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昨年も雪の季節に出しそびれて、今年もまた同じ轍を踏みかけていた『12月の誕生木商品』ですが、月こそずれたものの今年はまだまだ強い寒気がやって来るという事と、ちょうど拙ブログで北海道やら雪山の話が出ておりましたので、ここを逃してはならぬとこのタイミングで『スノーファーマン』のご紹介!誕生木の出口商品としては真っ先にアイデアが浮かび、商品化も一番早かったものの今までタイミングを逸してまいりました。
ただひたすら私の怠慢ということだけなのですが・・・改めて商品のご紹介。12月の木にまつわるメインイベントと言えばクリスマスに尽きますが、そのイベントに欠かせないのがモミのクリスマスツリー。そこから12月の誕生木はモミということになるのですが、そのモミを使って冬の風物詩・雪ダルマを作りました。モミはマツ科トウヒ属の針葉樹ですが、ヨーロッパでは昔から聖なる木として崇められてきた歴史があります。
モミには災いから身を守る力があるともいわれ、その香りもまたナチュラル・ヒーリングとして利用されてきました。そこから、エッセンシャルオイルなどの香りを拡散させて楽しむディフューザーを開発。ファーはモミの英名で、ファーで出来たスノーマンの意です。頭にかぶったバケツはアフリカ産のマメ科の木・ブビンガで、穴は貫通していて取り外しが可能です。その中にガラス管が入っているので、そこにオイルを数滴垂らします。
エッセンシャルオイルは含まれていませんので、お気に入りの香りをお買い求めいただければと思います。愛媛県産のモミの木から削り出して作っています。モミは伐採直後こそ、マツ独特のヤニ臭があるものの乾燥するとほぼ無味無臭になり、調湿効果に優れている事から余計な水分を吸収してくれることから「かまぼこ板」には最適の素材として昔から利用されてきました。余計な香りを発しない事から、ディフューザーに対しても適性があると考えたのです。サイズは、110×80×65mm 。価格は¥4,500(本体のみ、消費税、送料別)で、香りを楽しんでいただくために塗装は施していません。雪の季節だけでなく年間通じて販売しております。ちなみにモミの木言葉は『向上』。
※ 『誕生木・12の樹の物語』・・・http://morinokakera.jp/shouhin/?cat=44
小説の人物たちは一部名前が替えられているもののほぼ史実通りで、吉村昭の綿密な取材による描写は、まさにその場で逐一見てきたが如く生々しい!羆の体長は、九尺(およそ2.7m)、体重百二貫(383キロ)という恐るべし大きさ。憎い敵を倒したものの村民たちはやがて村を捨てました。そこに勝者はなく厳しい現実があるだけ。最後に銀オヤジは村人を罵倒する「きさまらはずるい。ペコペコ頭を下げたりおべっかを使ったりするな。それですませようとするきさまらのずるさがいやだ!」
自然には決しておべっかやお世辞は通用しない。生きていくという事は真摯な事なのだ。そこに、たった独りで山に入り巨大羆と戦うマタギの矜持を見る思いがします。小説では風景描写にも一切の手抜きが無く、トドマツやエゾマツ、ニレ、ナラという風に固有名詞で樹木が描き分けられています。実はそこにも『網走番外地』の囚人使役の森林伐採とも絡みが出て来るのです。小説では冬眠する穴を見つけそこなった『穴もたず』のクマが空腹で凶暴化した事が原因ではと村民は推察しています。
しかしその後同じようなケースの事件が発生していない事から、江戸時代後半からこの地方で頻繁に行われている沿岸部での鰊粕(にしんかす)の製造用に薪を得るための大規模な森林伐採と、明治以降の内部開拓によって野生動物と人間の生活圏が重なったことが原因だったのではと検証されているようです。小説においては、当時鰊が豊漁で、痩せた耕地を耕す貧しい山の民との対比として、豊かな漁村の姿が描かれるのですが、それが一層三毛別の村民の置かれた境遇の悲劇性を増すのです。
