森のかけら | 大五木材


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20120331 13月3日の感動的な愛媛木材青年協議会の卒業式以来、木青協関係の話はアップしていません。というのも、定款では本日3月31日までが会員という事なのですが、実質的にはあの卒業式が私にとっては現役最後のセレモニーでした。例年は3月の後半に行うのですが、たまたま今年は他の行事との兼ね合いで、卒業式が早かったので最後のセレモニーから本日まで「空白の期間」が長めにありました。まあそれでも私にとってはあの日が一応区切りの日でした、本日このメールが届くまでは!

 

20120331 2私自身もまったく意識をしていなかった「木青協現役最後の日」。その事についてある方からフェイスブックを通じてメッセージが届きました。送り主は、拙ブログにも何度も登場していただいた、愛媛木青協の永遠のライバル・美作木青協安東真吾さん。まさか安東さんからこのタイミングで卒業のメッセージをいただけるとは夢にも思っておりませんでした・・・これは、ちょっとルール違反です!その言葉の裏に秘められた思いに不覚にも熱いものが・・・!

 

20120331 3安東さんの事については何度も触れてきましたが、その出会いについて。数年前の松末繁治、實田貴史両先輩を全国に輩出し、私も委員会の末席に加えさせていただいた時が、愛媛木青協において史上最強時代であったと自負しております(後輩諸君は自分たちこそが最強だと言えるように頑張ってください)が、両先輩はじめ同世代の仲間が6、7人も揃ったパワーは、何でも出来ると実像以上に連帯のパワーがみなぎっていました。全国に行っても何ら気後れする事はありませんでした。

 

20120331 4その時の経験がいままさに血となり肉となっています。しかし全国の組織になると、木材人の集まりにとって本来もっとも重視されるべき木材の話題よりも組織運営の方に力点が置かれ、議事の進行や報告に時間を割かれ、目的であるべきはずの『木の学び場』は各自の自習となっています。全国規模の組織である以上それは仕方が無い事だとは思いますが、やはり本来の趣旨は全国の情熱ある木材馬鹿(失礼、褒め言葉!)の熱い話を聞いたり話したりする事ではないのかと、私は不満を感じていました・・・この方と出会うまでは!明日へ続く。




20120330 1年度末となって、それぞれの現場が追い込みで弊社も加工がかなり混雑しております。小型の帯鋸と加工機が2台あるだけのちっぽけな加工場ですが、朝から夕方まで間断なくフル操業状態です。「出来ることは何でもする」が零細小売店のスタンスです。今日もさまざまな樹種が加工場に集合しております。手前が『ダグラスファー』、その隣が『SPF』、左奥が『イエローポプラ』と『ヒノキ』と『ウエスタン・ヘムロック』、更に右奥が『ウエスタン・レッドシーダー』。弊社にとってごく当たり前の光景です。

 

20120330 2小さな工場なので効率重視が命題です。割りや手押し加工、サンダー仕上げ、長さのカット、梱包など、開いたスペースで手の空いた人が出来ることを黙々とやっていくのみです。いろいろな樹種が順番待ちで居並ぶ様は、もはや恒例行事。特殊な加工は外注しますが、単純な加工については可能な限り自社でやっています。弊社のお得意様だけというわけではないと思いますが、最終加工まで仕上げてして現場に納める頻度がますます高まってきてます。

 

20120330 3以前は、荒材を大工さんや工務店さんの作業場に納品させていただき、大工さんが仕上げして現場に持ち込まれるという流れでしたが、今はほとんど現場納品。それに伴い納期もかなりタイトになってきています。弊社で製材・生産しているわけではありませんので、別注材については製材所に挽いてもらって弊社まで持ち帰って、それからの加工スタートとなります。現場もだんだん工期が短縮され、入荷と納品までの時間もどんどん追い詰められて、中間流通業者は板挟み状態。

20120330 4昔は品質のクレームでしたが、今は納期のクレーム。いずれも対応次第では毒にも薬にもなります!工期がタイトな分、いちどきに多樹種を加工しますから、いろいろな色の削り粉が発生します。いちいち片付けてもいられませんので、プレーナーの削り屑の上に違う色の削り屑が重なり合ってなんだかいい雰囲気。『ダグラスファー』の淡紅色のうえに『ヒノキ』の淡黄白色、更にその上に『イエローポプラ』の淡緑色が重なり、不思議なグラデーション。これも何かに使いたいのですが、未だ『出口見えず』・・・




20120329 1英語のエルムの語源はケルト語のUlmeからきていて、神オーディンが樹を人間に変えたとき、その1本がニレで女性になった。その女性の名をEmbla(エムブラ)とし、そこからエルムになったという神話もあるようです。日本においても 、葉が大きく大木になるハルニレを『雄(おん)ニレ』と呼ぶのに対して、葉が小さく小枝が多く樹形も優しいイメージのアキニレを『雌(めん)ニレ』と呼ぶ地域もあります。国が変われどもその樹形から男女の別をつけるあたり、樹に抱く認識は世界共通のようです。

 

 

20120329 2ちょっと脱線しますが、上記の神・オーディンについて。北欧の神話に登場する神々の王・オーディンは強大な魔力を持ち、その威厳は人間界にも響き渡っていました。そのオーディンと人間界の女神ジョオドの間に生まれたのが、昨年公開された映画『マイティ・ソー』その人です。映画では王・オーディンを名優アンソニー・ホプキンスがケレン味たっぷりに演じていました。「レクター博士」(!)に引き取られて世継ぎとして英才教育を受けたわけですから、独尊傲慢になるのも止む無し・・・。

 

 

