森のかけら | 大五木材


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ここまでツバキについて書いてきました(といってもほとんどがツバキにまつわるエピソードです)が、椿といえば決して忘れてはいけない映画があります。その名が主人公の名前となり、バッチリタイトルにもなっている、そう天皇と呼ばれた日本映画界の巨人・黒澤明監督の傑作『椿三十郎』です。若い人は、数年前に織田裕二主演でリメイクされたのでそちらの方を観られたかもしれませんが、比べる事自体おこがましい!しかしこれ、メガホンを執ったのはは私の大好きな森田〔それから〕芳光監督なんです。森田芳光が椿三十郎のリメイクを織田裕二で撮るって知ったときショックでした。

そもそも黒澤版『椿三十郎』も、前作の『用心棒』が大ヒットしたために、同じ三十郎主演で(『用心棒』で三船敏郎が演じる主人公の名前は、桑畑三十郎)続編を作れと東宝に依頼されたもので、森田芳光も決して望んで撮ったわけではないのかもしれませんが主演が織田裕二ではあまりに軽薄過ぎて・・・。洋の東西を問わず最近こういう風に過去の名作をリメイクする事が多いように思いますが、そのほとんどが名作の名を汚すばかり。映画に限らず成功事例の後追いをするのは楽ですが、結局のところオリジナリティに勝てるはずがないのです。

ちなみに黒澤版『椿三十郎』は一応、山本周五郎の小説『日日平安』が原作となっていますが、三十郎の続編を依頼された黒澤は、原作をベースにしながらも換骨奪胎して以前から構想していた物語を練り上げます。脚本はいつものメンバー(菊島隆三、小國英雄、黒澤明)。時代背景的には『用心棒』よりも『椿三十郎』の方が先だと言われていてそういう意味でも続編ではありません。用心棒は群馬県(上州)が舞台ですが、賭博場などが出来たのが、天保の改革以降だそうなので1850年代あたりでしょうか?時の将軍は11代将軍の徳川家斉。江戸時代の後期にあたります。

一方『椿三十郎』は、映画の冒頭で山奥にある朽ちた神社に9人の若侍が集まり、次席家老が汚職をしているので告発しようかと密談しているあたりからも(汚職が珍しいものであったという事はまだ 江戸幕府が健全で安定していた)江戸時代の初期頃ではないかと推測されていて、そういう意味からも続編という関係性ではないと思われます。また三船敏郎扮する三十郎のキャラクターの作り込みにもかなり違いがあって、ニヒルな一匹狼のような用心棒に比べると、椿三十郎はおどけてみせたりとかなりユーモラス。個人的には用心棒の時のぎらついたような三船敏郎が好きなのですが。明日に続く・・・




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