北海道の広大な大森林を伐採して開拓するという現実が、一方では脱獄を拒む天然の監獄という舞台背景として傑作映画を生み出し、一方では貧しい開拓者に更に過酷な獣を遣わせることになります。魚を捌く時の血にすら拒否反応を覚える情けない男としては、捉えた熊を捌くなんて卒倒ものの場面ですが、わずかながらも北海道の木を扱わせていただく者としては、読んでおかねばという使命感で凄惨な場面の文字も追いました。「羆にすればただ胃袋を満たすだけの餌なのだ!」これぞ自然界の真理、半端モノは生きられません。
※ ラジオドラマ『羆嵐』・・・https://www.youtube.com/watch?v=wEcIcPx7Wz0
本日も『羆嵐(くまあらし)』の話の続きです。日本獣害史上最大の羆による大参事『三毛別羆事件』では、先に3人の被害が出て、住民たちは死者を荼毘に付すために埋葬し弔いをしますが、その行為を作者はこう描写されています・・・「土との融合は、植物の種子が地表に落ちる様に死体を土に帰すことによって深められる。家々で行われる死者を悼む行為が、人々の生活に彩と陰翳(いんえい)を与え、死者を包み込んだ土へのつつましい畏敬にもなる。彼らは土との同化に手を染めたばかりで、村落を囲繞(いにょう)する常緑樹や雑草が逞しい根を張って土の養分を思うままに吸収しているのとは異なり、地表からおずおずとわずかな恵みを拾い上げているにすぎなかった。かれらは、死者を土に帰すことによってその地に生活の根を深々とおろすことができると考えた。」
しかし、その後更に4人の被害が出ると、「彼らは、自分たちの生活が土に根づくこともなく、自然は過酷な姿を変えてはいないことに気づき、土に対する甘えに似た感情を捨て」るのです。その決断は、同胞を惨劇のあった家に放置して、羆を呼び込む囮とするという非人間的な行為としても示されます。そうしてでも羆を倒さねば自分たちの明日はないという切羽詰まった状況は、飽食の時代に生きる我々には計り知れるものではありません。
巨大な羆は警察の手にも負えず、羆撃ちの老練な猟師・銀オヤジの手によって見事に羆は仕留められます。すると突然気象は激変します・・・「羆嵐だ。クマを仕とめた後には強い風が吹き荒れるという。」その描写も実に淡々とした写実的なもので、ドラマチックな盛り上がりはありません。麓の村に運ばれた熊は、銀オヤジの手によって捌(さば)かれ、肉は鍋で煮られます。当然のようにそれを食すことをためらむ村人たちに銀オヤジは言います「お前らは仕来りを知らないのか。」
「人を食ったクマの肉は、出来るだけ多くの者で食ってやらねばならぬのだ。それが仏の供養だ。」アイヌの宗教的な儀式の1つに、羆の肉を食わなければ被害者の埋葬も行えないという習慣があるそうで、村落の者にとっても「それに従うことが、村落の者にとって土により深く根をおろすための必要条件だと思」い、彼らは沈鬱な表情で羆の肉を口に運びます。貧民が武力のある者を雇うという流れは、『七人の侍』に通じますが決して史実をドラマチックに仕立てたヒーロー物語ではありません。
作品は昭和52年に出版されたもので、作者が吉村昭以外で現在上梓されていたとすると、自然との共存やら環境問題など鼻白む逸話が添えられるでしょうが、敢えて事実を誇張もせずに当事者の目線で淡々と描いた事で、その事件の背景にある開拓民の過酷な現実や抗えない野生動物との共生の恐怖などが冷酷なまでに浮き彫りにされます。この小説は、のちに倉本聰がより抒情的に脚色してラジオドラマ化されていますが、なんと銀オヤジ役の声役は高倉健!おお、ここでもつながります。明日に続く!