20120329 3さて日本語のニレの語源は、木の皮を剥がすとヌルヌルする事から、「滑(ぬ)れ」が訛ってニレになったというが有力なようですが、ニレの内皮を剥いて叩き、トリモチを作る事もあり、そこからネレ・ネレ(練り)が語源となっているという説もあります。アキニレの葉を硯に入れて墨を摩(す)るとよく粘りがことから『ネバリギ』なる俗称もあるようです。ちなみにニレの木言葉は『高貴』。ケヤキやタモの代用品というイメージを払拭して木言葉に相応しい『出口』も考えねば。

 

 

20120329 4以前、北海道産のニレの神代木(土埋木)を幾つか在庫していました。ニレの特徴として光沢や艶が無いマットな質感と述べましたが、長い間地下深くに埋もれている間に、「光沢や艶」を「わびさびや深み」と交換したニレの土埋木にとっては、本来のマットな材質が幸いしているように思われます。もともと乾いた質感ですが、一層渋みが増して時代がかった雰囲気になったように感じられます。ニレの神代木についてはいずれ日を改めて。それではこれにて『今日のかけら・楡篇』完結です!




20120328 1そう思ってモノの本を調べていたらニレの出口が沢山ありました!粘りがあり割裂しにくいことから太鼓の胴にも使われているようです。またその硬さを利用して木槌掛矢(建築現場で使われる大きな木槌)、鍬などの柄や器具材、車両材など。さらに切削性が良い事から刳(く)り細工としても重宝されるようで、東北地方では仏像や彫刻の彫材にも使われているそうです。製炭すれば硬い炭も出来るとか。さすが木を愛するわが日本民族、抜け目がありませんでした。まだまだ勉強不足・・・反省。

 

20120328 2ニレ属の木は寒さに強い落葉広葉樹で、北半球の温帯地方に広く分布しています。ヨーロッパには、『レッドエルム』や『グレイエルム』など幾つかの種類に分類されます。それらの材の用途としては、家具、水車の板、荷車の車輪、棺桶、戦車の車輪などに使われてきました。古代ギリシャにおいては、エルムは黄泉の国に生えているとされ、墓地などにも植栽されたようです。ドイツではエルムは農地の守護者であり、人間社会と大自然の霊との間にある門を守っているとされています

20120328 3ニレは成長すると高さ25m、直径2mほどになるものもあり、老樹になると半球形の綺麗な樹冠をつくるため、その壮大で重厚な樹形から公園や街路樹に植えられることも多いようです。しかしハルニレは贅沢な生育条件を求める木でもあり、乾燥しすぎず湿りすぎずほどほどに水分が必要で肥沃な土地を好むようです。「エルムの街」として有名な札幌などはその条件がピタリと当てはまる場所という事だそうです。

 

20120328 4アメリカでは先住民たちが、エルム(ニレ)の木を土地選びの指標にしていたとか。つまり立派なエルムが生えている場所は、水を得やすい環境にあり、かつ洪水の心配もなく、土地が肥えていて耕作などにも適していることが分かるからだそうです。ボストンの街などはそうして生まれたとも言われており、先人たちは材としての「出口」だけでなく「樹」としての「出口」までしっかりと見据えておられたようです。ダラスのエルム・ストリートにも導きのエルムが沢山植えられていたのでしょうか。明日の完結篇へ・・・。

 




20120327 1弊社にも『ニレ』の挽き板はあるのですが、日々倉庫を巣立っていくナラブナを尻目に、いつまでも寂しそうに倉庫の中で埃をかぶっているのがニレです。良い悪いの問題というよりも、(それも「個性」なのですが)触感がザラっとしていて光沢や艶が無いのがニレの特徴で、手(触感)と目(視覚)で無垢材を楽しみたい方にはどうしても物足りなく感じてしまうのかもしれません。鉋でいくら綺麗に削って仕上げてもトチカエデのような触感は生まれません。ナチュラル・マットな仕上がりです!

 

20120327 2だからといって材が低級なのかというとそういわけではなく、粘りや強度もあり、価格もリーズナブルですから用途次第、『出口』次第だと思うのです。明確な出口さえあれば、評価は後からついてくるもの。その木でなくてはならない絶対的は王道の出口の重要性を感じます、特にニレには。時には大きく耳が変化した周辺に複雑な造形の『ニレ瘤』と呼ばれる瘤(こぶ)が現れたりして、そこに斑点のような面白い柄が出たりもします。むしろ大人しい赤味よりも瘤を意匠的に使う事もあるぐらいです。

 

20120327 3このHPを立ち上げた頃にご紹介した事があるのですが、そんなニレの出口がこちらの「フライ返し」です。英語ではspatula(スパチュラ)なんてお洒落な言い方もあるようですが私には馴染めません・・・。ニレの柾目部分をうまく利用して、絶妙の角度がついているのですが、目玉焼きなどを引っくり返すには最適。目玉焼きの下にスルリと入り込む感触がたまりません!製作していただいたのは内子に工房を構えられクラフト製作に励まれている『樹のぬくもり工房』さん。丁寧な仕事ぶりです。

 

20120327 4日本人は豊穣な森から生まれいずる「恩恵」に多種多様な「出口」を見つけてきました。それは『適材適所』という言葉が表わすとおり、材の特質を見抜いた優れた知恵の文化です。それは決して沢山生えているわけでもない木々に対しても同様のまなざしが向けられ、木材が日本人の暮らしにとっていかに重要な素材であったかという事を証明するものでもあります。にも関わらず、分布域が狭いというわけでもないこのニレに対して「王道の出口」が定まっていないというのも妙な気がしていました。そしたら・・・続きは明日へ!




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