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4月3日で50歳。材木屋になって28年、正確には材木の仕事に就いて28年。最近は、「おたくは何屋さん?」と訊かれるのも取材等の常套句となっているほど、一般的な材木屋のイメージからはかけ離れた業態となっているのかもしれません。それは望ところなのですが、いちいち説明するのがまどろっこしい。アンケートやら申請書などで職業の細かな分類分けの項目があると、いつも迷いながら(何か面白いことを書いたほうがいいのか)「木のもの屋」と「木材小売り業」を使い分けてます。
面白いことを書かねば・・・というのは一種の職業病というか、自分が勝手に自分に架した使命のように思っていて、いつ頃からは新聞やメジャーな雑誌などの自己紹介でも普通にふざけた、いや使命感に忠実にことの経緯や自分の思いを書くようになりました。それでも、ちょっとふざけすぎなんて言われたことはないので、もっと弾けないとダメだと反省しているところです。材木業界以外の方との出会いにおいて、とんでもないような御仁と知り合いになることが増えてきたのですが、
そういった弾けた方々と比較すると材木業界はなんとまじめでおとななんだろうかとつくづく感じます。自戒と皮肉を込めてですが、やはり大工・工務店といった日々のルーティンの中で仕事をこなしてきて、末端(消費者)と直接交渉する機会がなかったため、自分の仕事や商品の魅力や楽しさを伝えることが非常に苦手。その謙虚さが材木屋の美学でもある、という思いは私自身も無いわけでは無いのですが、木は絶対に暮らしに必要不可欠という虚城の中の妄想のようにも思えるのです。
その城の中にいれば外敵に攻め込まれることもなく、どうにか慎ましく生きていけるはずだったのに、いつの間にか気がつけば多くの仲間の城が次々に落城し、わずかに残った近くの城と傷をなめ合うように連携するものの、難攻不落だったはずの城壁にも日々ほころびが見え始める始末。こうなったら思い切って城を飛び出し外の世界に出るしかない!いざ城下へ飛び出してみれば、日々その影におびえて敵と思われていたモンスターの正体は実は・・・というのが28年目の今。
『怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけよ。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。』とは、かの哲学者ニーチェの言葉。決して木を嫌いなひとなどいない、というアドバンテージを頑なに信じて、無理に城を出ることなく、罠に落ちた獲物だけで生き延びてきた時代もかつてはあっただろう。それが幸せだったのかどうかは分からない。先の王たちが生き抜いた時代に跋扈した怪物たちの呪縛を解き放ち、城ではなく平原を目指す!
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