その吉村昭氏の書いた作品という事でかなり期待があったものの、タイトルからも分かるように北海道で実際に起こった羆(ヒグマ)による惨事という事で、リアル動物の苦手な私としては、氏の筆による精緻な惨事の表現に多少腰が引けていたのです。それでも読んでみようと思ったのは、『網走番外地』の中にも囚人たちの脱獄を断念させる自然の脅威として『ヒグマの足跡』のエピソードが出るのと、実際の使役も険しい地形と羆との戦いが行く手を阻んだとあったため羆への興味が勝ったため。
また少し前に、ハリウッド版ゴジラが公開された時、ゴジラのテーマ作曲家として名高い伊福部昭氏の事を調べていて、若い頃に北海道帝国大学で林学を学び、卒業後は北海道庁で林業に携わるお仕事をされていたことを知り、開拓時代の北海道の林業に興味が湧いていたことや、久万高原町の木の出口を考えていた時に「久万=熊」という短絡的な発想で、熊と木が結びつくネタがないものかとに探していました事なども、この本を読んでみようと思う動機づけになりました。
この惨事は、大正4年(1915年)12月9日に北海道苫前郡苫前村(現/苫前町古丹別)三毛別(現/三渓)六線沢で発生したもので、開拓民7人が死亡、3名が重傷を負ったという日本獣害史上最大の羆事件で、『三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)』と呼ばれています。小説では、羆の惨事そのものよりも獣害の危険もあったその地に住まわねばならなかった開拓民たちの不遇や暮らしぶりなどに力点が置かれ、残酷なまでの北海道の大自然の凄味を丁寧に描写されています。
被害に遭った三毛別六線沢の住民たちが羆に対して過剰に恐れを抱くのは、貧しさゆえに羆と戦える鉄砲を買う事が出来ないため(戦うための武器は鎌や鍬といった農機具しかないという心もとなさや)、もともと彼らが東北地方で度重なる水害に苦しめられ、餓死寸前に陥った事から政府の移民奨励政策に従って土地・家屋を捨てて北海道の地に移り住んできた貧しい開拓民であるため、本州には生息しない獰猛な羆に対する習性や食性に対してほとんど知識が無かった事にも拠ります。
更に彼らは5年前に入植した地が蝗(いなご)の害にあって壊滅状態に陥り、その地を廃棄してこの地に移り住んだことから、もう移り住むだけの財力も体力も残っていない事。ひとを襲う獣と背中合わせに暮らす危険を冒してでも、ここを終の棲家とせねばならない悲惨な事情などもあります。まだ入植して日の浅い彼らは、まだこの地で一個の死者も埋葬する事をしていませんでした。それゆえに羆による大量の被害(七人の死亡)は悲劇性を増すのです。更に明日へ続く・・・
世の中には不思議なご縁というものがあるもので、それは何かをやり遂げさせるために遣わされた見えざる力のような、あるいはあうキーワードに触れる事で次々と過去の事象が連鎖し、その物語を風化させないために誰かの口を通じて語らせ記憶させようとする意思の力に拠るモノ・・・なんてことまで考えさせられたのが最近身近で起こりました。先日までこのブログで、年末に亡くなられた高倉健さんへの哀悼を込めた言葉を綴っていましたが、その中に出てきたのが北海道の網走刑務所。
北海道という土地は材木業を営む私にとって、広葉樹の産地、木工クラフトの聖地としてとりわけ神聖な意味を持つ場所でもあります。実際に行った回数こそ少ないものの、北海道産材は数多く弊社の倉庫にも並べられており、日頃から身近に接している感覚もあります。その健さんのブログを書いていた時、『おとなの部活動』でお世話になっているyaetcoの高瀬英明君が、フェイスブックで1冊の本について触れていました。それが、吉村昭著の『羆嵐(くまあらし)』という小説です。
たまたま私も、健さんの主演した映画『八甲田山』の森谷司郎監督が、極限状態に追い込まれた人間を描くのが好きという事で、無人島に漁夫が漂流する話『漂流』の事を紹介していたのですが、その著者が同じ吉村昭氏だったこともあり、目に留まりました。また、「自然とは。動物とは。人間とは。生命とは・・・真理と向かいあう一冊」という高瀬くんならではの煽りの言葉にも惹かれ、早速Amazonで購入。220ページほどの中編でしたが、届いたその日に一気に読破。
著者の吉村昭氏は、菊池寛賞はじめ多くの文学賞にも輝くフィクション作家の第一人者で、「彼ほど史実にこだわる作家は今後現れないだろう」とも言われるほどその周到な取材と緻密な構成には定評があります。決して大風呂敷を広げない淡々として筆致と、場面の詳細な状況説明や風景を現わす記述がとても視覚的で、大好きな作家のひとりです。読んだ作品の中でもっとも好きだったのは、四度の脱獄を実行した囚人・佐久間清太郎の生涯を描いた『破獄』でした。明日に続く・・・
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