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さて、この竜串の珍名の名前の由来については、文字通り「竜を串刺しにしたような景観」から名付けられたという説の他にも諸説あるそうですが、個人的には断然その説を支持します。さて、竜串ではその奇勝とともに有名なのが、海から突き出した十字架のような建物・海中展望塔『海底館』です。この海底館、開業は昭和47年1月1日という事ですから、およそ40年前の建物。螺旋階段で海底まで降りると、そこは水深7mの世界。16個の展望窓から海の世界が覗けます。
私的にはド・ストライクの施設でしたが、そのDNAはしっかり受け継がれ、平成の子供の心も響かせたようです。一心不乱に海底を見つめる息子・・・嗚呼、40数年前私も「来るべき未来」に純真無垢な夢を描いていました。昭和51年には、皇太子殿下同妃殿下(現天皇皇后両殿下)の視察も賜った由緒ある施設だそうですが、私が幼き日に開業した当時、科学創造秘密要塞のようなSFチックな外観と色使いは、さぞ昭和世代の少年少女の冒険心をときめかせたことでしょう!
更に昭和レトロの香りがプンプン漂う「普段着のままで海底散歩が楽しめる!」というコピーは泣かせます。螺旋階段を降りるたびに、海底まで「あと何m」という案内板や、ややくたびれ感の目立つ館内の掲示物にも、同世代を生きた同胞のようないとおしさを感じるのです。「ちょっとチープ過ぎる!笑える~!」なんて陰口を叩く平成世代の若いカップルの声を聞くと、なぜだか妙に腹が立つのです。溢れるほどの情熱を持って、何の迷いもなく海底に思いを馳せた、ひたむきな昭和の冒険心まで馬鹿にされたようで。
夢を語らない人は、いつも他人の夢を笑う・・。昭和レトロと笑わば笑え!「巨人の星」を口ずさみながら(阪神ファンですが、梶原一騎先生だけが別格です)、ただただひたむきに情熱を傾けた昭和40年代の同胞として、まだまだこの先も活躍してもらいたいものです。当日は透明度が7mという事でしたが、それがどれぐらいの数値なのか分かりませんが、窓ガラスに接近してきた魚の姿はよく見えました。海が荒れているとかなり濁りがあって透明度が悪くなるそうですが、子供たちは十分に楽しんでいました。これで入場料¥900が高いとか、たったこれだけかと散々な感想を書かれている人もいましたが、昨今のテーマパークの上げ膳下げ膳の過剰サービスに慣れてしまい、何かを与えられなくては楽しめない受け身体質の若者には物足りないのかも。初めてここから海底を眺めた当時の人々の感激や遥か昔・・・。
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