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『2次元・3次元の特殊加工の鬼』こと㈲トミタさんの会社は、広島県廿日市の木材団地の中にあるのですが、廿日市はもともと材木商が集まって作られた町だそうです。西中国山地から産出される林産物などの集積地として大量の木材が集められました。それらの豊富な原料を目当てに木地師などが集まってきて、木椀や木鉢などが多く作られ、その轆轤(ろくろ)加工の技術によって算盤(そろばん)なども作られ、江戸時代には廿日市の特産品として名を馳せたということです。
明治時代になると轆轤(ろくろ)加工は家内工業として発展し、大正時代になると工業高校に指物科と挽物科の学部が出来て、地域として木工技術者の育成に力を注ぐようになりました。もともとは木椀や木鉢などの食器といった生活用品でしたが、その後時代の流れの中で剣玉に代表されるような木工玩具と生まれ変わりました。剣玉は、鹿の角と丸い球をはめ込む遊びが起源とされていますが、フランスで貴族や上流階級の人が遊んでいたビルボケ(bilboquet)というのがルーツとされています。
フランスから日本に伝わった当時、剣と玉しかない玩具でしたが、皿の部分を取り付けて現在の剣玉の原型となる「日月(にちげつ)ボール」を作りあげたのが江草濱次(えぐさはまじ)という人物で、江草氏は木工轆轤の技術が確立していた廿日市を訪れ、製造を依頼し、その後廿日市では多くの剣玉が作られ日本中に剣玉の文化を広めていったのです。現在では、世界中から剣玉プレーヤーが集まり剣玉ワールドカップが開催されるなど、世界中でメイドインジャパンの剣玉が愛されています。
㈲トミタさんでは、その剣玉ワールドカップイベントのオブジェとして巨大な剣玉を製造されました。私は実物を見たわけではありませんが、その大きさは画像を見れば分かると思います。剣の部分は重量を軽くするためアユース材を使われたそうです。これだけでもトミタさんの会社の技術力の高さが伺えます。今回広島を訪れた際にもいろいろな場所で「剣玉」的なものに遭遇しました。こちらは廿日市の和洋菓子「ながお」さんで作られている剣玉の形を模した『けん玉もなか』。
弊社の『木のもの家・森羅』でも剣玉を取り扱っているのですが、数年前から剣玉がテレビやメディアなどでちょっとしたブームになっているようです。難しい技を根気よく練習することで忍耐力や集中力が増すといったメンタル面の効果から、体幹が鍛えらえる、腹筋が鍛えられ姿勢がよくなるなどの効果もあるとか。イベント等にいっても、剣玉人気は強くて、違うデザインのものはないのかとか問い合わせも多数。木を素材として日本の伝統的な玩具や遊びが見直されるって嬉しい!
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