森のかけら | 大五木材


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在庫の耳付板の中には、乾燥による割れを嫌って表面をボンドでガチガチに塗っているものがあります。生材を挽いて、長期間かけてじっくりと天然乾燥させる場合、杢目のいいところほど割れやすく、いくら上手く乾燥させても、大きな割れが入ってしまっては商品価値が激減します。そのため、ボンドを塗りたくって固めてしまうのです。これだと割れは防げるものの、乾燥の妨げになります。材中の水分が多いと、ボンドと反応してカビが発生する事もあるので厄介です

出来れば何も塗って無い方がいいのですが、製材者(供給側)よすれば、目の前で綺麗な杢がバリバリに割れてしまうのは耐え難い悲しみです。綺麗にまとまった杢目ほど、皮肉にも「クラックの洗礼」を受けてしまいますので、経済的なダメージも大きいのです。だからといって、ボンドを塗りまくるやり方は賛同できません。自分の手の内にある間に割れなければ、後は野となれ山となれ的な印象を受けてしまうからです。せめて浸透性の割れ止め剤ならば随分違うのですが経済的理由で採用されません

最終的に削る取られる材面の保護ですからなるべく安価に上げたいというのは心情でしょう。中間業者としては、それぞれの立場や気持ちも分かりますので複雑な心境です。塗ってあるといっても、ほとんどは木表+両小口ですので、塗ってあるから全然乾かないというわけではありません。在庫にある「ボンド塗りの耳付板」も長期間置いてあるとそれなりに乾燥は進行します。更により乾燥させるためと、ボンドを剥いだ生地の姿を拝んでおきたい気持ちもあって、時間の ある時にボンドを剥いでおります。

本日は、兵庫県産の樟(クスノキ)のボンドを剥ぎました。ボンドが剥ぎ取られるに従って、クスノキの樟脳の香りがツンと鼻を衝(つ)きます。目の粗い若木のクスノキで杢目のご覧の通り、かなりユルユルですが、クスノキの場合、床材にするような銘木を除けば、緩い杢目でもそれなりの妙味が出るものです。どこか憎めないような愛嬌も感じられ、何だか愛おしくさえ思えてしまうのはクスノキの特権でしょうか。傷や腐りもありますが、これとて工夫次第で生かせれます。捨てるなんてモッタイナイ、モッタイナイ!

綺麗にボンドを剥ぐと、ベルトサンダーで磨いてタグをつけて完成。倉庫の片隅に埃を被って転がっていた材が、きちんとした『商品』に生まれ変わりました!これで、商談中に仕上がり具合を見たいと言われても、すぐにオイルで試し塗りが出来ます。クスノキは耳の変化も面白く、その触感も滑らかで水にもよく耐える事から、手洗いのカウンターなどによくご提案させていただいております。とりあえずは、私が本来の姿をたっぷりと堪能させていただきます。今週頑張ってガンガン剥いでおりますので、また幾つかご紹介させていただきます!




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