きな1枚板でも、幅剥ぎにしてもこれだけ表情の豊かな木は少ないと思います。色目の深い割に重さがないので、加工や取扱いが容易なのも好まれる原因ではないでしょうか。この木の場合は絶対オイル塗装をお奨めします。時間とともにゆっくりゆっくりと木の内面に染み込んでいって、チョコレート色が更に濃厚になっていく様が楽しめます。塗装をして、ある程度時間が経っていい色合いになったウォールナットのフローリングを見られて、「この色が欲しい」と言われる方がいらっしゃいますが、「無理です」とお断りします。

塗ったときはもっと淡い色合いが、時間をかけることで少しずつゆっくりと内部からにじみ出て来た樹脂分とオイルが結合してこの深みが生まれてくるのです、どうかご自分で育ててください、と。今すぐ人工的に配合して作れないからこその風合い、天然の色の妙味だと思います。かといって全てのウォールナットがそういう色合いではありません。こだわりたい方は、自分の目で選ぶしかないと思います。勿論お好みもありますから好き好きですが。ちなみに弊社の在庫としては、長さ1.8mで幅込みx厚み32㎜ぐらいの平板、長さ2.4mで幅込みx厚み38㎜の平板、幅広の1枚板(最大のものは3900x900x58㎜!)ほか数枚、1820x90x15㎜のユニFJの無塗装のフローリングなどがあります。 cadyynyl1




その後しばらくすると『桜製作所』さんに堂々と行けるチャンスが訪れました。以前にも何回か登場しましたが、私が所属している愛媛木材青年協議会は、日本全国の若手の木材関係者が集まっている『日本木材青壮年団体連合会』という組織に加わっていますが、四国では愛媛以外にも高知・香川・徳島の各県のも組織があります。そして、中四国地区の14会団で定期的に中四国地区で役員会を開催しています。それとは別に、以前は四国の会団だけでも合同例会を開催していました。

あるとき、香川の工場見学の企画があった時に、ここだと思い強引に私が企画を出さしてもらいました。香川県の銘木屋さんと当然『桜製作所』さんを入れて企画を通しました。そして遂に堂々とみんなで『桜製作所』に行く機会を得たのです。当時愛媛の会員で、家具を扱っているメンバーは少なかったので、『桜製作所』と聞いてもあまり分かる人はいなかったのですが、私はひとり盛り上がっていました。そしていよいよその日を迎えました。当日は、永見会長もいらっしゃっいました。『桜製作所』の事を知ってからは、漁るように書物を読みましたが、知れば知るほどに、ジョージ・ナカシマ永見眞一という二人の偉大さが分かり、大袈裟かもしれませんが『生ける伝説』に会えるような心の高揚を感じて興奮していました!

そんな中、私はこのチャンスを最大限に生かそうと、ちゃっかりと会長の書かれた『木の仕事』を全部持参していて、厚かましくも全部にサインをいただきました。いまでもそれは私の宝物です!永見会長、その節は5冊もサインをいただきありがとうございました。工場にはブラック・ウォールナットの板が大量に在庫されていました。丸太を耳付のままで、40㎜とか50㎜の厚みに挽いて、挽いたなり桟を入れて丸太の状態にして保管されていました。

かなり広いダイニングテーブルサイズの板が、ズラズラ~とウォールナットが居並び、ウォールナットの森のような雰囲気です。これ全部使うのに何年かかるのだろうと思わせる圧倒的な量です。大きい物はなるべく大きく使う。節も割れもデザインの一部として活かし、木の力を最大限に引き出す工夫をする。あるべき物を無駄にせずなるべく有効に使う。デザインというよりも私には、木という素材に向き合う姿勢に大きな感銘を受けました。私にとって、『桜製作所』さんの工場見学は、その後の木に対する考え方の拠り所となりました。




★今日のかけら・#006【ブラック・ウォールナット】Black walnut クルミ科・広葉樹・北米産 

今日は、個人的にはあんまり関係ないけど、世間はバレンタインデーということで、チョコレートといえばやはりこれしかないでしょう、ブラック・ウォールナット。この木を形容する時に外せないのが『チョコレート色のグラデーション』という表現です。まさに深みのある濃淡のこげ茶色に縞模様は他のどんな木が束になってかかってきても敵わないほど魅惑的です!いろんな木を扱ってきましたが、外国の木では一番好きな木です。家具とか扱ってみようと思ったのもこの木と出会ってからです。ブラック・ウォールナットを知ること、それは『桜製作所』さんを知ることでもありました。 今日のかけら ブラック・ウォールナット

昔、ある方からジョージ・ナカジマの家具の事を教えていただき、ブラック・ウォールナットの家具の美しさに惹かれ是非本物が見てみたいという衝動にかられました。噂に聞いていた香川県高松市の『桜製作所』で、どうしても本物が見たくなりました。ただいきなり事務所に行くのもどうかなと、小心者の私は度胸がなく、とりあえず高松市内に出されている桜ショップにまず行ってみることにしました。アポイントを取るのも逆に失礼かなと思い、普通に覗いてみましたが、丁度ショップがお休みでした。

それから何度か、香川に仕事に行くたびに時間を見つけては覗いてみたのですが、いつもお店はお休みでした。後で知ったのですが、日曜祝祭日はお休みだったようで、私がいつも土曜日の仕事の翌日に行っていたので、閉まっていたようでした。その後、平日に香川に仕事で行くときがあり、ついにお店に入る事が出来ました!勿論お店には永見眞一会長がいらっしゃるわけではありません。それほどは大きくはないスペースにセンス良く、十数点の大きな家具と小物が展示してありました。それでも私にとっては、なかなか入れなかった事もあり、聖域に一歩踏み込んだくらいの感動がありました。

そこで初めて見たジョージ・ナカジマのデザインした家具は、素人の私が見ても美しく貫禄があり、「ああ、デザイナーさんがデザインいた家具というものはこういうものなのか・・・」と食い入るように家具を見ていました。ああ、こういう物を作っている人に会ってみたい、身の程知らずだけど、会ってみいと更に強く思うようになりました。ショップに行く前にも、永見会長が書かれていた本を読んで、失礼がないように勉強しておこうと探したのですが、既に絶版になっていたので手に入りませんでした。ところが、お店の方に聞いてみるとそちらに数冊だけ残っている物があると分かりました。しかも、会社の方に行って会長がいらっしゃったらサインしていただけますよ、と聞いたので保存用、読み込む分、知り合いの職人さんに配る分と、まとめて5,6冊購入させてもらいました。これが『木の仕事』(住まいの図書館出版局/発行)です。何度も何度も繰り返し読みました。こうしてようやく、『桜製作所への道』の扉が開きました・・・。この話まだまだ続きます。




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